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EVENT(学外講座)

SCHEDULED

2022.11.05 - 2022.12.03

TITLE

【青山キャンパス公開講座】地理情報システム(GIS)による現代社会の可視化

講座概要

対面またはオンライン配信
2022/11/5 ~ 12/3 毎土曜日 11:00~12:30(初回のみ12:40)

スマートフォンが身近な存在になったことで、デジタル化された地図も身近な存在になってきたかと思います。デジタル化された地図の活用は多くの分野で期待はされてはいますが、現状ではまだそれほど多くの分野で活用されているとは言えない状況です。この公開講座では、GIS(地理情報システム)を用いた空間的な分析について事例を交えた形で講義を行っていきたいと思います。

講座申し込み

第1回 2022/11/5(土)GISと高等教育

ESRIジャパン株式会社
鈴木 瑛莉・新井 史也

GIS(Geographic Information System:地理情報システム)は、地理的位置を手がかりに、位置に関する情報を持ったデータ(空間データ)を総合的に管理・加工し、視覚的に表示し、高度な分析や迅速な判断を可能にする技術である。
現代社会では、防災・都市・交通インフラ・保健医療・農業森林・自然環境など様々な分野で、GISの技術的な活用が進んできている。
また近年、高等学校や大学などの教育分野でのGISの活用も進んできており、教育分野からの空間的思考や空間解析の普及促進が期待されている。
本講義では、GISとはどんな技術なのか、その活用例や今後の可能性を解説した上で、教育分野でのGISの活用状況について具体例を示しつつ、本学でのGIS教育の現状についても紹介していきたい。

<プロフィール>
ESRIジャパン株式会社

2002 年 4 月に米国Esri社の GIS(地理情報システム:Geographic Information System)製品 ArcGIS の日本国内総販売代理店として設立。
設立当時から GIS は、大学などの研究機関や測量をはじめとする専門分野の方々に多く利用されていたが、現在では地理空間情報の利用用途が広がり、ビジネス、保健・福祉医療、電力・ガスなどの公益事業、交通、資源管理、国土管理、危機管理、安全保障など、多くの分野・業務で活用が進んでいる。
設立以来「お客様サポート第一主義」のコンセプトを掲げ、GISの技術を通じたお客様の課題解決や持続可能な社会の実現に貢献するとともに、お客様同士が成果を共有し活用していただける“GISコミュニティ作り”にも日々取組んでいる。

第2回 2022/11/12(土)GISと訪日外国人

経済学部現代経済デザイン学科 教授
髙橋 朋一 [TAKAHASHI Tomokazu]

日本は様々な観光資源を持っていながら外国に比べて観光に関して大きな遅れを取っていたことから日本政府は観光立国を目標に挙げ、2003年にビット・ジャパン・キャンペーン、2007年に観光立国推進基本法が施行されました。さらに2008年に観光庁が設立されて観光立国として動き始めました。これを後押しするように2010年に中国人個人観光ビザ発給要件緩和が実施され、2012年にはLCCが開通して日本に来る旅費が割安となりました。さらに、2020年に開催されるオリンピックが2013年に東京に招致できたことが追い風となり日本を訪れる外国人観光客が急激に増加しました。日本を訪れる外国人が増え続けている現状としては日本政府が掲げた観光立国はひとまず成功し、中国人の爆買いで経済的に一時的な効果はあったが1人当たりの旅行支出は2015年をピークに減少傾向にあります。また、2020年のオリンピックを迎えるにあたり宿泊施設の問題や公共交通の問題などそれまでに解決しておかなければならない問題がありましたが、新型コロナウィルスのために日本を訪れる外国人が激減することになってしまい、これらの問題は棚上げ状態になってしまいました。新型コロナウィルスの影響でしばらくの間は日本を訪れる外国人は少ないと思われますが、このままの状態がいつまでも続くとは思われません。再び日本を訪れる外国人が増えていく前に、これらの問題を解決しておくために日本を訪れた外国人がどのような行動をしていたかを知っておく必要があるかと思われます。
そこで、本講義ではインバウンドデータとGISを用いた空間的な分析を行っていきます。本講義での分析の対象地域としては日本を代表とする食文化を有する大阪市とします。大阪市近辺には国際空港が立地することから日本の玄関としての機能を持ち、そしてUSJや大阪城といった観光都市としての機能を十分に有しています。また、大阪市内にはキタと呼ばれる大阪・梅田エリア、ミナミと呼ばれる難波・天王寺エリアがあることでそれぞれの特徴が観光客には非常に興味がある都市と思われます。まずインバウンドデータを用いたホットスポット分析により空間的なクラスタリングを行って訪日外国人の行動範囲等について分析を行います。次に地理的加重回帰分析により訪日外国人がどのような要因で行動しているかを分析します。これらの結果から訪日外国人の行動の特徴について紹介していきます。

<プロフィール>
青山学院大学 経済学部現代経済デザイン学科 教授
髙橋 朋一 [TAKAHASHI Tomokazu]

法政大学工学部電気工学科計測制御専攻卒業、同大学院工学研究科システム工学専攻修士課程修了、同大学院工学研究科システム工学専攻博士課程修了、博士(工学)。青山学院大学経済学部助手、総務省郵政研究所担当研究官を経て、現在青山学院大学教授。専門分野は地理情報システム(GIS)、システム工学。主な著書に、『事例で学ぶGISと地域分析 ArcGISを用いて』(古今書院 2005年)、『地域間格差と地方交付税の歪み 地方財政の外れ値の探索』(勁草書房 2008年)、「GISを用いた訪日外国人の行動分析 ― 大阪市を事例にして ― 」(青山経済論集 2018年)等がある。

第3回 2022/11/19(土)GISと視線計測

経済学部経済学科 教授
矢吹 初 [YABUKI Hajime]

GISでは、さまざまな情報を地図上に提示することで、従来わからなかった新しい知見を獲得することができます。
わたしたちは生活の中でさまざまなものを見ています。店舗での買い物では、まず商品を見ることから始めるのです。また携帯端末上に表示されるさまざまな情報も見ることから始まります。このようにわたしたちは見ることからさまざまな情報を得ています。視覚から得る情報である視線情報は、認知情報の中でももっとも重要なものです。
GISシステムで、地図に視線情報を統合することで有益な知見が得られることが期待できます。
現在、自然災害に対して多くの防災行政が実施されています。防災掲示や安否確認などの多くは見ることから始まります。また道路などもその形状や環境などから事故が発生しやすい場所があることが知られています。対向車が見づらい道路形状や景観のため注意が散漫になりやすいといった事故原因は視線情報がもたらすものといえます。
地図情報に視線情報を加えることで、地図のみではわからない知見を得ることが期待できます。
 本講座では、文部科学省私立大学戦略的基盤形成支援事業(2015年採択)において実施した「視線情報と地理情報の統合」研究成果をもとに、GISと視線情報の統合によって得られた結論の一部を紹介します。
人間の知覚には順化効果やアナウンスメント効果、非注意性盲目などが知られています。馴化効果とは日常生活のなれのことです。アナウンスメント効果とは、事前の情報により個人の行動が変化するという現象です。非注意性盲目とは、特定の対象物に視線が集中することで、周辺視野が縮小して、周辺に存在しているはずのものを認知できなくなる現象です。
 これらの認知特性は、防災や交通事故などにも影響を及ぼす重要な性質である。地理情報と視線情報の統合を通じて、地理的環境と認知特性の関連性を検証する。
参考文献
矢吹初、高橋朋一「視線計測のエラー率の傾向-視線情報と地理情報の統合-」『経済研究』Vol.12, PP.83-109, 2020.
矢吹初「視線計測実験による認知特性に関する一考察」『経済研究』Vol.12, PP.111-134, 2020.

<プロフィール>
青山学院大学 経済学部経済学科 教授
矢吹 初 [YABUKI Hajime]

東京大学経済学研究科博士後期課程満期退学
現在、青山学院大学経済学部教授。専門分野は財政学。主な著書に『地域間格差と地方交付税の歪み-地方財政の外れ値の探索-』(共著 勁草書房 2008年)、『市町村合併のシナジー効果-改革時代の自治体「意識」の分析-』(共著 日本評論社 2012年)などがある。

第4回 2022/11/26(土)GISとビッグデータ

経済学部現代経済デザイン学科 教授
髙橋 朋一 [TAKAHASHI Tomokazu]

ここ数年前から統計の重要性について耳にすることが多くなったように思われますが、その重要性が出てきたのはデータの価値を評価するということもあるかと思われます。今まではデータを収集したとしても決まった方法で分析をし、データから得られる情報に目新しさが見られなかった場合が多くあったかと思います。しかし、データの分析手法に少し工夫を加えることで、今まで得られなかったことが見えてくることがあります。これらのことは学問の分野だけでなく、ビジネスにおいても統計あるいはデータを分析する知識や活用というものの必要性が高まり、21世紀型スキルとして国際社会で広く認めらようになってきました。それを受けて国際通用性のある統計活用能力の体系的な評価システムとして統計検定が2011年に発足されました。
これに相応してデータサイエンスあるいはデータマイニングという言葉をよく耳にするようになったと思います。データマイニングのマイニングとは採掘という意味があり、データマイニングは多くのデータの中から採掘を行って宝を見つけるということになります。そのためには統計学をベースにした分析を行うことになりますが、ここ最近のトピックスとしてビックデータやAI(人工知能、機械学習、深層学習)ということを聞いたことがある方は多くいるかと思います。ビックデータと言った時にどのようなデータを思い起こさせるかというと、コンビニのPOSデータや、新型コロナウィルスの報道でよく取り上げられているスマートフォンの位置情報のデータがあるかと思います。これらのデータは日々蓄積されるため膨大なデータとなっています。これらはデータ量が多すぎるために統計学の分析手法だけではデータの中に潜む宝を見つけることができないケースが出てきたこともあり、AIを組み合わせた手法で分析をすることで新たな結果が得られるようになってきました。また、本講義で用いるGISでもビックデータを扱って空間的な分析を行うことができます。空間的にデータを捉える利点としては、個々のデータの周辺のデータあるいは環境を考慮した分析を行うことができるので、より現実に近い分析ができます。
本講義ではビックデータとしてスマートフォンの位置情報を用いることにします。本講義での分析の対象地域としては東京都の23区として、対象期間は東京都で初めて新型コロナウィルスの罹患者が出た2020年1月24日から第1波が終息し1回目の緊急事態宣言が解除された2020年5月25日のデータを用いることにします。そして、GISソフトのArcGIS Proを用いて未知のコロナウィルスに対しての人々の行動について空間的に分析を行い、その結果について紹介していきます。

<プロフィール>
青山学院大学 経済学部現代経済デザイン学科 教授
髙橋 朋一 [TAKAHASHI Tomokazu]

法政大学工学部電気工学科計測制御専攻卒業、同大学院工学研究科システム工学専攻修士課程修了、同大学院工学研究科システム工学専攻博士課程修了、博士(工学)。青山学院大学経済学部助手、総務省郵政研究所担当研究官を経て、現在青山学院大学教授。専門分野は地理情報システム(GIS)、システム工学。主な著書に、『事例で学ぶGISと地域分析 ArcGISを用いて』(古今書院 2005年)、『地域間格差と地方交付税の歪み 地方財政の外れ値の探索』(勁草書房 2008年)、「GISを用いた訪日外国人の行動分析 ― 大阪市を事例にして ― 」(青山経済論集 2018年)等がある。

第5回 2022/12/3(土)GISと小地域人口統計

経済学部現代経済デザイン学科 教授
井上 孝 [INOUE Takashi]

小地域人口統計とは、一般には自治体(市区町村)よりも小さな地域を単位とする人口統計を意味します。日本では、町丁・字(たとえば、〇〇市□□三丁目)を小地域と呼ぶことが多く、実際に町丁・字別すなわち小地域単位の人口統計を政府統計ポータルサイトe-STAT(https://www.e-stat.go.jp/)から自由に入手できます。この原稿の執筆時点(2022年3月上旬)では、同サイトの「地図で見る統計(統計GIS)」から、4回の国際調査時(2000、05、10、15年)の小地域人口統計をダウンロードできます。得られるデータの種別には、男女5歳階級別人口はもとより、世帯人員別一般世帯数、産業別・従業上の地位別・職業別就業者数など、国勢調査の調査項目のうちの代表的なものが含まれています。このような詳細な小地域人口統計が公開され自由に入手できる国は、世界的に見ても先進国の一部しかなく、日本は小地域人口統計についてはかなり先進的であるといえます。
小地域人口統計はGISと非常に相性がよく、この点は上述のサイト名「地図で見る統計(統計GIS)」にも現れています。「統計GIS」との副題が設けられているのは、同サイトが統計データだけでなく、いわゆる境界データ(小地域の境界に関する座標情報を意味しGISの分析には必須のデータ)も提供しているからです。GISの知識があれば、同サイトから統計データと境界データをダウンロードすることにより、たとえば、高齢化率や人口増加率を小地域単位で地図化することはもとより、より高度な空間分析も可能となります。こうした分析は、市区町村単位の人口統計では到底不可能であったものも多く、実際にそれをさまざまな計画・政策に活かすことができます。たとえば、小地域別の高齢化率を地図化することにより、防災や高齢者施設の配置計画に資することができますし、20~30歳代女性の小地域別の分布を地図化すれば、その世代の女性が好む商品のマーケティングに活かすことができます。
一方、こうした分析は小地域別の将来の人口がわかればさらにその応用範囲が拡がるのですが、そのようなデータはこれまで日本はもとより他国でもほとんど存在しませんでした。その理由は、小地域単位の将来人口推計が技術的に難しかったためです。ちなみに、日本の将来人口推計は、国立社会保障・人口問題研究所が実施してきた市区町村別のものが最小単位でした。これに対して、私は小地域単位の将来人口推計に関する新しい手法を開発し、その手法を用いて、日本の小地域別の長期的な将来人口推計を実施し、2016年にその結果を「全国小地域別将来人口推計システム」(http://arcg.is/1LqC6qN)として初めてインターネット上に公開いたしました。このサイトの公開の反響は大きく、公開後に多くの研究者や実務家の方からたくさんの利用申請が届いております。今回の講座では、このサイトの紹介とその応用例に関する話題を中心にお話ししたいと思います。

<プロフィール>
青山学院大学 経済学部現代経済デザイン学科 教授
井上 孝 [INOUE Takashi]

1990 年筑波大学大学院博士課程地球科学研究科単位取得済退学。秋田大学教育学部助教授等を経て、2002 年より現職。博士(理学)。専門は地域人口学。共編著に『日本の人口移動—ライフコースと地域性—』、『事例で学ぶGIS と地域分析—ArcGIS を用いて—』、『地域と人口からみる日本の姿』、『首都圏の高齢化』、『自然災害と人口』等がある。日本地理学会研究奨励賞、シンフォニカ統計GIS 活動奨励賞、国際人口地理学会議最優秀ポスター発表賞等を受賞。

講座申し込み

申込期間 2022年10月3日(月)~17日(月)
受講料 無料
申込方法 ウェブサイト申込画面からお申し込みください。なお、 受講者多数の場合は抽選を行う場合がありますのであらかじめご了承ください。
(1)申込者1名につき、1回のお申し込みになります。
(2)申込受付時に自動返信メールが送られます。フリーメールをご利用の場合、確認できないことがあります。また、迷惑メールとして処理されていることがありますのでご注意ください。確認のメールが届かない場合は下記の問い合わせ先までご連絡ください。
(3)開講1週間前を目安に、ご登録いただいたメールアドレス宛にマイページのID・パスワードをお送りします。受講のご案内を配信いたしますので、マイページ「お知らせ」をご確認ください。
(4)下記「お申し込みはこちら」からお申し込みください。リンク先は申込期間のみ稼働しておりますので、ご注意ください。
注意事項 (1)お申し込み時に受講形式をお選びください。講座の途中で変更することはできません。
(2)お申し込み者1名につき、1メールアドレスにてお申し込みください。複数のメールアドレスを使用し重複してお申込みをされた場合、お申込み自体を無効とさせていただきます。
(3)1度のお申し込みで、1シリーズ(全5回)のお申し込みとなります。
(4)先着順ではありません。お申し込み者多数の場合は、抽選とさせていただきます。
申込期間 2022年10月3日(月)~17日(月)
受講料 無料
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(2)申込受付時に自動返信メールが送られます。フリーメールをご利用の場合、確認できないことがあります。また、迷惑メールとして処理されていることがありますのでご注意ください。確認のメールが届かない場合は下記の問い合わせ先までご連絡ください。
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