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インテリジェント制御がもたらす新たな世界

インテリジェント制御がもたらす新たな世界

第2回 2019/7/6(土)

青山学院大学 理工学部電気電子工学科教授  米山 淳  [YONEYAMA, Jun]

 制御という言葉は、あまり日常会話では使用しない言葉かもしれません。日常会話における言葉の使用頻度にはかかわらず、我々の日常生活においては至る所で「制御」が行われており、社会的にも非常に重要なことであります。例えば、自動洗濯機、自動炊飯器のように、スイッチ一つで洗濯や炊飯を行ってくれる装置はどの家庭にも見られます。エアコンも目標温度を設定すると、部屋の温度がその設定温度になるように自動で温風や冷風を流してくれます。最近では、掃除ロボットも自動で部屋の掃除をしてくれます。その他にも、自動車の多くは自動制御されたトランスミッションを搭載しており、自動的にギアが変更されますし、エンジンの振動や騒音をなくす自動制御装置も設備されています。最近では、運転手がいなくても自動で目的地に連れて行ってくれる自動車の開発も考えられています。これらはすべて制御の例です。工学的に言う制御とは、機械やコンピュータなどの装置を用いて自動的に行われる自動制御です。上記に示す例にもあるように、これらの制御装置は我々の生活に便利と豊かさを与えています。これまでは、このような制御装置があれば便利であるものでしたが、現在ではなくてはならない必要不可欠なものとなっています。
 自動制御の操作手法は時代とともに発展してきました。ここでは、古典制御と言われる方法から、現代制御やインテリジェント制御のおける方法までの歴史について触れたいと思います。従来の制御方法では、制御したい対象システムを方程式で表現することから始まりました。しかしながら、多くのシステムを方程式で表現すると非常に複雑な方程式になり、その結果、その方程式の解析が困難になります。また、システムの構造が複雑すぎてシステムを方程式で表現が困難な場合もあります。インテリジェント制御の手法においては、システムの構造がわからなくても既知の入出力情報だけで、目的の動作を達成させる手法も確立されています。この手法の代表的な例として、ファジィ制御があります。ファジィという言葉には、ぼやけた、曖昧ななどという意味がありますが、ファジィ制御がぼやけた制御、曖昧なシステムというわけではありません。ファジィ制御は、これまでの制御手法よりも優れた手法となる可能性を秘めたものです。さらに、ファジィ理論を用いて構築されたファジィシステムも発明されました。これらのインテリジェント制御における最近の結果について説明します。

プロフィール

青山学院大学 理工学部電気電子工学科教授
米山 淳 [YONEYAMA, Jun]


米国University of California, Los Angelesにおいて、Ph.D.を取得後、2000年青山学院大学理工学部電気電子工学科に助教授として着任。その後、同大学准教授を経て、現在、教授。専門分野は制御理論、制御工学であり、特にファジィシステム、確率システム、むだ時間システムなどに対する制御系の設計の研究に従事。