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EVENT(学外講座)

SCHEDULED

2023.10.21 - 2023.11.18

TITLE

【相模原キャンパス公開講座】子どもを育む「コミュニティ」を考える

講座概要

※9月22日更新 申込期間を延長しました。

対面またはオンライン配信
2023/10/21 ~ 11/18(11/4を除く) 毎土曜日 13:00~14:30(初回のみ14:40)

新型コロナ禍の影響もあり少子化の加速が止まりません。2000年度には約119万人だった出生数は、2022年は77万747人で、統計をとり始めた1899年以降で最少となりました。子育ては家庭だけでなく、近隣、学校などと連携して行われる共同作業です。子どもを軸としたコミュニティをどう形成していくか、質の高い子どもの「じかん」とは何か、子どもと高齢者のつながりをどう支えていくのかなどについて議論を深め、誰もが安心して子どもを産み育てることができる社会への手がかりを探っていきます。

講座申し込み

第1回 2023/10/21(土)コミュニティの中の家庭と子育てネットワーク

青山学院大学 コミュニティ人間科学部コミュニティ人間科学科 教授
本庄 陽子[HONJO Yoko]

2023年4月、こども家庭庁が創設されました。急激に進む少子高齢化によって人口減少が続く現代日本において、このこども家庭庁は、「こどもまんなか」をキーワードに、子どもを中心とした社会づくりの重要性を知らしめる役割を担うとされています。これまで、例えば未就学児の教育の領域で考えてみても、子どもが通う施設は3つ(①幼稚園、②保育所、③認定こども園)あるのですが、所管省庁は全て別々です。幼稚園は文部科学省、保育所は厚生労働省、認定こども園は内閣府の担当です。こうした多元行政の問題点を取り除くために、こども家庭庁が創設されたことになっています。しかし、1960年代から続く「幼保一元化(幼稚園と保育所の一元化)」論争を解決すべく、幼稚園と保育所の機能を総合的に提供できる施設として2006年に認定こども園を作ったことにより、さらに複雑になってしまった現実があります。そもそも、幼保一元化にも賛否両論あることを踏まえると、どこをゴールにして進んでいくのかが曖昧なまま新たな組織ができても、大丈夫といえるのかどうか怪しく思えます。
子どもは、生まれてくる数が減ったというだけでなく、時代とともにその存在意義が変化してきています。親にとってかけがえのない存在、愛情を注ぎ慈しみ育てる大切な存在、地域にとっての次世代の担い手、一族や国の後継者であることなどは揺るぎないのですが、かつてのような親世代にとって将来の我が身の経済的保障を託す存在というよりは、目の前にあって愛情を注ぐ対象として重心が大きく移動したといえます。
また、子どもが育つ家庭という場も大きく変化し続けています。三世代同居世帯から核家族化したあと、今では単身世帯の割合が3割を超えています。夫婦関係も「夫唱婦随」から、「対等な伴侶」へ。さらに、働き続ける母親の増加などは、すでにそれが現実となっているにも関わらず子育ての担い手への支援は後手後手に回っています。一方で、いわゆる子どもの貧困率は、2023年7月に厚生労働省が公表した国民生活基礎調査によると11.5%、ひとり親世帯では44.5%にのぼります。子育ては、どんなときでも社会状況をはじめ時代によって変化していくものであることは大前提ですが、「親ガチャ」などという言葉が生まれ出る今の社会的背景を見つめなおし、どのような支援ができるのか考えてみる講座です。

講師プロフィール

青山学院大学 コミュニティ人間科学部コミュニティ人間科学科 教授
本庄 陽子[HONJO Yoko]

東京大学大学院教育学研究科博士課程単位取得後満期退学。
清泉女子大学非常勤講師、聖路加国際大学非常勤講師、成城大学非常勤講師等を経て、現在青山学院大学コミュニティ人間科学部教授。
専門分野は、社会教育学、生涯学習論、女性学、PTA論、家庭教育支援論。
主な著書 『生涯学習支援の基礎』『社会教育の連携論-社会教育の固有性と連携を考える』
『よくわかる生涯学習[改訂版]』『入門 子供の支援活動と青少年教育ボランティア』

第2回 2023/10/28(土)子どもの「じかん」を育むコミュニティ

青山学院大学 コミュニティ人間科学部コミュニティ人間科学科 教授
菅野 幸恵[SUGANO Yukie]

「サンマの喪失」と「ス漬け」
一体何のことを言っていると思いますか?
実は、これ、子どもたちの育ちの現状を表す言葉なのです。
「サンマ」とは「三間」のことで、時間、空間、仲間を指します。日本では高度経済成長期以降失われてきました。主な遊び場のひとつだった空き地や道路で遊ぶことができなくなり、公園も禁止事項が増えています。その代わりに、子どもたちは、三つの「ス」、スクリーン、スクール、スポーツにどっぷりつかった生活をするようになりました。テレビとゲームの登場は子どもたちの生活を大きく変え、近年はスマートフォンやタブレットのスクリーンを見る時間が長くなっています。スクールとは習い事のことです。ある調査では1歳児の1割弱、6歳では7割弱の子どもが習い事をしているという結果が出ています。スポーツとは、お金を払って運動やスポーツをすることです。その結果、子どもたちは遊ぶ時間や遊ぶ仲間を失いました。今回はこのうち「時間」に注目して、おもに就学前の子どもの豊かな育ちとコミュニティの役割について考えていきます。
乳幼児期は人間としての根っこが育つ大事な時期です。この時期に育てたいもののひとつに「私は〇〇が好き」という感覚があります。これは後の知的好奇心につながる大事なものです。ただ、自分のやりたいこと、好きなことを見つけるのには時間がかかります。大人によって細かく仕切られた時間では遊び込むことはできません。子どもたちが何者にも邪魔されず思い切りやりたいことができる「じかん」が必要です。
また、子どもは今を生きる存在です。大人はカレンダーの時間に従って、自分たちの行動をコントロールしています。一方、子どもは次のことは考えず、今やりたいことを全力でします。もう帰る時間だと言っても、今したいことが優先ですから、頑として動かないこともたびたび。食事の準備で手がいっぱいなときに、子どもが絵本を読んでほしいと言ってきます。「あとでね」と言っても、すぐに「絵本読んで」とせがんでくる。これも子どもと大人の時間感覚の違いが関係しています。
講義では、子どもの時間認識の発達についても触れながら、子どもたちの豊かな「じかん」を育む大人とコミュニティのあり方についてお話します。

講師プロフィール

青山学院大学 コミュニティ人間科学部コミュニティ人間科学科 教授
菅野 幸恵[SUGANO Yukie]

2003年より青山学院女子短期大学児童教育学科(2006年から子ども学科)に奉職し、2021年から現職。専門は発達心理学。著書に『あたりまえの親子関係に気づくエピソード65』(新曜社)『甘えれば甘えるほど「ひとりでできる子」に育つ』(PHP)『つながりの子育て』(近刊・共著・理工図書)がある。  

第3回 2023/11/11(土)学校を基盤としたコミュニティづくり

青山学院大学 コミュニティ人間科学部コミュニティ人間科学科 准教授
鈴木 俊之 [SUZUKI Toshiyuki]

少子高齢化やグローバル化等の進行により、社会環境が大きく急激に変化しており、様々な分野でそれらに対する対応が迫られている。もちろん子どもをとりまく環境も大きく変化しているが、次世代を担う子どもに対して適切な環境を整備することは他の何にも増して重要なことはいうまでもない。特に子どもにとってその多くの時間を過ごす学校は、多くの問題を抱えながらも、彼らが自立して生きる事ができ、これからの社会を創っていくための能力を培っていくための基盤であり、その重要性が減じることはない。
一方、教育は学校だけで行われるものではなく、家庭や地域の中で行われるものである。しかしながら社会環境の変化は子育てをするための家庭環境や地域の教育力に影響を与え、子どもの十全な発達を保障することが困難になっているが、だからこそ、学校と地域コミュニティ・家庭が改めて協働することにより、子どもが学び、育つ環境を再構築し、またそれらを通じて新たな地域コミュニティが創造されるような施策が必要だと思われる。
本講義では以上のような問題意識から学校を基盤としたコミュニティづくりについて日本と英国の政策や事例に焦点を当て、概観していく。具体的には①日本におけるコミュニティ・スクール政策の現在について、コミュニティ・スクール導入の背景と現状、その問題点について取り上げる。次いで②英国におけるコミュニティ・スクールと拡大学校政策について概観する。日本におけるコミュニティ・スクール(学校運営協議会)は英国の学校理事会をモデルとしているが、その英国の学校理事会について取り上げ、また学校を基盤として学校改革と地域改革を同時並行でめざそうとした拡大学校政策とその事例について取り上げる。最後に③として①②を踏まえて地域コミュニティにおける学校を基盤としたコミュニティづくりのあり方について考察する予定である。

講師プロフィール

青山学院大学 コミュニティ人間科学部コミュニティ人間科学科 准教授
鈴木 俊之 [SUZUKI Toshiyuki]

京都大学大学院教育学研究科博士課程学修認定退学。京都大学教育学部助手、青山学院女子短期大学子ども学科准教授等を経て、現在青山学院大学コミュニティ人間科学部准教授。
専門分野は比較教育学。
主な著書「2010年代の短期大学と青山学院女子短期大学」『青山学院女子短期大学総合文化研究所年報』第29巻、「保育職の専門職化に関する予備的考察-イギリス保育資格制度改革に注目して」『幼児教育学研究』第26号、「比較教育学における比較の意味について : 比較政治学を参考に」『青山学院女子短期大学総合文化研究所年報』第25巻

第4回 2023/11/18(土)コミュニティをつくる人—「子どもと高齢者」への期待

青山学院大学 コミュニティ人間科学部コミュニティ人間科学科 教授
伊藤 真木子[ITO Makiko]

人生の中で、子どもの時期と高齢期はともに地域への“土着性”が強い時期であることに着目し、子どもと高齢者を「地域密着人口」ととらえる議論があります。少子・高齢化という人口構造の変化を「地域密着人口」の増加という面からとらえて、これからのコミュニティのあり方を考えていこうとする議論です。(広井良典『コミュニティを問いなおす―つながり・都市・日本社会の未来』ちくま新書、2009)
少子・高齢化の進行に伴う社会経済的な問題として、子どもと高齢者という世代間の格差、対立、分断あるいは分配の問題が議論されることは多いかもしれません。しかし一方で、社会文化的な観点からは、子どもと高齢者を親和的な存在としてみる議論が少なくありません。地域社会において、子どもと高齢者との相性の良さを生かした教育・文化・交流活動の場・機会を保持・創出していくことの意義も、いくつもの位相で論じられてきました。たとえば―子どもが高齢者から特別の配慮を受けて成長していくことや、高齢者が子どもに自分の経験を伝えたりすることが、双方の心身の健康に関して良い効果をもたらすということ。そのことが、育児や介護に関して社会的支援を必要としている家族の助けともなりうること。子どもと高齢者の関係構築を契機として、ないし核として、地域社会での人間関係が少しずつ広がることが期待されること。そうして世代間の対話と理解が図られ、あるいは地域社会における文化継承が促され、あるいは「豊かな」コミュニティの形成につながることが期待されること。―こうした意義が、理想的に、論じられてきたといえます。
しかし実際には、地域社会で、子どもと高齢者が共に同じ時間を共有する機会はどれほどあるでしょうか。他世代と積極的に関わりたいと思う子ども・高齢者はどのくらい、いるでしょうか。理想と現実とのギャップについて考えながら、理想に近づく一歩を考えてみたいと思います。

講師プロフィール

青山学院大学 コミュニティ人間科学部コミュニティ人間科学科 教授
伊藤 真木子[ITO Makiko]

東京大学大学院教育学研究科博士課程単位取得済退学。常磐大学コミュニティ振興学部助教、同教育人間科学部准教授を経て、2019年4月青山学院大学コミュニティ人間科学部准教授、2023年4月同教授。 専門分野は社会教育。 主な著書『社会教育の連携論』『社会教育の基礎』(いずれも共著、学文社、2015年)『社会教育の学習論』『社会教育の公共性論』(いずれも共著、学文社、2016年)

講座申し込み

申込期間 2023年9月26日(火)~10月2日(月)17時 ※9月22日更新 申込期間を延長しました。
受講料 1,300円
申込方法 相模原キャンパス公開講座は相模原市・座間市と共催で、市民大学青山学院大学コースとして実施しています。以下の市民大学ウェブサイトで申込方法をご確認の上、お申し込みください。なお、 受講者多数の場合は抽選を行う場合がありますのであらかじめご了承ください。
注意事項 (1)諸事情により講義題目・内容・講師・実施教室等に変更が生じる場合があります。
(2)講座は4回の講義で構成されております。1回だけの参加等はご遠慮ください。
(3)本学では駐車場・駐輪場のご用意がありません。車輛でのご来校はご遠慮願います。
(4)校舎内での喫煙、および教室内の飲食は禁止しております。ご理解のほどお願いします。
(5)講義途中の伝言・電話等による呼び出しは一切受け付けておりません。教室内での携帯電話等のご使用もお控えください。
(6)諸事情によりやむを得ず休講する場合がありますのでご了解ください。休講に関するお知らせはウェブサイトあるいは下記お問い合わせ先にてご確認ください。
(7)講師や他の受講生等に迷惑をかける行為や係員の指示に従わない場合は受講をお断りすることがあります。
(8)受講生の個人情報は本学の「学校法人青山学院個人情報保護に関する規則」に基づき、適切な対応に努めます。
(9)オンライン配信を選択した場合、安定した通信環境のご用意をお願いします。
申込期間 2023年9月26日(火)~10月2日(月)17時 ※9月22日更新 申込期間を延長しました。
受講料 1,300円
申込方法 相模原キャンパス公開講座は相模原市・座間市と共催で、市民大学青山学院大学コースとして実施しています。以下の市民大学ウェブサイトで申込方法をご確認の上、お申し込みください。なお、 受講者多数の場合は抽選を行う場合がありますのであらかじめご了承ください。
注意事項 (1)諸事情により講義題目・内容・講師・実施教室等に変更が生じる場合があります。
(2)講座は4回の講義で構成されております。1回だけの参加等はご遠慮ください。
(3)本学では駐車場・駐輪場のご用意がありません。車輛でのご来校はご遠慮願います。
(4)校舎内での喫煙、および教室内の飲食は禁止しております。ご理解のほどお願いします。
(5)講義途中の伝言・電話等による呼び出しは一切受け付けておりません。教室内での携帯電話等のご使用もお控えください。
(6)諸事情によりやむを得ず休講する場合がありますのでご了解ください。休講に関するお知らせはウェブサイトあるいは下記お問い合わせ先にてご確認ください。
(7)講師や他の受講生等に迷惑をかける行為や係員の指示に従わない場合は受講をお断りすることがあります。
(8)受講生の個人情報は本学の「学校法人青山学院個人情報保護に関する規則」に基づき、適切な対応に努めます。
(9)オンライン配信を選択した場合、安定した通信環境のご用意をお願いします。

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