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髙橋 朋一 [TAKAHASHI Tomokazu]

髙橋 朋一 [TAKAHASHI Tomokazu]

第4回 2022/11/26(土)
経済学部現代経済デザイン学科 教授
髙橋 朋一 [TAKAHASHI Tomokazu]

ここ数年前から統計の重要性について耳にすることが多くなったように思われますが、その重要性が出てきたのはデータの価値を評価するということもあるかと思われます。今まではデータを収集したとしても決まった方法で分析をし、データから得られる情報に目新しさが見られなかった場合が多くあったかと思います。しかし、データの分析手法に少し工夫を加えることで、今まで得られなかったことが見えてくることがあります。これらのことは学問の分野だけでなく、ビジネスにおいても統計あるいはデータを分析する知識や活用というものの必要性が高まり、21世紀型スキルとして国際社会で広く認めらようになってきました。それを受けて国際通用性のある統計活用能力の体系的な評価システムとして統計検定が2011年に発足されました。
これに相応してデータサイエンスあるいはデータマイニングという言葉をよく耳にするようになったと思います。データマイニングのマイニングとは採掘という意味があり、データマイニングは多くのデータの中から採掘を行って宝を見つけるということになります。そのためには統計学をベースにした分析を行うことになりますが、ここ最近のトピックスとしてビックデータやAI(人工知能、機械学習、深層学習)ということを聞いたことがある方は多くいるかと思います。ビックデータと言った時にどのようなデータを思い起こさせるかというと、コンビニのPOSデータや、新型コロナウィルスの報道でよく取り上げられているスマートフォンの位置情報のデータがあるかと思います。これらのデータは日々蓄積されるため膨大なデータとなっています。これらはデータ量が多すぎるために統計学の分析手法だけではデータの中に潜む宝を見つけることができないケースが出てきたこともあり、AIを組み合わせた手法で分析をすることで新たな結果が得られるようになってきました。また、本講義で用いるGISでもビックデータを扱って空間的な分析を行うことができます。空間的にデータを捉える利点としては、個々のデータの周辺のデータあるいは環境を考慮した分析を行うことができるので、より現実に近い分析ができます。
本講義ではビックデータとしてスマートフォンの位置情報を用いることにします。本講義での分析の対象地域としては東京都の23区として、対象期間は東京都で初めて新型コロナウィルスの罹患者が出た2020年1月24日から第1波が終息し1回目の緊急事態宣言が解除された2020年5月25日のデータを用いることにします。そして、GISソフトのArcGIS Proを用いて未知のコロナウィルスに対しての人々の行動について空間的に分析を行い、その結果について紹介していきます。

プロフィール

青山学院大学 経済学部現代経済デザイン学科 教授
髙橋 朋一 [TAKAHASHI Tomokazu]

法政大学工学部電気工学科計測制御専攻卒業、同大学院工学研究科システム工学専攻修士課程修了、同大学院工学研究科システム工学専攻博士課程修了、博士(工学)。青山学院大学経済学部助手、総務省郵政研究所担当研究官を経て、現在青山学院大学教授。専門分野は地理情報システム(GIS)、システム工学。主な著書に、『事例で学ぶGISと地域分析 ArcGISを用いて』(古今書院 2005年)、『地域間格差と地方交付税の歪み 地方財政の外れ値の探索』(勁草書房 2008年)、「GISを用いた訪日外国人の行動分析 ― 大阪市を事例にして ― 」(青山経済論集 2018年)等がある。