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学長就任挨拶(第19代)

青山学院大学  学長 阪本 浩

青山学院大学 学長 阪本 浩

神と人とに仕え社会に貢献する教育研究共同体

 このたび第19代学長に就任し、4年間、大学運営に責任を負うことになりました。皆さまのご協力とご支援を得て、青山学院大学の発展に尽くしたいと考えております。
現在、大学には様々な変革が求められていますが、変化の時代にこそ原点の再確認が必要です。青山学院は、明治初頭に米国のメソジスト監督教会から派遣された3人の宣教師が創設した3つの学校を源流としています。本学の教育は「キリスト教信仰にもとづく教育をめざして」きました。いかなる改革に着手する時も、この145年の歴史と伝統を忘れてはならないでしょう。本学の目的は、「神の前に真実に生き 真理を謙虚に追求し 愛と奉仕の精神をもって すべての人と社会とに対する責任を進んで果たす人間の形成」にあるのです。
 各学部、学科、大学院各研究科ではそれぞれが、時代の要請に応えるカリキュラムを編成し、最新の研究に基づく高度な専門知識を伝え、学生の研究を促しています。しかし、人間形成を目的とする大学の教育は、専門知識の修得で完結するわけではありません。独自の全学共通教育システムである「青山スタンダード教育」を用意し、「およそ青山学院大学の卒業生であれば、どの学部、学科を卒業したかに関わりなく、一定の範囲の知識・教養と一定の水準の技能・能力を備えているという社会的評価を受けること」を目標にしています。本学の教育の柱とも言うべき「キリスト教理解関連科目」もここに含まれています。先人たちの理念を継承する教養教育のなお一層の充実を目指したいと思っています。
 継承すべき伝統と言えば、国際化もその一つでしょう。明治期の諸学校には、英語と西洋の学問を学びたいという学習意欲を持った人々が集まり、「英語の青山」の伝統が形成されたと言われています。伝統を継承しながら、さらなる国際化を進めたいと考えます。国際学生寮にはさまざまな国からの留学生が入居しており、衣食住を共にすることで海外に留学しているかのような生活を送ることができ、各種交流イベントも行われています。学内では留学生がリーダーとなる「チャットルーム」という、外国語によるコミュニケーションを通じて国際交流ができる場を用意しています。会話の中で各国の文化や生活を知り、さまざまな発見や学びを得ることができます。また、交換留学を目指す在学生のためのIELTS対策講座も用意しています。一人でも多くの在学生が留学できるようサポート体制を強化したいと考えています。研究面でも、国際メソジスト関係学校・大学連盟(IAMSCU)の国際ネットワークを活用して、なお一層の国際化を促進して参ります。
 「地の塩、世の光」をスクール・モットーとする本学で学んだ学生が、「すべての人と社会とに対する責任を 進んで果たす人間」となるよう期待しています。塩は目立たず、地味ですが、腐敗を防ぎ、味を付ける役に立ちます。光は、闇の支配に打ち克ち、世を照らし、灯台の灯のように導く役に立ちます。そのように、青山学院大学は人の役に立つ、「神と人とに仕え社会に貢献する」教育研究共同体であり続けて欲しいと思っています。

2019年12月
青山学院大学
学長 阪本浩