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EVENT(学外講座)

SCHEDULED

2023.10.21 - 2023.11.18

TITLE

【相模原キャンパス公開講座】アフターコロナの社会・経済活動の展望

講座概要

※9月22日更新 申込期間を延長しました。

対面またはオンライン配信
2023/10/21 ~ 11/18(11/4を除く) 毎土曜日 10:30~12:00(初回のみ12:10)

新型コロナウイルスのパンデミックにより、我々の社会は劇的に変化しました。とくに最近ではアフターコロナを見据えた社会経済活動に関心が集まっています。本講座ではアフターコロナの社会経済活動はどのようになっていくのかということについて、専門家だけではなくさまざまな分野の現場の声も交えつつ未来を見据えた議論していきます。

講座申し込み

第1回 2023/10/21(土)コロナは日本社会をどのように変えたか?

社会情報学部 准教授
大林 真也[OBAYASHI Shinya]

新型コロナウイルスの流行は我々の生活を大きく変えた。人々の移動や接触は著しく制限された。とりわけ、経済活動においてはテレワークが積極的に導入され、それによりむしろ生産性が向上するような例も見られた。その一方で、テレワークを導入できない接触を伴う職種においては、導入は見送られたり、休職を余儀なくされたりするなど大きな変化を被った。このように、新型コロナウイルスの流行は、社会の人々に不均等に変化をもたらした。
WHOがパンデミックを宣言してから4年ほどが経ち、社会のさまざまな分野で大規模なデータ収集が行われたり、ビッグデータの解析が進んだ。今回の講義では、それら最新の実証的知見を概観し、新型コロナウイルスの流行がもたらした社会の変化を議論していく。
具体的には、まずテレワークの導入をはじめとした経済活動の変化を見ていく。テレワークの実施は、それまで職種・雇用形態・性別において存在していた、社会的な不平等に対してどのように影響したのだろうか。それは社会の効率性を改善し、不平等を是正するのに寄与したのだろうか。また、労働の変化は職場だけに変化をもたらすわけではない。それは家庭生活にも影響を及ぼす。テレワークの実施によって、家庭にいる時間が必然的に増えるからだ。これまで職場にいる時間が長かった人(とくに男性)が、家庭にいる時間が増えることによって何が起きるだろうか。日本は先進国の中で男性の家事時間が極端に少ない国であるが、男性の家事時間は増えただろうか。そしてそれは単に家庭にいる時間が長いからだろうか、あるいは「性別役割分業意識」(男性は外で働き、女性は家庭を守るべきという意識)が変化したからなのだろうか。
新型コロナウイルスの流行は、これまでの日本で長らく根付いていた働き方、家庭での過ごし方(家事や育児など)、またそれらについての社会規範に対してどのように影響したのだろうか。とくに、新型コロナウイルスの流行やそれに対する行政の対策は「外生的要因」としての性格を持っており、いわば「実験的状況」が出来上がっているため、いくつかの要因については因果関係の特定が可能になっている。本講義ではそうした最新の実証的知見を踏まえつつ、社会の変化を概観していきます。

講師プロフィール

社会情報学部 准教授
大林 真也[OBAYASHI Shinya]

2015年東北大学大学院文学研究科博士課程後期修了(文学博士)。日本学術振興会特別研究員PD(東京大学経済学研究科)を経て、現在青山学院大学社会情報学部准教授。専門分野は、社会学、計算社会科学。社会的ジレンマ状況における人々の協力のメカニズムについて、数理・計量・実験などの方法を用いて、研究を行っている。代表的著作として、“Labor Union Members Play an OLG Repeated Game,” Proceedings of the National Academy of Science, 111(supplement3): 10802-9.や”It’s My Turn: Empirical Evidence of Upstream Indirect Reciprocity in Society through a Quasi-Experimental Approach,” Journal of Computational Social Science(in press).がある。

第2回 2023/10/28(土)「成長の臨界」にどう対応するか?

BNPパリバ証券株式会社 経済調査本部長チーフエコノミスト
河野 龍太郎 [KONO Ryutaro]

1. 潜在成長率と時間当たり実質賃金上昇率の低迷が継続している。それらの改善を目的に、成長戦略を始め様々な施策が実施されたが、十分な効果は現れていない。10年間の異次元緩和の大実験で、長期停滞の原因がデフレや金融緩和の不足ではなかったことも、改めて確認された。マクロ安定化政策の追求では解決できない。
2. 春闘での高い賃上げの決定のみならず、円安によって企業業績がサポートされ、株高が続いている。同時に、企業業績の改善によって、税収の拡大も続いている。名目賃金が上昇していることもあり、貨幣錯覚で好循環と誤認される可能性があるが、実質賃金はむしろ減少している。家計から企業や政府への所得移転が進んでおり、インフレタックスや金融抑圧が強化され始めたということであろう。
3. 儲かっても人的資本投資や無形資産投資、有形資産投資、賃上げを怠ってきた企業が長期停滞の元凶。また、経済社会の変容で、家計が直面するリスクが変質する中、社会保障制度のアップグレードを怠ってきたことも、経済の低迷を助長したのではないか。
4. 2000年代に膨張する高齢者向けの社会保障費を賄うため、現役世代の被用者の社会保険料引き上げで対応した。それがセーフティネットを持たない非正規雇用を増やす要因となり、経済低迷につながった。付加価値税での対応や被用者皆保険を確立する必要があった。
5. 社会保障制度に対する人々の不安の根底には、公的債務の持続可能性への疑念があるため、信頼に足る長期の財政健全化プランの作成は急務。公的年金制度の頑健性を高めるには、被用者皆保険を導入すると共に、繰り下げ受給の促進や在職老齢年金制度の廃止など、経済社会の変化に対応した社会保障制度のアップグレードアップが必要。

講師プロフィール

BNPパリバ証券株式会社 経済調査本部長チーフエコノミスト
河野 龍太郎 [KONO Ryutaro]

1987年横浜国立大学経済学部卒業。住友銀行(現三井住友銀行)、大和投資顧問(現三井住友DSアセットマネジメント)、第一生命経済研究所を経て、2000年より現職。2023年7月より、東京大学先端科学技術研究センター客員上級研究員。2023年の日経ヴェリタス エコノミスト人気調査で3年連続、10回目の首位に選ばれる。近書に『成長の臨界』(慶應義塾大学出版会)、共訳にアラン・ブラインダー『金融政策の理論と実践』(東洋経済新報社)等。新聞・主要経済誌への寄稿やコメントの引用多数。

第3回 2023/11/11(土)超電導リニアによる中央新幹線計画について

JR東海 常務執行役員 中央新幹線推進本部副本部長・企画推進部長
澤田 尚夫 [SAWADA Hisao]

「日本の大動脈と社会基盤の発展に貢献する」JR東海はこの経営理念のもと様々な事業に取り組んでおります。運輸業全体がコロナ禍により大きな影響を受けましたが、それでも当社の主力である東海道新幹線は昨年度、日本の総人口を超える1.31億人ものお客様にご利用いただきました。太平洋沿いを走るこの列車は1964年の開業以来、東京‐大阪間の輸送を担うまさに日本の大動脈といえます。
一方、中央新幹線は主に山地をトンネルで走り抜け、東京‐大阪間をつなぎます。この路線は、全国新幹線鉄道整備法(全幹法)に基づき1973年に運輸大臣によって基本計画として位置づけられました。東海道新幹線に加えて中央新幹線が完成すれば、東京‐大阪間の輸送を担う日本の大動脈が二重系化されることになります。
日本の大動脈を支えることを使命とするJR東海にとって、東海道新幹線の経年劣化や南海トラフ巨大地震をはじめとする大規模災害への備えは必要不可欠です。改修工事や地震対策などを実施しておりますが、「大動脈の二重系化」は様々なリスクに対する抜本的な備えだといえます。ゆえに全額自己負担での中央新幹線建設を決定し、JR東海は全幹法に基づく建設主体として、中央新幹線計画の推進に携わってきています。
このように、超電導リニアによる中央新幹線の本来の目的は「大動脈の二重系化」であってその速さは副次的なものにすぎません。しかしながら、その圧倒的な時間短縮効果が日本全体にもたらす経済効果は計り知れないものがあります。さらに、アフターコロナの社会においては、デジタル技術によって生まれ、現在根付きつつある新しいビジネス・ライフスタイルをリアルな移動の面から支えることが期待されます。
本講演においては、超電導リニアによる中央新幹線計画がどのようなものかから始め、その意義や重要性、建設工事の現在地についてお話しします。そして、中央新幹線はどのような波及効果を日本にもたらせるか、あるいは、アフターコロナの時代にどんな役割を果たせるのかについて、建設主体・営業主体であるJR東海の目線からお話しします。

講師プロフィール

JR東海 常務執行役員 中央新幹線推進本部副本部長・企画推進部長
澤田 尚夫 [SAWADA Hisao]

1964年生まれ、名古屋市出身
1989年東海旅客鉄道入社。東海道新幹線の耐震補強工事、在来線の災害復旧工事などを担当。2010年以降は中央新幹線の計画・建設業務に携わり環境影響評価、工事着手に向けた住民説明などを行ってきた。現在はプロジェクト全体の工事費や工期の管理、国交省や沿線自治体との調整業務に携わっている。 

第4回 2023/11/18(土)人口減少と経済

社会情報学部 教授
伊藤 由樹子[ITO Yukiko]

国立社会保障・人口問題研究所は、4月に新しい将来人口の推計値を公表しました。通常5年ごとに改訂されるところ、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けて、前回の2017年4月以来、6年ぶりの公表となりました。
この間、出生率の低下と長寿化の傾向が続いていたことから、新しい将来人口推計では、人口減少や少子化・高齢化の状況が厳しくなると予想されていました。しかし、新推計(中位推計)では、むしろ状況は改善しています。前回推計と比べて、2070年の総人口は増加し、老年従属人口指数(65歳以上人口の15~64歳人口に対する比率)は低下しています。
将来人口を推計する際の仮定をみると、日本人人口の合計特殊出生率は、前回推計よりも低くなっており、人口を減らす方向に改訂されています。一方、平均寿命は前回推計よりも長くなり、人口を増加させる方向に改訂され、両者を合わせると、日本人人口は全体として
前回より減少しています。それにも関わらず、総人口が前回推計よりも増えたのは、外国人人口が上方に改訂されたからです。この推計によると、外国人が総人口に占める割合は、2020年に2.2%でしたが、2070年には10.8%まで増大することになります。
 前回推計よりも将来人口は増加していますが、この先100年間、人口が減少し、高齢化が進むことに変わりはありません。総人口は、現在よりも、50年後には4000万人近く減り、100年後には約7600万人減少します。老年従属人口指数は、2020年には約48%でしたが、50年後は約74%、100年後は約80%と見込まれています。つまり、50年後には、現役世代1人に対し、高齢者が1.3人という割合になります。
 人口減少は、社会保障や労働市場など経済社会に大きな影響を及ぼします。政府は、年初に異次元の少子化対策を掲げました。この講義では、人口構造が大きく変化するなか、国民の福祉を高め、国民を豊かにする経済社会を実現するにはどうしたらよいかを考えます。

講師プロフィール

社会情報学部 教授
伊藤 由樹子[ITO Yukiko]

筑波大学大学院経営・政策科学研究科修士課程修了。日本経済研究センター主任研究員を経て、現在青山学院大学社会情報学部教授。
専門分野は日本経済論、経済統計。

講座申し込み

 

申込期間 2023年9月26日(火)~10月2日(月)17時 ※9月22日更新 申込期間を延長しました。
受講料 1,300円
申込方法 相模原キャンパスの公開講座は、相模原市・座間市と共催で、市民大学青山学院大学コースとして実施しています。以下の市民大学ウェブサイトで申込方法をご確認の上、お申し込みください。なお、 受講者多数の場合は抽選を行う場合がありますのであらかじめご了承ください。
注意事項 (1)諸事情により講義題目・内容・講師・実施教室等に変更が生じる場合があります。
(2)講座は4回の講義で構成されております。1回だけの参加等はご遠慮ください。
(3)本学では駐車場・駐輪場のご用意がありません。車輛でのご来校はご遠慮願います。
(4)校舎内での喫煙、および教室内の飲食は禁止しております。ご理解のほどお願いします。
(5)講義途中の伝言・電話等による呼び出しは一切受け付けておりません。教室内での携帯電話等のご使用もお控えください。
(6)諸事情によりやむを得ず休講する場合がありますのでご了解ください。休講に関するお知らせはウェブサイトあるいは下記お問い合わせ先にてご確認ください。
(7)講師や他の受講生等に迷惑をかける行為や係員の指示に従わない場合は受講をお断りすることがあります。
(8)受講生の個人情報は本学の「学校法人青山学院個人情報保護に関する規則」に基づき、適切な対応に努めます。
(9)オンライン配信を選択した場合、安定した通信環境のご用意をお願いします。

 

申込期間 2023年9月26日(火)~10月2日(月)17時 ※9月22日更新 申込期間を延長しました。
受講料 1,300円
申込方法 相模原キャンパスの公開講座は、相模原市・座間市と共催で、市民大学青山学院大学コースとして実施しています。以下の市民大学ウェブサイトで申込方法をご確認の上、お申し込みください。なお、 受講者多数の場合は抽選を行う場合がありますのであらかじめご了承ください。
注意事項 (1)諸事情により講義題目・内容・講師・実施教室等に変更が生じる場合があります。
(2)講座は4回の講義で構成されております。1回だけの参加等はご遠慮ください。
(3)本学では駐車場・駐輪場のご用意がありません。車輛でのご来校はご遠慮願います。
(4)校舎内での喫煙、および教室内の飲食は禁止しております。ご理解のほどお願いします。
(5)講義途中の伝言・電話等による呼び出しは一切受け付けておりません。教室内での携帯電話等のご使用もお控えください。
(6)諸事情によりやむを得ず休講する場合がありますのでご了解ください。休講に関するお知らせはウェブサイトあるいは下記お問い合わせ先にてご確認ください。
(7)講師や他の受講生等に迷惑をかける行為や係員の指示に従わない場合は受講をお断りすることがあります。
(8)受講生の個人情報は本学の「学校法人青山学院個人情報保護に関する規則」に基づき、適切な対応に努めます。
(9)オンライン配信を選択した場合、安定した通信環境のご用意をお願いします。

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