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2023.04.01

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2023年度入学式を挙行しました

2023年4月1日(土)、青山キャンパスの青山学院記念館にて、2023年度入学式を執り行いました。
阪本浩学長がお祝いの式辞を、山本与志春院長が告辞を述べました。

阪本浩学長による式辞

阪本浩学長・式辞

ご入学おめでとうございます。
青山学院大学は皆さんを心より歓迎いたします。
ここでは、初日の高揚感に包まれているであろう皆さんと共に「青山学院大学の理念」を読みながら、本学における学びの特色の一部を紹介したいと思います。

「青山学院大学は、〈青山学院教育方針〉に立脚した、神と人とに仕え社会に貢献する〈地の塩、世の光〉としての教育研究共同体である。」この〈地の塩、世の光〉は新約聖書マタイによる福音書からとられた言葉であり、学院のスクール・モットーともなっています。
「本学は、地球規模の視野にもとづく正しい認識をもって、自ら問題を発見し解決する知恵と力を持つ人材を育成する。」ここでは、本学における教育がグローバルな視点を持つことが謳われ、受け身ではなく自ら学ぼうとする姿勢を重視していることが示されています。そして、その方法としては、「それは、人類への奉仕をめざす自由で幅広い学問研究を通してなされる」と続きます。「自由で幅広い学問研究」という部分に注目しましょう。これはリベラルアーツ教育を意味していると思われるからです。

「自由学芸」と訳される教養教育であるリベラルアーツ教育は、近年その必要性が説かれ、益々重視されるようになっています。しかし、そもそも何故それは「自由な」学問と言われるのでしょう?その起源にさかのぼって考えてみたいと思います。それは、古代ギリシアにおけるポリス(都市国家)の良き市民となるための教育を起源としていると言われています。将来どのような職業に就こうが、奴隷ではなく市民として必要とされた教養です。奴隷には、主人に仕えるための高度な専門的知識・技能が求められていましたが、それとは対照的な、一般的な教養でした。古代ギリシアでは、職業よりも市民の身分が重要でした。有名な例としてアイスキュロスが挙げられます。悲劇というジャンルを確立した詩人として名声を博し、何度も栄冠を手にしていた人物ですが、その墓碑には、ただマラトンの戦いに参加したことだけが記されていたと言われています。つまり、大詩人であったという功績よりも、市民の義務として祖国防衛のために従軍したことの方が重視されたのです。詩人である前に一人のアテナイ市民であったのです。

やがてヘレニズム時代、そしてローマ帝国の時代になると、小さな都市国家の枠を超えて、より普遍化され、「完全な人間」を目標として「自由身分の者」が身に付けるべき教養が教育の目的となっていきます。ギリシア語では、円環をなして関連しながら一つになる教育、あるいは全人的、調和的教育という意味で「エンキュクリオス・パイデイア」と呼ばれましたが、ラテン語では、自由身分にふさわしい学問という意味でdoctrina liberalis(自由学科)と表現されます。例えばキケロはこれを「自由人にふさわしいあらゆる学術」と言っています。初期のキリスト教徒は、「アテナイとエルサレムにいかなる関係があるのか」と言って、ゼウスやアポロン等の神々が登場する教科書を使うこうした教育を敵視していましたが、次第にその重要性を認め、聖書を正しく読み理解するために必要な学問として重視するようになり、やがてはキリスト教教育の基礎的学問となっていきました。

具体的な科目としては、時代により変動はありますが、文法、修辞学、論理学、算術、幾何学、天文学、音楽が主なものでした。中世には、この7科目がartes liberales(自由学芸)として固定化され、大学で教えられるようになりました。これがリベラルアーツの起源であり、欧米では、職業的な技術・専門教育とは区別された一般的、普遍的教育として重視されてきたのです。近代になると、職業人形成よりも前に先ずは一般的な人間形成を、という理念が優勢になった時期がありました。

阪本浩学長による式辞

さて、第二次世界大戦後、本学が新制大学となる時、教育目的として、専門教育と並んで、もちろんキリスト教に基づくものではありますが、平和思想、社会人類に対する奉仕的人生観を体得させる機会を与え、英語教育により世界の市民としての自信を与えることが掲げられました。これは、新しい時代の、広い意味でのリベラルアーツ教育理念と理解できるでしょう。この伝統が「青山学院大学の理念」に示されていると考えられます。

現在、本学では、青山スタンダード科目によって教養教育が行われています。本学における教育は、各学部の専門教育と、全学共通の教養教育との組み合わせによって成り立っており、それが「自ら問題を発見し解決する」研究の基礎となり、出発点になっていると考えています。大学院に進んでからも、広い視野を持ち続けてほしいと思います。

最後に、「理念」の土台となっている「青山学院教育方針」にも目を向けておきましょう。ここで注目したいのは、「神の前に真実に生き、真理を謙虚に追求し」の部分です。大学の理念と深く関係していると思います――右を向けと言われたなら、皆がそうしているからと、それに従って右を向く、それで「神の前に真実に」生きているといえるでしょうか? 「今は左を向いて研究する時だ。時流に乗り遅れるな」と言われたなら、皆がそうしているからと左を向いて研究するのでしょうか?それで「真理を謙虚に追求」していると言えるのでしょうか?将来どのような方面に進もうとしているかに拘らず、自由人にふさわしい学問を学びながら、このようなことも考えてほしいと思います。

新入生の皆さんには、本学の「建学以来の伝統」を理解し、自由な校風の中で、自由人としての品位をもって学問に臨んでいただきたい、そのように願っています。

山本与志春院長による告辞

式次第

■前 奏
■讃美歌 讃美歌 21 17 番「聖なる主の美しさと」
■聖書朗読 (旧約)箴言 第19章 21節
      (新約)テサロニケの信徒への手紙 一第5章 16~22 節 (大学宗教部長 大宮 謙)
■祈祷合唱 「希望と祈りと」
■式辞                             (学長 阪本 浩)
■告辞                             (院長 山本 与志春)
■校歌
■ご来賓・法人役員・大学役職員紹介
■讃美歌 讃美歌 21 394 番「信仰うけつぎ」
■祝祷                             (学院宗教部長 伊藤 悟)
■アーメン唱
■後奏

山本与志春院長による告辞

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