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世界初の宇宙帆船「イカロス」による太陽系大航海時代の幕開け

宇宙航空研究開発機構<br>宇宙科学研究所助教<br>  森 治 [Osamu Mori]

宇宙航空研究開発機構
宇宙科学研究所助教
 森 治 [Osamu Mori]

世界初の宇宙帆船「イカロス」による太陽系大航海時代の幕開け

第3回 2018/7/14(土)

宇宙航空研究開発機構 宇宙科学研究所助教  森 治

「ソーラーセイル」は、太陽の光の圧力をセイル(帆)に受けて宇宙空間を航行する宇宙ヨットであり、太陽の光さえあれば燃料なしで推進力を得ることができる夢の宇宙船です。このアイデア自体は約100年前からあり、SFやアニメにもよく登場します。しかし、これまで世界中で研究が進められているにもかかわらず実現されていませんでした。
 一方、「ソーラー電力セイル」は、セイルの一部に薄膜の太陽電池を貼り付けることで、太陽光による加速と発電を同時に行う日本独自のアイデアです。ソーラー電力セイルはソーラーセイルにより燃料を節約できるだけでなく、太陽から遠く離れた場所でも、大面積の薄膜太陽電池を利用することで十分な電力を確保できます。
 JAXAでは2010年に小型ソーラー電力セイル実証機「イカロス」を打ち上げ、世界で初めてソーラーセイルとソーラー電力セイルを実証することに成功しました。この成果を踏まえ、新たに、大型のソーラー電力セイルと高性能なイオンエンジンを組み合わせて木星圏を探査する計画を検討しています。
 本講演では、「イカロス」のシステムおよび運用結果を説明し、現在検討中のソーラー電力セイル探査機「オケアノス」による木星トロヤ群小惑星探査計画について紹介します。さらに、「イカロス」のセイルを確実に展開するために事前に実施した地上実験や数値シミュレーションの内容を明らかにし、モノ作りの面白さ、世界一に挑戦することの意義について述べます。

プロフィール

宇宙航空研究開発機構 宇宙科学研究所助教
森 治 [Osamu Mori]


1999年 東京工業大学 大学院理工学研究科修士課程修了、2002年 博士(工学)。
三菱電機株式会社、東京工業大学 助手、宇宙科学研究所 助手を経て、現職.
専門は宇宙機システム、動力学・制御、推進系。
小型ソーラー電力セイル実証機「イカロス」のプロジェクトマネージャ、
ソーラー電力セイル探査機「オケアノス」の準備チームとりまとめ、
小惑星探査「はやぶさ」「はやぶさ2」のスーパーバイザー、化学推進系責任者。
著書に「宇宙ヨットで太陽系を旅しよう~世界初!イカロスの挑戦」などがある。