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2015.10.02

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加藤 雅洋さん(理工・博士前期2年)の研究発表が、第28回DV-Xα(分子軌道計算法)研究会「第13回優秀ポスター賞」を受賞

加藤 雅洋さん(理工学研究科 生命科学コース2年、西尾泉教授研究室所属)が、2015年8月5日(水)~7日(金) に山形大学 白川キャンパスで開催された「第28回DV-Xα*1研究会」における研究発表で「第13回優秀ポスター賞」を受賞しました。
同賞は、DV-Xα研究協会が年1回開催する研究会内で発表されたポスター発表を対象として、審査委員が「発表内容」「研究内容」「質疑応答」の各項目について評価し、同研究会の表彰委員会が優れた研究発表であると認めたものに対しておくられます。今回の研究会では、26件のポスター発表が行われ、うち3件に同賞がおくられました。

加藤さんの研究発表題目は、「DV-Xα法を用いたTHF-CHにおけるTHF分子の局在性」です。
水分子は、疎水性分子などの周りに規則性を持った籠状構造を形成することが知られており、こうした構造を持つ結晶はクラスレートハイドレート(以下CH)と呼ばれています。一般にはCHの生成には高圧・低温といった条件が必要ですが、テトラヒドロフラン*2(以下THF)を用いた場合、生成条件が飛躍的に緩和されます。しかしながらそのメカニズムはあまり詳しくは解明されていません。
そこで、加藤さんはTHF-CHをモデル化し、分子軌道計算法を用いてTHF分子のCH内における局所的な安定性について議論しました。その結果、THFとCHが水素結合する結合軸上に、複数の安定した構造が存在することがわかりました。そこで、それぞれの安定した構造の電子状態を詳しく調べ、電子的な相互作用が安定した構造の出現に影響を及ぼしていることを明らかにしました。

加藤さんの発表は、「多分子モデルにおける構造の安定性」や「電子的相互作用が複数の安定構造に及ぼす影響」といった研究内容が優れていると認められ、さらには発表内容や質疑応答がわかりやすくまとまっていたことなどが評価され、「優秀ポスター賞」にふさわしいと認められました。

*1 DV-Xα(Discrete Variational Xα)・・・
分子軌道計算法のひとつであり、金属材料、半導体材料、無機化合物、溶液、溶融塩、電子分光、表面、界面、原子過程、材料設計など様々な分野で利用されている計算法。

 

*2 テトラヒドロフラン・・・
飽和の5員環に酸素を1つ含んだ環状エーテル化合物。