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2024.05.11 - 2024.06.08
TITLE
【青山キャンパス公開講座】「首都」から歴史を読みなおす-「東京一極集中」の歴史的前提を問う-
講座概要
対面またはオンライン配信
2024/05/11 ~ 06/08 毎土曜日 11:00~12:30(初回のみ12:40)
近年、中世史では「首都」の求心力が問いなおされています。しかし、日本史を通して首都の力を再考する試みはまだなされていません。けれども、東京一極集中の是非が問われるいま、首都に集中する日本のある種特殊な構造は、歴史的に説かれるべきではないでしょうか。そこで、本講座では、最新の研究状況と青学の日本史教員の研究成果に基づき、首都をめぐる諸問題ー中央集権・地方分権や構造、都鄙間連環ーを歴史的に縦断するかたちで論じながら、我々の眼前にある東京一極集中の前提について考えていきます。
第1回 2024/05/11(土)古代日本と「首都」
文学部史学科 教授
北村 優季[KITAMURA Masaki]
第1回は古代日本が舞台です。律令制が成立した日本の古代国家の時代には、平城京や藤原京などの都城が造営されます。これらは中国の都市とりわけ唐都長安の縮小版であったとされますが、日本古代史研究の業績と照らし合わせると、それ以上の深い意味がありました。都城は律令国家支配の拠点であり、それ自体が律令制形成の大きな原動力になったことが指摘できます。こうして平城京は天皇制という一極集中の拠点となりましたが、しかしそれだけで支配が全国に及んだのでしょうか。広い日本列島を支配するには、地方に張り巡らされた地方支配体制が重要になりますが、その場合に鍵を握ったのは中央から派遣された国司ではなく、地方の有力者が登用された郡司の力でした。ここでは、都城を拠点とする一極集中の中央集権体制が、実は郡司を中心とする地方分権を基礎として構築されていたことを説明します。
<プロフィール>
青山学院大学 文学部史学科 教授
北村 優季 [KITAMURA Masaki]
1956年、三重県生まれ。1985年、東京大学大学院人文科学研究科博士課程中退。山形大学人文学部教授を経て、現在、青山学院大学文学部教授、博士(文学)。
【主要著書】『平安京ーその歴史と構造ー』(吉川弘文館、1995)、『歴史文化ライブラリー 平安京の災害史』(吉川弘文館、2012年)、『平城京成立史論』(吉川弘文館、2013年)、『神島の歴史と空間』(名著出版、2022年)
第2回 2024/05/18(土)中世日本と「首都」み事例の紹介
文学部史学科 准教授
谷口 雄太[TANIGUCHI Yuta]
第2回では中世という時代の「首都」を扱います。中世とはおおよそ11~16世紀、院政期から戦国期ごろまでを指しますが、その特徴は高い「分権性」にあります。戦国大名が列島各地に割拠する像など、その象徴的なものでしょう。では、そのような時代に、「首都」はいかなる場所だったのでしょうか。ここでいう「首都」とは西は京都、東は鎌倉のことを指しますが、京・鎌倉やそこに君臨した天皇・将軍を当時の人びとはどのような存在として見つめていたのでしょうか。本講義では、とりわけ中世の主役ともいえる武士(武家)を中心に、彼らが首都(京都・鎌倉)とどう関係していたのか、眺めていきます。それにより、地域に加え「首都」でも活躍する鎌倉期の武士、「首都」に集住する室町期の武家、各国に下向しても「首都」を志向する戦国期の大名といった「意外な」実態を紹介します。そして、分権が強調されがちな中世のもうひとつの姿=集権について考えます。
<プロフィール>
青山学院大学 文学部史学科 准教授
谷口 雄太[TANIGUCHI Yuta]
1984年、兵庫県生まれ。2015年、東京大学大学院人文社会系研究科博士課程単位取得満期退学。現在、青山学院大学文学部准教授、博士(文学)。
【主要著書】『中世足利氏の血統と権威』(吉川弘文館、2019年)、『〈武家の王〉足利氏』(吉川弘文館、2021年)、『分裂と統合で読む日本中世史』(山川出版社、2021年)、『足利将軍と御三家』(吉川弘文館、2022年)、『鎌倉幕府と室町幕府』(共著、光文社、2022年)
第3回 2024/05/25(土)「江戸」―情報から「首都」を考える
文学部史学科 教授
岩田 みゆき [IWATA Miyuki]
17世紀、徳川将軍の居城として政治の中心地となった江戸は、「天下普請」による城下町建設とインフラ整備、街道・航路などの交通網の整備、参勤交代の制度化など、その求心力が高められ、明暦大火以降本格的に大規模な改造を経て、18世紀後半世界有数の巨大都市として成長をとげた。江戸には、全国の情報が集まり、また江戸の情報を広く発信していくことになる。この講座では、成熟期を迎え、江戸を中心に庶民文化が大きく花ひらいた文化文政期から天保期 (19世紀前半)を中心に、巨大都市江戸に集まる情報や、江戸から発信される情報について、『藤岡屋日記』などの、江戸の人々による日記・記録や、江戸から少し離れた周辺地域の人々が残した日記・記録などをひもときながら、江戸の文化・情報の広がりとその影響などについて具体的にみてゆき、江戸の「首都」性について考えてみたい 。
<プロフィール>
青山学院大学 文学部史学科 教授
岩田 みゆき [IWATA Miyuki]
青山学院大学文学部史学科卒業。お茶の水女子大学人文科学研究科修了。神奈川大学日本常民文化研究所を経て、現在青山学院大学文学部史学科教授。専門分野は日本近世史・幕末社会史。主な著書『幕末の情報と社会変革』吉川弘文館2001年、編著『オランダ別段風説書集成』吉川弘文館2019年など。
第4回 2024/06/01(土)近代日本と首都―東京に集まった華族たち―
文学部史学科 教授
小林 和幸[Kobayashi kazuyuki]
明治維新後、政府は、東京への中央集権化を進めました。明治政府は、旧来の封建的な諸藩の割拠体制を打破し、近代的な新国家建設を目指します。そうしたなか、明治初年、旧大名たちは、「華族」として東京居住を義務づけられます。本講義では、近代国家形成の過程を概観しながら、明治初年の「華族」創設、旧大名たちが領地の統治を離れ、東京移住が進められるなかで生じた葛藤や彼らの対応、新しい役割を模索する姿、さらに立憲政治が施行された後の華族たちの活動について、諸史料から検討します。
<プロフィール>
青山学院大学 文学部史学科 教授
青山学院大学大学院文学研究科博士後期課程満期退学後、宮内庁書陵部主任研究官、駒澤大学文学部助教授などを経て、2006年より現職。博士(歴史学)。 専門分野は日本近代史。主な著書に『明治立憲政治と貴族院』(吉川弘文館、2002年)、『谷干城―憂国の明治人』(中公新書、2011年)、『国民主義の時代』(角川選書、2017年)、編著に『明治史講義』テーマ篇(ちくま新書、2018年)、『明治史研究の最前線』(筑摩選書、2020年)、『東京10大学の150年史』(筑摩選書、2023年)、『葛藤と模索の明治』(有志舎、2023年)など。
第5回 2024/06/08(土)現代日本と「首都」 占領期の地方分権
文学部史学科 教授
小宮 京[KOMIYA Hitoshi]
日本現代史の起点である占領期は、憲法改正に始まり、日本の様々な制度が変革した時期である。GHQ/SCAP(連合国最高司令官総司令部)は占領の基本方針として「民主化」「非軍事化」をとった。とりわけ地方分権を重視したことは良く知られている。それにより、内務省―警視庁(東京)を頂点とした、明治以来の警察制度は大きく変化した。「首都」東京への対抗として、大阪に出現した、大阪市警視庁に注目しながら、占領期の地方分権を振り返りたい。
<プロフィール>
青山学院大学 文学部史学科 教授
小宮 京[KOMIYA Hitoshi]
東京大学大学院法学政治学研究科博士課程修了。博士(法学)。専門は日本現代史・政治学。主な著書に『自由民主党の誕生 総裁公選と組織政党論』(木鐸社、2010年)、『語られざる占領下日本 公職追放から「保守本流」へ』(NHKブックス、2022年)、共編に『鳩山一郎とその時代』(平凡社、2021年)、『自民党政権の内政と外交 五五年体制論を越えて』(ミネルヴァ書房、2023年)、『旧皇族の宗家・伏見宮家に生まれて 伏見博明オーラルヒストリー』(中央公論新社、2022年)など。
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