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NEWS(経営学部)

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2023.08.18

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経営学部×サッポロビール 久保田ゼミ、芳賀ゼミの学生が、ジョイントプログラムで「国産ホップのブランド化企画」を考案し、プレゼンテーションを実施

2023年7月21日(金)、久保田進彦教授と芳賀康浩教授(いずれも経営学部 マーケティング学科)ゼミナール(ゼミ)の学生メンバーからなる6グループが、サッポロビール株式会社(以下、サッポロビール)とのジョイントプログラムで、「国産ホップをブランド化するためのマーケティング企画」を考案し、サッポロビール本社ビルでの最終発表会でプレゼンテーション(プレゼン)を実施しました。

今回のプロジェクトは、サッポロビール マーケティング本部 新価値開発部に勤務する芳賀ゼミ出身の新木絵理さん(2013年 経営学部卒)の発案でスタートし、プロジェクトの成果発表として最終発表会が行われ、特に優れた企画内容を考案した3チームが表彰されました。

新木さんは、国産ホップを生かした新商品開発に携わる中で、その魅力をもっと多くの人に伝えたいと考えるようになり、ビール離れが進む若年層の方々に、国産ホップの魅力を伝える上での課題と解決策を考えてもらおうと、ゼミの研究課題として「国産ホップのブランド化」を提案しました。

学生は、2023年4月のオリエンテーションから始まり、同年5月の中間発表を経て7月の最終発表に至るまでの3カ月にわたって、この課題に取り組みました。ホップという馴染みのない素材に戸惑いながらも、文献調査、インタビュー、質問紙調査などを行ない、ユニークな企画が提案されました。

最終発表には新木さんをはじめ、多くのサッポロビール社員の方が参加され、さまざまな質問・意見をいただきました。学生から提案された、ビールに留まらないさまざまな「国産ホップ」の活用アイデアや切り口は、今後サッポロビールでの国産ホップブランド化の取り組みにおいて活用される予定です。

受賞チームからのコメント 

【最優秀賞】ラッコ(齋藤蒼太さん、齋藤風子さん、平川夏舞さん)

①プレゼンや入賞を受けての感想
素敵なプレゼンが多かった中で最優秀賞に選んでいただけたことを光栄に思います。サッポロビール社員の方の前に立ってプレゼンを行うという貴重な機会をいただけて大変ありがたいと感じています。企業課題に対して試行錯誤しながら最後まで真剣に取り組み、納得のいくプレゼンができたという達成感を味わうことができました。

②今回のプロジェクトで注力した点、工夫した点、苦労した点
キャッチコピーや商品名が印象に残りやすくなるようにして他班と差別化すること、自分たちの考えや商品形態の根拠をしっかり提示することで説得力のあるプレゼンにすることを心がけました。また、どうしたら消費者の方が手に取ってくれるような商品になるかを、消費者と作る側の両方の立場から考えることで、「ただ自分たちが提供したいだけのもの」にならないようしました。

③経営学部での学びが生かされた点
どうしたら真新しい商品に目が向けられるようになるのか、マーケティング目線で考えることができました。既存の市場のデータと、アンケートやインターネットから得られた消費者の市場に対する不満とを照らし合わせる等データを比較して、消費者の需要を汲み取って商品を考え出すことができたという点で、経営学部での学びが生かされたように考えています。

④今回のプロジェクトを通して学んだこと、今後に生かしたいこと
今回のプロジェクトを通して、新商品開発の難しさを実感しました。中間発表でいただいたフィードバックから、自分たちはなぜこの商品形態にしたのか、なぜこのコンセプトにしたのか、消費者に興味を抱かせるための施策にも、根拠が必要なことを学びました。企業側の意思と消費者側の需要の均衡点にある商品を提案するには、さまざまなデータを比較して検討する必要があります。根気を要する作業ではありますが、一つ一つの主張に説得力を持たせるためには、客観的なデータが必要不可欠であることを改めて学びました。今後プレゼンがあった際にはここで学んだことを生かしたいと考えています。

【優秀賞】趣味食事(腰越遥さん、清水優衣さん、宮川万里さん、向川香波さん)

①プレゼンや入賞を受けての感想
チーム皆でベストを尽くしてプレゼンの準備を行い、当日を迎えました。最優秀賞だけを目指して全力で取り組んでいたので、結果はとても悔しいものとなりました。しかし、実際に企業の方に自分たちの考えたプランを審査していただく機会はとても貴重なものであり、多くのことを学ぶことができました。

②今回のプロジェクトで注力した点、工夫した点、苦労した点
中間発表後から、さらに3回のアンケートを行うなど、自分たちの身近なリアルな声をもとに、ホップのブランド化の施策を練ってきました。商品の巨大版ダミーを制作し持参したことが、当日の発表の中で1番工夫した点です。そのほかにも見やすく伝わりやすいプレゼンにするために、調査結果の伝え方や構成などを何度も練り直しました。

③経営学部での学びが生かされた点
マーケティング論等の授業で学んだことを生かした、ロジック重視の提案になっていたと思います。特に、市場の捉え方やターゲットの選定は難航し、想定されるニーズを何度も確認しながら、ホップのブランド化をするためのプロセスを考えました。

④今回のプロジェクトを通して学んだこと、今後に生かしたいこと
私たちの今回の敗因は、サッポロビールがもうすでに視野に入れていた「おつまみ」という分野でプラニングをしたという点でした。既存の概念にとらわれずもっと消費者や市場を広く見つめていたら、また違った提案ができていたかと思います。学内で行う学生コンペとは異なり、実際に働いていらっしゃる企業の方の目線での評価をいただけたので、次回同じような機会があったら、もっと新しい提案ができるようにチャレンジしていきたいです。

【特別賞】ポプテ(河本なつさん、時村明歩さん、阪野公紀さん)

①プレゼンや入賞を受けての感想
予想していなかったので、驚いたというのが率直な感想です。私たちの最善を尽くした結果がこのような賞に繋がり、嬉しく思います。約3カ月間、紆余曲折がありながらも、メンバー全員で苦労を重ね、最後には受賞できたことを嬉しく思い、良い経験になったと感じています。

②今回のプロジェクトで注力した点、工夫した点、苦労した点
今回のプロジェクトでは、実は中間発表の1週間ほど前に、企画案を変更したことがあり、ホップの価値を生み出すためにどのようなアプロ―チをすれば良いのかについて最後まで悩んでいました。結果的にこの判断が成功のきっかけになったと感じています。私たちは国民病である花粉症に着目し、ホップをつかった飴を考案しました。中間発表から最終発表まで、その価値を生かすことと、既存の薬との差別化を図るにはどうしたらよいかどうか検討に注力しました。またホップ飴の施策において、意外性やどのようなワクワク感を生み出すかに苦労しました。

③経営学部での学びが生かされた点
学部の講義では、経営戦略やマーケティング戦略を立案するうえで、フレームとなる考え方を学習できました。また、それらに触れる授業内でのワーク等の機会が充実していることから、実体験からの知見の習得に繋がり、今回のプロジェクトでも活用することができました。実際に大学で学んでいることが、社会においても生かせることを強く実感しました。

④今回のプロジェクトを通して学んだこと、今後に生かしたいこと
今回のプロジェクトを通して、論理的整合性の重要性を学びました。ブームの生まれ方から基礎調査、データ収集に至るまで、どの価値に着目してプロジェクトを進めていくのか、また、何が有用なのかという論理的思考力が大切であり、それを説得力のあるプレゼンで、分かりやすく伝えることが重要であると感じました。今後のゼミ活動や講義において、この論理的思考力を高めることを意識して取り組んでいきたいです。また、本プロジェクトではひとつの成果をあげることができたので、この経験を次に生かしていきたいです。

主催者からのコメント

サッポロビール株式会社 マーケティング本部 新価値開発部 新木絵理さん(経営学部 マーケティング学科 2013年卒業、芳賀ゼミナール出身)

今年の4月に学生の皆さんにお題を提示して、約3カ月にわたって取り組んでいただきました。今回のテーマである「国産ホップ」について、学生の皆さんはおそらく初めて知ったり触れたりした人がほとんどだったと思いますが、どのチームも非常に真剣に向き合っていただきました。中間発表の終わりには、積極的にブラッシュアップのための質問をいただきましたし、最終発表が終わった後にも、自分たちのチームに足りなかった視点は何か、といった質問をたくさん受けました。発表いただいたアイデアはもちろんですが、こういった積極的な姿勢にとても感銘を受けましたし、これからもさまざまな物事に真剣に、そして丁寧に向き合っていただけたらと思いました。今回の取り組みが、学生の皆様にとって気付きや学びを得る機会となり、ご自分の成長につなげていただけていたら、とても嬉しく思います。

プレゼンの内容についても、非常に刺激をいただきました。国産ホップを使ったビールの新商品ではなく、国産ホップ自体をどうブランド化するか、という難しいお題だったにもかかわらず、固定観念にとらわれないさまざまな切り口・アイデアを提案していただき、とても嬉しく思います。どのチームも、世の中の変化やお客様の嗜好の変化や課題を捉えた非常にロジカルな提案でしたので、とても感心しました。

ホップはビールに欠かせない原料ですが、ビールだけにとどまらない多くの可能性を秘めたものだ、ということを、私自身が再確認できましたし、非常にわくわくさせていただきました。サッポロビールだからこそできる国産ホップの魅力増進に向けて、今回の取り組みを生かしていけたらと思います。ありがとうございました。

芳賀康浩教授(経営学部 マーケティング学科)

企業のマーケティング担当者が直面している課題に取り組ませていただくことは、学生にとってビジネスの現場を垣間見る貴重な機会ですが、今回は、実際にマーケティング担当として活躍する本学経営学部卒業生の新木さんからの課題ということで、よりリアリティのある経験になったと思います。

一方で、非常に難しい課題だったこともあり、単なるアイデアコンテストにならないよう、新木さんと私たち担当教員で議論を繰り返し、学習効果という観点からプロジェクトの進め方に制限を設けました。参加学生たちには、食品・飲料のマーケティングにおける原料の役割、流行の発生メカニズムに関する文献調査や流行現象に関する定性調査、そこから導き出したコンセプト案のテストなどが課せられました。こうした取り組みの中で、日頃の授業やゼミで概念、フレームワーク、理論を学ぶことの意義を感じることができたのではないかと思います。この経験が今後のゼミでの学習・研究に生かされることを期待しています。

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