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実践的プロジェクト教育による多角的連携に基づく人材育成と医療イノベーション

実践的プロジェクト教育による多角的連携に基づく人材育成と医療イノベーション

※本取組は2008~2010年度文部科学省支援により行われ、2011年度以降も本学及び北里大学の取組として継続しています。

プログラム概要

北里大学と青山学院大学は、共同して「実践的プロジェクト教育による多角的連携に基づく人材育成と医療イノベーション 」のテーマに取り組んだ。その背景には、昨今の日本の社会には、少子化・高齢化の中での医療経済の問題、医療サービスを取り巻く社会保障制度の問題、医療機関の経営破綻、医療機関や医療従事者の需要と供給の問題、国内の新薬開発導入の遅れ(いわゆるドラッグラグ)など、医療制度に関する課題が山積している。また、医療の現場においても患者満足度を含む医療の質に対する要求が強まっている。このように社会の医療にかかわる様々なニーズが強まっているのに対し、我が国においては医療という分野は非常に独立性や閉鎖性が強かったためか、他の分野との協同による積極的な解決の試みが少なかったと言える。

生命科学に関わる様々な分野を包含する北里大学と人文社会系、理工系、情報系分野を包含する青山学院大学が教育・研究両面にわたり密な連携を行なうこの新たな取り組みは、医療にかかわる様々な社会問題の解決策、すなわちヘルスケアソリューションを提示するとともに、教育を通じてこうした方面への的確な人材の提供を目指すものである。

代表者:社会情報学部教授 稲積 宏誠

プログラム実施報告

青山学院大学・北里大学の両校における取組に向けての検討については、両校の執行部による「運営会議」を2009/10/6(金)、2010/3/8(月)、2010/12/7(火)に開催し協議した。また両校共同開催による、この取組の公開の場として、特別セミナー「医療と社会の未来を考える」(2009/1/24(土)及び1/26(月)~1/30(金):総計約450名参加)、シンポジウム「病院の言葉」(2010 /1/22(金)・29(金)・30(土):総計約80名参加)、シンポジウム「外国人看護師、今後の展望」(2010/9/26(土):約140名参加)、シンポジウム「臨床研究と医療の倫理」(2010/12/22(水):約80名参加)を開催した。

両校共通の研究プロジェクトについては、(1)逗子市における市民団体と協力によるヘルスケア情報検索システムの取組として、現在D.B.を作成しつつあり、(2)地域医療と病診連携を拡大する取組として、現在相模原市との共同作業として重症心身障害児施設問題を取り組んでおり、今後も種々の課題の解決を目指す予定であり、(3)入院費不払いリスク・モデルを活用した病院運営業務改善案の取組として、今後何らかの方法で問題提起とすることとし、(4)逗子市における市民ニーズの調査結果に基づいた高齢化社会のヘルスケアに関する取組として、地元において定例会を開催した。

2010年度は本学で開講されている授業科目の中に、この取組に関わる内容を盛り込み、(1)社会情報学部の演習にて医療・病院経営データの数理解析の実施、(2)同学部の特別講義にてヘルスケアソリューション研究連続講演の実施、(3)国際政治経済学部の演習にて医療現場のコミュニケーションの問題を試みた。

プログラム成果

この取組により実現した教育内容は、2011年度以降も本学の複数の学部・研究科の教育内容に盛り込んでいくことは既にカリキュラム編成上でも決定しており、具体的には(1)社会情報学部における演習の課題として医療・病院経営データを利用した数理解析を実施し、(2)社会情報学部における特別講義としてヘルスケアソリューション講演会内容を取り入れ、(3)国際政治経済学部国際コミュニケーション学科における演習の課題として、医療現場のコミュニケーション問題を取り入れることにしている。これらは本学と北里大学の教員間により、今後も教材やコンテンツ構築が見込まれ、まさに「教育のルーチンワーク」の実現可能な状態である。

また、プログラム実施報告に記した両校共通の研究プロジェクトについては、本学と北里大学の研究者間により、今後も研究・調査体制の実施が見込まれ、まさに「研究のルーチンワーク」の実現可能な状態である。

これら、教育及び研究に関するルーチンワークとしての取組継続については、2010/12/7(火)の両校執行部による運営会議においても検討され、この連携の目的は両大学の特色を生かした教育による人材育成であることを再確認し、実施していく指針が示された。