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鬼塚日奈子さん(理工・博士前2年)が「第24回日本MRS年次大会(同時開催 第1回MRS-J/E-MRSジョイントシンポジウム 透明酸化物デバイスの新展開)」において「奨励賞」を受賞

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2015.2.6

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鬼塚日奈子さん(理工・博士前2年)が「第24回日本MRS年次大会(同時開催 第1回MRS-J/E-MRSジョイントシンポジウム 透明酸化物デバイスの新展開)」において「奨励賞」を受賞

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鬼塚日奈子さん(理工学研究科機能物質創成コース 博士前期課程2年 重里有三教授研究室)が、2014年12月10日(水)~12日(金)に開催された「第24回日本MRS年次大会」と同時開催された「第1回 E-MRS/MRS-Jジョイントシンポジウム 透明酸化物デバイスの新展開(Symposium XA “Materials Frontier for Transparent Advanced Electronics”* )」(於:横浜市開港記念会館)における「口頭発表(使用言語:英語)」で「奨励賞」を受賞しました。
同賞は「日本MRS(材料に関する横断的、学際的学術研究団体)年次大会」内の分野ごとに行われる各シンポジウムの口頭発表もしくはポスター発表で、優秀な研究発表(表彰対象者の上位10%程度)を行った若手研究者におくられるものです。

鬼塚さんの口頭発表は「Temperature dependence of Phonon or Free Electron Contributions on Thermal Conductivity of VO2 Thin Films across Metal-Insulator Transition(二酸化バナジウム薄膜における金属-絶縁体相転移にともなう熱伝導へのフォノン(格子振動)と自由電子の寄与に関する研究」です。
鬼塚さんは、サーモクロミック** 素子や測温抵抗素子等の環境技術への応用が期待され、高温では低比抵抗で赤外線を反射し、低温では高比抵抗で赤外線を透過する「VO2(二酸化バナジウム・・・モット転移と呼ばれる金属-絶縁体転移*** を起こす物質)薄膜」の電気伝導率と熱伝導率に関する発表を行いました。これは、ピコ秒サーモリフレクタンス法**** を用いて、VO2の金属-絶縁体相転移をまたぐ温度範囲において熱伝導機構を定量的に解析し、相転移に伴う熱伝導率変化の機構を説明する定量的なモデルを構築したもので、鬼塚さんの修士課程での研究をまとめたものでもあります。
同シンポジウムでは、奨励賞の表彰対象となる研究発表が34件あり、3件(口頭発表2件、ポスター発表1件)に同賞がおくられましたが、鬼塚さんの口頭発表は、十分に考察された研究であり、発表段階において研究内容が非常にわかりやすく整理されていたこと、かつ英語でのプレゼンテーションのわかりやすさ等が評価され、同賞に値すると認められました。

なお、鬼塚さんは、今回の発表までに、様々な試行錯誤を繰り返しながら結晶性が高いVO2薄膜の合成法を確立し、そのVO2薄膜の熱拡散を高精度で解析することに取り組んできました。また「第75回応用物理学会秋季学術講演会」(2014年9月17~20日、北海道大学にて開催)と「第35回日本熱物性シンポジウム」(11月22~24日、東工大大岡山キャンパスにて開催)でも同研究に関する口頭発表を行って研究を進展させ、さらに今回の発表を行うにあたっては追加実験を行い、より考察を深めました。

* Symposium XA “Materials Frontier for Transparent Advanced Electronics”・・・
今後の電子工学等に活用可能な新しい機能性材料に関するシンポジウム。新しい機能性材料に関する研究分野は、これからの社会が強く求めている「ユビキタス社会」や「ユニバーサルデザイン」等を実現するための技術革新の推進力となりうる(私たちの生活の質を向上
させる)機能性材料の実用化を目指しています。 

**サーモクロミックとは温度によって色が変わる現象のことで、様々な応用が考えられています。VO2に関しては、高温の金属相では赤外線を反射し、低温の絶縁体相では赤外線を透過するため、例えば窓ガラスに塗布することで夏の赤外線透過率を低減させることができます。

 

***金属-絶縁体転移:VO2の場合は、低温の絶縁体相(モノクリニック型構造)から、約340Kにおいて金属相(ルチル型構造)に相変態します。これは結晶構造相転移を伴う一次の相転移(潜熱がある)として理解されています。強電子相関系として、物質中の電子どうしの間に働くクーロン相互作用が強いことによって説明されています。

 

****温度に依存して物質の反射率が僅かながら変化することを利用し、反射光の強度変化から温度変化を測定し、熱拡散を解析する方法。ピコ秒やサブナノ秒のパルスレーザーを用いて測定する。極めて高精度での定量的な熱解析が可能。

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