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NEWS(総合文化政策学部)

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2022.06.30

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「世界難民の日(6月20日)」に、飯笹佐代子教授(総合文化政策学部)ゼミナールが、特別授業「大学生が考える、私たちの難民問題」を開催

「世界難民の日」は、2000年の国連総会において、難民の保護と支援に対する世界的な関心を高め、UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)を含む国連機関やNGOによる活動に理解と支援を深める目的で制定されました。
この日に合わせ、飯笹佐代子教授(総合文化政策学部 総合文化政策学科)のゼミナールでは、映画を配給するトランスフォーマーの協力を得、現在全国で上映中の映画『FLEE フリー』を通して難民問題を考えるための特別授業を行いました。

総合文化政策学部4年生の市川優果さん、ラサン イースターさんの2人による司会進行のもと、映画『FLEE フリー』と監督による特別メッセージの上映、ゲストスピーカーによる講演に続き、学生たちが活発に意見交換しました。 

特別メッセージの上映でヨナス・ポヘール・ラスムセン監督は、ウクライナやアフリカ、ミャンマーなどの難民問題にも触れ、「彼らの物語は“難民の話”ではなく“人間の話”と考えることが大切です。彼らの物語を人間的な視点で観ることで、初めて助け合うことができるはずです」と学生に向けてメッセージを送りました。

続いて難民を助ける会(AAR Japan)のプログラム・コーディネーターである鶴岡友美氏がゲストスピーカーとして登壇し、自身の難民支援活動の経験を踏まえ、アフガニスタン難民が生まれた歴史的背景や現状について解説しました。

学生たちによる意見交換では、日本の難民支援の現状や今後のあり方に焦点が当てられました。

今年2022年8月からスウェーデンに留学予定の学生から、日本とスウェーデンの難民支援制度を比較して「日本の難民受け入れの人数を増やすことは、もちろん大事だが、受け入れた人、これから受け入れる人に対して、皆が生きやすい社会を作るための制度と考え方を、他国を参考にしながら改めて考えてみる必要があると思った」といった発言がありました。

また、「難民に対して、日本として何をするべきか、私にはまだ言えないが、映画やアニメの力を借りるなどして、一人一人が学ぶこと、無関心のままでいないことが今の私たちがやらなければならないことだなと感じた」という意見もありました。

「今、ウクライナの避難民だけがメディアで特別視されており、もっと他の難民の存在も報道すべき」といった意見や、「監督のメッセージにもあったように、難民の問題としてではなく、一人の人間の問題として見ていく必要性を強く感じた。そして、問題解決のためには、そもそも私たちが、日本をどういう社会にしていきたいのかといった根本的な課題から議論を進めていけるような場があったら良いと思う」といった感想も述べられました。

ディスカッションは予定の終了時間をオーバーするほどの盛り上がりを見せ、こうした問題意識を「世界難民の日」だけで終わらせることなく、ずっと持ち続け、議論を重ねていくことの重要性を確認して、特別授業が締めくくられました。

◆映画『FLEE フリー』について 【HP:https://transformer.co.jp/m/flee/】
デンマーク、スウェーデン、ノルウェー、フランスによる合作のアニメーション映画で、本年度アカデミー賞にて、史上初となる国際長編映画賞、長編ドキュメンタリー賞、長編アニメーション賞3部門に同時ノミネートされたことでも話題となっている。
<STORY>アフガニスタンで生まれたアミンは、幼い頃、父が連行されたまま戻らず、残った家族とともに命がけで祖国を脱出した。やがて家族とも離れ離れになり、数年後たった一人でデンマークへと亡命した彼は、30代半ばとなり研究者として成功を収め、恋人の男性と結婚を果たそうとしていた。だが、彼には恋人にも話していない、20年以上も抱え続けていた秘密があった。あまりに壮絶で心を揺さぶられずにはいられない過酷な半生を、親友である映画監督の前で、彼は静かに語り始める…。

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監督:ヨナス・ポヘール・ラスムセン 製作プロダクション:Final Cut for Real『アクト・オブ・キリング』 製作総指揮:リズ・アーメッド、ニコライ・コスター=ワルドー
2021年/デンマーク、スウェーデン、ノルウェー、フランス合作/シネスコ/カラー/89分/5.1ch/G/原題:Flugt 英題:FLEE
日本語字幕:松浦美奈/後援:デンマーク大使館、特定非営利活動法人 国連UNHCR協会/配給:トランスフォーマー

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