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2025.06.14 - 2025.07.12
TITLE
【青山キャンパス公開講座】ゲームフル・ソサエティ:社会はゲームとどう向き合うのか
講座概要
対面またはオンライン配信
2025/06/14 ~ 07/12 毎土曜日 11:00~12:30(初回のみ12:40)
わたしたちの社会は、ゲームそのものが満ちあふれているだけではなく、ゲームというのものに関してあまりにも多くのことが語られています。断固として否定的な見方がある一方で,逆に肯定的な主張も同じくらい発信されているのが現状です。ゲームのいったいなにがそうさせているのでしょうか。本講座では,ゲーム制作の現場と大学における研究を往復しながら,そうした「ゲームフルな社会」の「善悪の彼岸」を垣間見たいと思います。
第1回 2025/06/14(土)20世紀日本におけるゲーム言説の変遷
総合文化政策学部 教授
竹内 孝宏[TAKEUCHI Takahiro]
「社会にゲームが満ち溢れている」というとき、なにもそれは、ゲームの物量やプレーヤーの人数だけが問題なのではありません。ゲームというものをめぐって生み出される言葉の増殖もまた、重要な要因のひとつです。そうした言葉の総体を、ここでは「ゲーム言説」とよんでおくことにします。
「ゲーム言説」分析は、さまざまな時代な文化に関してなされうる作業ですが、ここでは身近な導入として、現代の日本を対象としてみましょう。その際、「ゲームとはなにか」といった定義ではなく、ゲームという言葉が社会のなかで具体的に使用される文脈と、そこで生じる歴史的な「ゆらぎ」のようなものに注意することにします。
こうした作業をつうじて、最終的には、われわれがいま生きている時代の特徴——たとえば『Number』が将棋を特集するような———を、より精緻に浮上させることを目指したいと思います。
<プロフィール>
青山学院大学 総合文化政策学部総合文化政策学科 教授
竹内 孝宏[TAKEUCHI Takahiro]
青山学院大学総合文化政策学部教授。同学部長・研究科長。青山学院大学総合プロジェクト研究所「知財と社会問題研究所」元所長。専門分野は表象文化論。共著に『表象のディスクール』、訳書に『パニック都市』など。
第2回 2025/06/21(土)社会はゲームとどう向き合うのか:ゲームとeスポーツ
総合文化政策学部 教授
川又 啓子[KAWAMATA Keiko]
日本のビデオゲームは,長年にわたり世界中で多くの人々に親しまれています。しかし,日本国内ではゲーム人口が約5,500万人にもかかわらず,ゲームやeスポーツが社会的に受け入れられるには依然として多くの課題が残されています。本講義では,ゲームが一部で「スティグマ製品」(ネガティブなイメージをもつ製品)とされる背景を探り,そのスティグマ性を解消するためのマーケティング戦略や受容に向けた社会的プロセスを考察します。また,「日本型eスポーツ」の特徴ともいえる,自治体による地域活性化や社会福祉分野でのeスポーツの活用事例を紹介し,新たな価値を生み出す可能性についても検討します。これまでゲームやeスポーツに馴染みのない方にも,現代社会におけるその役割や価値を分かりやすく解説し,私たちがこれらとどのように向き合うべきかを多角的に考えるきっかけを提供できればと思っています。

<プロフィール>
青山学院大学 総合文化政策学部総合文化政策学科 教授
川又 啓子[KAWAMATA Keiko]
青山学院大学総合文化政策学部教授。研究テーマは文化とマーケティングで,近年はポップカルチャーやeスポーツ/ゲームの社会的受容に関する研究に従事。著書に『ポップカルチャーによる地域創生のマーケティング』(共著,千倉書房,2025年),『eスポーツ社会論』(共著,同友館,2023年),『知的財産で社会を変える』(共著,同友館,2022年),『ジャパニーズ・ポップカルチャーのマーケティング戦略』(共著,千倉書房,2022年),Managing Cultural Festivals between Tradition and Innovation(共著,Routledge, 2020年),『eスポーツ産業論』同友館(共著,同友館,2020年),『マーケティング科学の方法論 』(共著,白桃書房,2009年)など。 https://researchmap.jp/kawamata2020

第3回 2025/06/28(土) ゲーム開発の現場が直面する社会課題とは
㈱バンダイナムコスタジオ
原田 勝弘 [HARADA Katsuhiro ]
本講演では、ポストコロナ時代におけるゲームとeスポーツの市場動向を踏まえ、急成長するeスポーツの経済圏とその課題を掘り下げます。
世界のゲーム市場は約27兆円規模に達し、日本国内でも約5,600万人がプレイする一大産業となっています。一方、eスポーツはスポンサー収益を中心に発展しつつも、ゲームメーカーが直接的な利益を得にくい構造的な課題を抱えています。また、欧米とアジアではeスポーツの運営形態に違いがあり、今後の市場発展に影響を与える可能性があります。
さらに、オリンピック競技化の動きが進む中、公平性の確保やゲーム表現の規制など、新たな課題も浮上しています。こうした環境の変化は、ゲーム業界だけでなく、社会全体にとっても新たな議論を生み出しています。本講演では、これらの論点を整理し、ポストコロナ時代のゲーム産業の展望について考察します。

<プロフィール>
㈱バンダイナムコスタジオ
原田 勝弘 [HARADA Katsuhiro ]
早稲田大学を卒業後、ナムコ(現・バンダイナムコエンターテインメント)に入社。アーケードゲームと家庭用ゲーム双方において、企画&ディレクション、キャラクターデザイン、アニメーション制御スクリプトの開発を担当。また『鉄拳』シリーズのプロジェクトリーダーとして26年携わり、プロデュース、マーケティング、esports&コミュニティマネジメントなど幅広く活動している。現在も新規IPタイトルの開発プロジェクトを立ち上げ中。代表作は『鉄拳』シリーズ、『ソウルキャリバー』シリーズ、ポッ拳、VRサマーレッスンなど。

第4回 2025/07/05(土)ゲームと精神分析
総合文化政策学部 教授
福田 大輔[FUKUDA Daisuke]
ビデオゲームというと、ゲーム依存、過剰な課金、不登校や成績不振といった事柄が思い浮かぶのは洋の東西を問わない。しかし、ビデオゲームに夢中になる理由について考えてみる機会は、ビデオゲームをやらないひとであればあるほど、少ないのではないかと思われる。ひとつのゲームを取ってみても、それをどのように遊ぶか、どのようなキャラクターを選んで、そのキャラクターの設定を決めていくかによって、ゲームとプレーヤーの関係は大きく変わりうる。治療者自身は、ビデオゲームのプレーヤーではなくても、ビデオゲームの遊び方やどこが楽しいかを聞くことができる。そうした好奇心をもってビデオゲームについての話題をしていくことの延長線上に、治療者もゲームをしながら、治療空間を作っていくという手法が出てくる。この講義では、フランスの若手の精神分析家の最新の治療実践を紹介しながら、ゲームについてのわたしたちの見方を変えるきっかけとなればよいと考えている。

<プロフィール>
青山学院大学 総合文化政策学部総合文化政策学科 教授
福田 大輔[FUKUDA Daisuke]
パリ第8大学大学院精神分析科博士課程修了、博士(精神分析)
著訳書 『筋肉のメランコリー:ラカンとともに読む三島由紀夫』(晃洋書房2021)、『言葉にとらわれた身体:現代ラカン派精神分析事例集』(誠信書房2023)
現在 青山学院大学総合文化政策学部教授、NLS(New Lacanian School)会員、AMP(Association Mondiale de Psychanlayse)会員、公認心理師

第5回 2025/07/12(土)メディアとしてのゲーム:ゲーム実況をケーススタディーとして
総合文化政策学部 准教授
ヴィニットポン ルジラット[ VINITPHOL, Rujirat]
これまでゲームは「遊び」のプラットフォームとして認識されていました。また、ゲームの世界観に夢中になり、社会から離れて「一人の世界」に入ってしまう恐れがあるというイメージがありました。しかし、近年ゲーム機をインターネットと接続することにより、コミュニケーションのプラットフォームとしての機能が以前より色濃くなってきました。
また、ソーシャルメディアの普及により、自らプレイした画面のスクリーンショットをSNSで共有することや、ゲーム実況者・配信者(ストリーマー)のようにプレイ中の画面を配信する人もいます。このように、より多くの人に見てもらい、同志の仲間やファンと交流し、広告等により収入を得えていることになります。「遊び」のみがゲームの中心だけにとどまらず、「コミュニケーション」もゲームの要素として注目されました。
本講義は、ゲーム実況をケースとして取り上げながら、現在のゲームの遊びとコミュニケーション機能について吟味し、ゲーム実況におけるメディア環境についてお話しすることといたします。
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