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津田 徹英 [TSUDA Tetsuei]

津田 徹英 [TSUDA Tetsuei]

日本の宗教美術の見方・考え方

第3回 2021/6/26(土)
文学部比較芸術学科 教授
津田 徹英 [TSUDA Tetsuei]

今回の講義では、日本の宗教造形作品のかたちをどのように読み取ってゆくべきか、そのひとつのモデルケースを示してみたい。
日本の仏教美術にあらわれた「ほとけ」の姿かたちは、彫刻・絵画ともに経典・儀軌にもとづいて制作されることが一般的である。これに対して、肖像、あるいは、神像については、経典・儀軌に類するものがなく、制作依頼主と作家の間での協議・話し合い等のなかで姿かたちが決まってゆくように一般には考えられてきた。その際、仏教美術作品が少なからず参照されたようである。しかしながら、実際の造形作品を眺めてみるとき、髪型・着衣などに一貫した共通性が認められるのも事実である。
そこでこの講義では、中世日本の宗教造形物が、どのような姿かたちであらわされたとき、その姿に聖性を持ち得るか、という視点から中世の造形作品群を改めて眺め、その姿かたちを読み解いてゆきたいと思う。
取り上げる作例は、中世の聖徳太子の肖像(彫刻・絵画)にその糸口をみつけ、同様の姿かたちがあらわれる阿弥陀来迎図、さえあには、中世の神像群に及びつつ、そこに(今ではすっかり忘れ去られてしまったが)中世にあっては、暗黙の了解事項であったことがら(思想)を浮かびあがらせてみたい。
あわせて、そのことを踏まえて、中世以来、日本人が聖域(聖なる空間)をどのように設定し、聖域に入る際、聖域から出る際にどのような儀礼があり、その痕跡を何気ない日常習慣の行為のなかに見出せることについても及んでみたい。

青山学院大学文学部比較芸術学科 教授
津田 徹英 [TSUDA Tetsuei]

1963年滋賀県生まれ。慶応義塾大学大学院文学研究科後期博士課程単位取得満期退学。博士(美学)。神奈川県立金沢文庫学芸員、国立文化財機構 東京文化財研究所 文化財情報資料部長を経て、2018年4月より現職となる。専門は日本彫刻史、密教図像学。著書に『平安密教彫刻論』『平安時代の密教彫刻(国宝の美17) 』『中世真宗の美術』『中世の童子形』ほか。