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2015.02.17

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坂東靜さん(理工・博士前2年)が「International Symposium on Artificial Life and Robotics 20th 2015」において「Young Author Award」を受賞

坂東靜さん(理工学研究科電気電子工学コース 博士前期課程2年 野澤昭雄准教授研究室)が、2015年1月21日(水)~23日(金)、別府国際コンベンションセンターで開催された「International Symposium on Artificial Life and Robotics 20th 2015(ロボットと人工生命に関する国際シンポジウム) 」(主催:計測自動制御学会他)における研究発表で「Young Author Award」を受賞しました。
同賞は、同国際シンポジウムにおいて、卓越した論文を提出し、かつ優秀な口頭発表を行った35歳以下の若手研究者に若手研究者におくられるものです。今大会では、計158件の研究発表が行われ、うち6名に同賞がおくられました。

坂東さんの研究発表は「Interrelation Analysis of Vehicle Operating Data and Respiration(自動車の運転操作情報と呼吸の相互関係解析)」です。
自動車事故を未然に防止するアプローチの一つとして、ドライバーの生理的状態を監視する技術が研究されていますが、実際の自動車に応用されるような技術は未だに開発されていません。坂東さんの所属する野澤研究室では、これらを実現するために、身体動作のリズムに基づいた生理的状態の推定技術と、そのドライバー監視への応用について研究を行っています。
心拍や呼吸などの生理的リズムと、手足などの身体動作のリズムは、バラバラではなく互いに影響を及ぼし合って無意識に同期しています。これを「引き込み現象」といいます。通常、心拍や呼吸を計測する場合には、特殊なセンサーを必要としますが、引き込み現象に着目すると、自動車に備え付けの簡単なセンサーによって計測したドライバーの身体動作リズムから、心拍や呼吸などの生理的リズムを間接的に観測できる可能が示されています。しかし、例えばドライバーが眠気を感じている状態など、生理的状態が変化した時の生理的リズムと身体動作リズムの関係性は明らかになっていませんでした。

これに対して坂東さんは、今回発表した研究で、呼吸リズムがハンドルとアクセル操作のリズムにどの程度影響しているかを有向コヒーレンス解析* という方法によって定量的に示すことに成功しました。また、ドライバーが眠気を感じている状態では、特にアクセル操作のリズムが呼吸リズムからより大きな影響を受けることを明らかにしました。
これまで明確にされていなかった眠気と身体動作リズムとの関係を定量的に解明したことによって、今後、眠気検出技術等への応用が期待されます。
坂東さんの研究は、非常に優れた論文であり、かつ優秀な発表であったことが評価され、同賞にふさわしいと認められました。

 * 有向コヒーレンス解析・・・観測された複数の周期的なデータに対して、情報の流れる方向と相関関係の強さを定量化することで、それらの因果関係を推定する解析手法。