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2021.11.02

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氏部浩太さんと滝嶋遼さん(理工学研究科)が第27回小型魚類研究会で「優秀発表賞」を受賞

平田普三教授(理工学部 化学・生命科学科 脳科学研究室)の研究室に所属する、氏部浩太さん(理工学研究科理工学専攻生命科学コース博士前期課程2年)と滝嶋遼さん(理工学研究科理工学専攻生命科学コース博士前期課程1年)は、2021年9月16日(木)〜17日(金)にオンライン開催された第27回小型魚類研究会で研究発表を行い、優秀発表賞を受賞しました。

小型魚類研究会はメダカやゼブラフィッシュなどの小型魚類、ならびに他の水生動物を用いた基礎研究から医学・産業応用、環境保全まで幅広い領域における最新情報の共有を図る学術集会であり、英語を公用言語として毎年開催されています。

氏部さんはウェルナー症候群という20歳以降で急速に老化が進み短命で死亡する早老症の研究を発表しました。まず、ゼブラフィッシュという観賞用熱帯魚に遺伝子操作を施してウェルナー症候群を発症する魚を作出しました。次に遺伝子発現プロファイルを多サンプルで解析するための実験法を構築し、これを用いて早死する過程で体内で何が起きているのかを遺伝子に注目して解析しました。その結果、外見上の虚弱があらわれる前から、ビタミン不足や血糖制御異常などの生理的異常が起きていることがわかり、ウェルナー症候群の発症機序仮説と症状軽減対処を提案するに至りました。

滝嶋さんはてんかんの治療薬創出につながる研究を発表しました。まず、ゼブラフィッシュに遺伝子操作を施し、まぶしい光を見せたときにてんかんを発症する魚を作出しました。次に、てんかんになる魚に既存の抗てんかん薬を作用させ、てんかんを抑制できるかを試してみたところ、8種類の抗てんかん薬のうち、1種類でてんかん抑制効果が見られました。抗てんかん薬以外にもさまざまな化合物を試し、免疫抑制剤にてんかんを抑制する効果があることを見出しました。この研究はてんかんを治療する新たな薬の創出に資する研究となります。この研究は武藤彩博士(東邦大学)および川上浩一博士(国立遺伝学研究所)との共同研究です。

氏部さんと 滝嶋さんの研究発表は、研究成果の秀逸さと将来性に加え、分かりやすい説明が審査員から高く評価され、優秀発表賞に選ばれました。

発表学会: 第27回小型魚類研究会
発表演題: Temporal transcriptom analysis of a Werner progeria model in zebrafish
発表者: 氏部浩太(理工学研究科理工学専攻生命科学コース博士前期課程2年)、 鹿島誠(理工学部 化学・生命科学科 助教)、平田普三(理工学部 化学・生命科学科 教授)

発表演題: Chemical screening of anti-epileptic compounds
発表者: 滝嶋遼(理工学研究科理工学専攻生命科学コース博士前期課程1年)、 山崎裕之(理工学部 化学・生命科学科4年)、 鹿島誠(理工学部 化学・生命科学科 助教)、武藤彩(東邦大学 医学部 研究推進室 URA)、川上浩一(国立遺伝学研究所 教授)、平田普三(理工学部 化学・生命科学科 教授)

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