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EVENT(学外講座)

SCHEDULED

2023.07.01 - 2023.07.22

TITLE

【相模原キャンパス公開講座】ウクライナ侵攻後の地球規模課題

講座概要

対面またはオンライン配信
2023/7/1 ~ 7/22 毎土曜日 13:00~14:30(初回のみ14:40)

2022年2月のロシアによるウクライナ侵攻で、地球を取り巻く環境は大きく変化した。侵攻が北大西洋条約機構(NATO)とロシアとの重大な敵対関係をもたらす一方で、露・中・北朝鮮の関係は深まり、米中対立は先鋭化の一途をたどっている。経済的には燃料や食糧価格を中心にインフレが生じている。今、人類にはどのような課題が待ち受けており、それをどう解決していくべきなのだろうか。経済学、国際関係論、民族植物学、地理情報システムなど様々な分野の研究者が読み解きます。

講座申し込み

第1回 2023/7/1(土)変革を迫られる国際人道支援システム

地球社会共生学部地球社会共生学科 教授 
堀江 正伸[HORIE Masanobu]

紛争・戦争や、自然災害の被害にあった際、まず必要とするものは何だろうかと考えてみれば、食料、水、仮設住宅・・・さまざまな物やサービスが必要になることはすぐに想像できると思います。ウクライナから避難される方々が、避難の途中でまた避難先で食料などの物資を受け取っている様子をテレビなどで見た方も多いのではないでしょうか?また、自然災害が多い日本では、実際に被害にあわれた方にお目にかかることもあります。そうした緊急事態にあわれた方々が受け取る支援が人道支援です。
人道支援とは、緊急事態の直後に、人命救助、苦痛の軽減などのために人々がすぐに必要となる物資やサービスを提供するような支援であり、一般的には赤十字の創設とともに始まったと言われています。しかし、今日では国際連合も分野別に多くの人道支援機関を運営し、また非政府組織(NGO)や民間企業も大きな役割を果たしています。一方で、人々が人道支援を受ける様子は報道されるものの、どのように支援が計画され、実際に行われるのかはあまり知られていないのではないでしょうか?
そこで今回の講座では、国際的な人道支援がどのように発展してきたのか、また現在どのような仕組みでおこなわれているのかを紹介いたします。さらに、昨今の国際情勢の変化とともに、国際的な人道支援が今後どのように進化するべきなのかを検討してみたいと考えています。

講師プロフィール

青山学院大学 地球社会共生学部地球社会共生学科 教授 
堀江 正伸[HORIE Masanobu]

慶応義塾大学経済学部卒業後、一般企業で国際協力事業を担当後、国際連合世界食糧計画(WFP)職員としてインドネシア、スーダン、フィリピン、イエメン、アフガニスタンにて勤務。
上記の実務とともに、国際協力、特に人道支援に関する研究を行い、早稲田大学社会科学研究科博士課程を修了、博士(学術)を取得。2017年、研究を継続するとともに、大学生と国際協力の将来を検討し、また日本で国際協力を実行するために大学教員に転身、2022年4月より現職。

第2回 2023/7/8(土)ウクライナ侵攻後の自由貿易体制

青山学院大学 名誉教授
岩田 伸人[IWATA Nobuto]

1 自由貿易体制の発端、東西冷戦、ソ連崩壊とウクライナの独立、
第二次世界大戦が始まってまもない、1941年8月、米国のローズベルト大統領と英国のチャーチル首相の二人は、戦後の新たな世界の枠組みを考案し(大西洋憲章:Atlantic charter),
その中で、戦争のない平和を維持するために、自由で開かれた国際貿易が望ましいと考えました。それは、GATT(関税および貿易に関する一般協定)体制として1948(昭和23)年にスタート、1994年末まで続き、1995年1月からはGATTよりも自由貿易体制の分野を拡大したWTO(世界貿易機関)へ引き継がれました。その間、1991年末のソ連崩壊とともに東西冷戦の時代が終わり、社会主義国家”ソ連邦”は、ロシアや、ウクライナ、バルト3国など15の国々に分裂し、それらの多くは西側(民主主義国家)陣営のGATT/WTOへ参加します。ロシアは、欧州連合(EU)に酷似したユーラシア経済連合 (EAEU)を立ち上げて、ウクライナを含むそれらの国々との再結束を図ろうとしますが参加したのは、ベラルーシなど4カ国に過ぎませんでした。
2 米国の影響力低下、中国やグローバルサウスの台頭、経済安全保障への傾倒
しかし、その後、米国の自由貿易体制への影響力は弱まっていき、中国やインドなど新興勢力の影響力が強まっていきます。米国ではトランプ政権の下で、「自由貿易」よりも「国家の安全保障」を優先すべきとの考え方が強まり、米中の分断(デカップリング)も目立ってきます。
3 デジタル貿易の拡大、新たな貿易体制・制度の模索
この流れが決定となったのは、コロナ禍、そしてロシアのウクライナ侵攻以降です。2001年から始まった「自由貿易体制=WTO体制」下での貿易自由化交渉は、事実上頓挫しており、主要国は、WTOルールに頼らない新たな、経済安全保障を確保するための地域枠組みを形成しつつあります。さらにインターネットの普及に伴う「デジタル貿易」の自由化のためのルール作りでは、データの自由移動を優先すべきとする米国、データは国家が管理すべきとする中国、個人データは本人の了解のもとで移動を認めるべきとするEUの三つの潮流が顕在化しつつあります。

講師プロフィール

青山学院大学 名誉教授
岩田 伸人[IWATA Nobuto]

早稲田大学博士課程修了。国連大学高等研究所客員教授(2004〜2013年)。青山学院大学(大学附置)WTO研究センター所長(2003〜2017年)、地球社会共生学部教授を経て、2022年4月より名誉教授。専門分野は国際貿易論。
主な著書『WTOと予防原則』(農林統計協会)2004年、『日本モンゴルEPAの研究』(文眞堂)2010年、『米国通商政策リスクと対米投資・貿易』(文眞堂)共著2018年。

第3回 2023/7/15(土)衛星画像からデータを読み解く

地球社会共生学部 地球社会共生学科 助教
髙田 百合奈 [TAKATA Yurina]

本講座では、ウクライナ侵攻による戦況を衛星画像やSAR画像から分析する事例を紹介し、衛星画像の有効性について説明します。衛星画像による経年変化の読み解きは、数値データからは得られない情報を得ることができ、AIの活躍が期待される分野です。また、自然災害や森林伐採、過疎地、空き家問題など、様々な分野において衛星画像解析が有効であり、政策やまちづくり、インフラ整備などの次のアクションにもつながります。
さらに、本講座では、フォトグラメトリを利用したデジタルアーカイブの事例と、デジタルツインの利活用についても解説します。デジタルアーカイブで過去の記録を残すことは、将来に向けた貴重な情報源となり得ます。また、デジタルツインは、実際の物理的空間とデジタル空間をリンクさせることで、さまざまな分野に応用が期待されています。
しかしながら、情報が容易に入手できる時代においては、情報過多に陥り、適切な情報の取捨選択が困難になっています。特に、AI技術によるChatGPTのような大規模な言語モデルを使った情報収集が可能となりましたが、AIが導き出す回答は、集合知としての答えであり、事実とは限らない、いわば誰でもない誰かの意見であると言えます。
こうした情報過多と、AIが導き出す情報の信頼性に対する不安から、AIを敵視する動きもありますが、AIは人間の補助的な役割を果たすことで、私たちの生活を便利にすることができます。
そこで、AIを敵視するのではなく、AIが持つ特性を理解した上で、適切な場面で大いに利用していくことが必要です。AIは、人間の得意とする分野とは異なる分野において大きな成果をあげることができますが、それでも限界があります。人間の感性や創造性など、AIが持たない要素を持っていることを認識し、AIと人間が協力することで、より高度な成果をあげることができるようになります。
本講座では、衛星画像やAIを利用したデータ解析の重要性や有用性、また情報リテラシーの重要性について学び、将来の社会課題に取り組むための知識とスキルを身に付けることを目指します。

講師プロフィール

青山学院大学 地球社会共生学部 地球社会共生学科 助教
髙田 百合奈 [TAKATA Yurina]

首都大学東京(現、都立大学)大学院博士課程修了。青山学院大学地球社会共生学部の助教、及び東京大学情報学環特任助教を務める。専門分野は、情報デザイン。
デジタルマップを活用したWebサービスを多数開発する。

第4回 2023/7/22(土)食から考える地球規模課題

地球社会共生学部 地球社会共生学科 助教
大澤 由実 [OSAWA Yoshimi]

世界や地球社会が抱える課題のうち、食に関するものはどれだけあるだろうか?飢餓、食糧不足、環境問題、フードロス、見えない貧困、健康問題など、実に多くの課題が食べることに関係していることがわかる。ロシアによるウクライナへの侵攻後、長引く戦争の影響による深刻な食料不足や食料価格の高騰など世界規模での食料危機が起きている。政治・紛争だけではなく、昨今の鳥インフルエンザの感染拡大による卵不足や、温暖化などの気候変動や災害の発生による食料生産への影響など、食べものに関する問題は後を絶たない。
一方、十分な量かつ安全な食料をどのように確保するのかという、国家の食料安全保障の課題に加えて、誰が、何を、どのように食べるかに目を向けてみると地球社会が抱える新たな問題も見えてくる。例えば、英語には「You are what you eat(あなたは、あなたが食べたものである)」という言い回しがあるように、我々の身体は何を食べるかでできている。フランスの美食家として有名なジャン・ブリア=サヴァランは、人が何を食べているのかをみれば、その人が何者なのかを言うことができると述べている。このように食は人を形成する一部であり、そしてアイデンティティーや文化とも深く結びついているのである。そこで本講義では、食べる「もの」と食べる「こと」の両方に着目し、ウクライナ侵略後の社会的な課題について考えていく。

講師プロフィール

青山学院大学 地球社会共生学部 地球社会共生学科 助教
大澤 由実 [OSAWA Yoshimi]

英国ケント大学大学院博士課程民族生物学専攻修了(PhD in Ethnobiology)。国立民族学博物館機関研究員など経て、現在青山学院大学地球社会共生学部助教。専門分野は食の人類学、民族生物学。主な著書(編著・分担執筆)に『世界の発酵食をフィールドワークする』、『世界の食文化百科事典』、『Devouring Japan: Global Perspectives on Japanese Culinary Identity』、『The Cultural Politics of Food, Taste, and Identity : A Global Perspective』など。

講座申し込み

申込期間 2023年6月1日(木)~14日(水)
受講料 1,300円
申込方法 相模原キャンパス公開講座は相模原市・座間市と共催で、市民大学青山学院大学コースとして実施しています。以下の市民大学ウェブサイトで申込方法をご確認の上、お申し込みください。なお、 受講者多数の場合は抽選を行う場合がありますのであらかじめご了承ください。
注意事項 (1)諸事情により講義題目・内容・講師・実施教室等に変更が生じる場合があります。
(2)講座は4回の講義で構成されております。1回だけの参加等はご遠慮ください。
(3)本学では駐車場・駐輪場のご用意がありません。車輛でのご来校はご遠慮願います。
(4)校舎内での喫煙、および教室内の飲食は禁止しております。ご理解のほどお願いします。
(5)講義途中の伝言・電話等による呼び出しは一切受け付けておりません。教室内での携帯電話等のご使用もお控えください。
(6)諸事情によりやむを得ず休講する場合がありますのでご了解ください。休講に関するお知らせはウェブサイトあるいは下記お問い合わせ先にてご確認ください。
(7)講師や他の受講生等に迷惑をかける行為や係員の指示に従わない場合は受講をお断りすることがあります。
(8)受講生の個人情報は本学の「学校法人青山学院個人情報保護に関する規則」に基づき、適切な対応に努めます。
(9)オンライン配信を選択した場合、安定した通信環境のご用意をお願いします。
申込期間 2023年6月1日(木)~14日(水)
受講料 1,300円
申込方法 相模原キャンパス公開講座は相模原市・座間市と共催で、市民大学青山学院大学コースとして実施しています。以下の市民大学ウェブサイトで申込方法をご確認の上、お申し込みください。なお、 受講者多数の場合は抽選を行う場合がありますのであらかじめご了承ください。
注意事項 (1)諸事情により講義題目・内容・講師・実施教室等に変更が生じる場合があります。
(2)講座は4回の講義で構成されております。1回だけの参加等はご遠慮ください。
(3)本学では駐車場・駐輪場のご用意がありません。車輛でのご来校はご遠慮願います。
(4)校舎内での喫煙、および教室内の飲食は禁止しております。ご理解のほどお願いします。
(5)講義途中の伝言・電話等による呼び出しは一切受け付けておりません。教室内での携帯電話等のご使用もお控えください。
(6)諸事情によりやむを得ず休講する場合がありますのでご了解ください。休講に関するお知らせはウェブサイトあるいは下記お問い合わせ先にてご確認ください。
(7)講師や他の受講生等に迷惑をかける行為や係員の指示に従わない場合は受講をお断りすることがあります。
(8)受講生の個人情報は本学の「学校法人青山学院個人情報保護に関する規則」に基づき、適切な対応に努めます。
(9)オンライン配信を選択した場合、安定した通信環境のご用意をお願いします。

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