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「AGU Research Report 2023~青山学院大学の研究報告」発行にあたって

統合研究機構の役割と課題

学長 稲積 宏誠

青山学院大学の研究・教育組織は2024年から全面的に見直されます。学部・研究科という中核組織と全学的な機能としての教養・共通教育、教育支援、学生支援、国際、入学選抜、社会連携に加えて研究支援から構成されるとされました。統合研究機構(以下、機構と称す)は、この新しい組織のありかたを先取りするかたちで、本学の研究に関して全学的な視野に立った統合的な事業を行うことを目的として発足したものです。ただし、外部資金に基づく取り組みを統括する総合プロジェクト研究所、学内競争資金による取り組みを統括する総合研究所、研究支援体制を強固なものとするためのリエゾンセンターに加えて、青山学院における女子教育の伝統を新しい時代に継承しキリスト教精神に基づくジェンダー平等及び性の多様性の尊重に貢献することを目的とするスクーンメーカー記念ジェンダー研究センター、青山学院が収集・所蔵する歴史資料を分析・検討し、近代日本社会において、青山学院が果たした歴史的役割を広く研究し、ひいては近代日本へのキリスト教文化の影響を考察し、教育史、思想史、近現代史の発展に寄与することを目指す青山学院史研究所と、教育研究活動に伴って発生する環境汚染の防止・環境負荷の低減や安全の確保と安全教育や啓発活動を行うことを目的とする環境安全センターを加えた組織となります。
機構を構成する各センターの活発な活動により、青山キャンパスと相模原キャンパスという物理的な距離感を、研究という切り口から総合的、俯瞰的に取り扱う組織としてさらに活性化されるでしょう。
本学はどうしても強烈な青学ブランドからか、残念ながら研究力のアピールが弱いと言わざるを得ません。今後の青山学院大学の飛躍を担うべく、研究力そのものの底上げに加えて研究の青山としての発信力を高めていくことにより注力していきたいと考えています。

統合研究機構の活動

副学長・統合研究機構機構長 中里 宗敬

統合研究機構は総合研究所、総合プロジェクト研究所、リエゾンセンターの3つの組織からなる大学の研究推進の中核を担う機関です。2018年の発足以来、数多くの研究プロジェクトの実施と、研究の支援を行ってきました。総合研究所は学内資金による研究ユニットにより研究プロジェクトを実施します。2023年度は14の研究ユニットにより延べ59人の研究員が研究活動を行いました。総合プロジェクト研究所は主に外部資金により研究プロジェクトを実施します。2023年度は21件の外部資金プロジェクトと2件の学長イニシアティブプロジェクトが実施され、延べ159名の研究員がこれに参加しました。リエゾンセンターは広く社会と学術文化の発展に寄与する優れた研究を支援し、産官学の連携や地域との連携を促進する活動を行っています。統合研究機構はこれらの活動を通じて、青山キャンパスと相模原キャンパスで幅広く研究活動を推進していくとともに、学内の研究インテグリティの向上を図り、社会に求められる研究の公正性と健全性を高めていきます。