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2018.09.18
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德永彩子さん(理工・博士前期2年)が、「3rd International Caparica Conference on Chromogenic and Emissive Materials」で「Excellent Poster Presentation Prize(ポスター賞)」を受賞
德永彩子さん(理工学研究科化学コース2年・阿部二朗教授研究室)が、2018年9月3日(月)~ 6日(木)、ポルトガルのカパリカで開催された「3rd International Caparica Conference on Chromogenic and Emissive Materials(IC3EM2018)」において、「Excellent Poster Presentation Prize(ポスター賞)」を受賞しました。
同会議は、色素および蛍光物質にかかわる研究者が最新の研究成果を発表し、情報交換をする目的で、二年に一度開催される国際会議です。三日間に渡って開催されたポスター発表では、若手研究者および学生計49名が発表を行い、そのうちの3名に同賞が贈られました。
德永さんの研究発表題目は、「Reversible Valence Photoisomerization between Quinoidal and Singlet Biradical Form(閉殻キノイドと一重項ビラジカルの可逆的原子価光異性化)」で、フォトクロミック分子に紫外光を照射することで生成する、二つの不対電子を有するビラジカルが、原子価異性化を起こして不対電子を持たないキノイド構造との熱平衡に至る過程を詳細に明らかにしたものです。その平衡状態に至るまでの過程をナノ秒時間分解吸収分光法を用いて観測することで、ビラジカルとキノイドの平衡反応の活性化パラメータを世界で初めて決定しました。また、キノイドに可視光を照射することでビラジカルへと異性化する「原子価光異性化」を生じることを見いだしました。二つの異性体間の原子価異性化が速い平衡反応の場合、一方の異性体だけが存在する非平衡状態を作り出すことが難しいために、平衡状態に至る過程を詳細に調べることは困難とされています。この研究で用いたフォトクロミック化合物は、光照射をすることで、一方の原子価異性体であるビラジカルのみの状態を作り出すことができるため、原子価異性化を観測するために適した分子系であることを本研究で示すことができました。なお、この研究成果は米国化学会誌 J. Phys. Chem. Lett., 9, 1833 (2018) に掲載されました。
德永さんの発表は、秀逸な研究成果に加え、英語による優秀なプレゼンテーションや質疑応答の態度が評価され、「Excellent Poster Presentation Prize(ポスター賞)」に値すると認められました。
*フォトクロミック分子とは・・・光によって可逆的に分子構造が変化し、色や分子の性質を変える分子のことをいいます。阿部研究室で開発された高速フォトクロミック分子は、色や分子の性質が高速に変化するといった従来のフォトクロミック分子にはない性質を持っており、外に出た時のみ着色するサングラスやリアルタイムホログラムなどへの応用が期待されています。 |
*原子価異性化とは・・・ある原子が他の原子と作ることができる共有結合の数を、原子価と言います。原子価異性化とは、異性化反応のうち原子価が2以上の原子の結合本数が変化する反応を指します。原子価異性体同士は相互に変換することで、どの異性体も共存する平衡状態に達します。原子価異性は原子価互変異性と呼ばれることもあります。 |
德永彩子さんと賞状
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バンケットにおいてポスター賞の授賞式
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ポスター発表の様子
学会の合間に訪れたシントラにて。
左から新井夏帆さん(理工学研究科化学コース1年)、德永彩子さん、黒岩隼人さん(理工学研究科化学コース1年)