- MENU -
POSTED
2024.02.21
TITLE
【理工学研究科】高野聖仁さんが電気学会で「2023年電子・情報・システム部門 技術委員会奨励賞」を受賞
2023年12月7日(木)〜8日(金)、「一般社団法人 電気学会 計測/知覚情報合同研究会」が三重県伊勢市で行われ、高野聖仁さん(理工学研究科理工学専攻電気電子工学コース博士後期課程1年、生体計測・感性工学研究室(野澤昭雄教授)所属)が「2023年電子・情報・システム部門 技術委員会奨励賞」を受賞しました。
高野さんは、顔の皮膚温度分布を利用して体調不良や高血圧などの生体の「異常状態」を遠隔で検出する研究に取り組んでいます。これまで、ニューラルネットワークの一種であるVariational Autoencoder(VAE)を使用して顔の皮膚温度分布に関する「異常検知モデル」を構築してきました。
しかし、人間を対象とした本研究では学習用データの不足が課題でした。そこで、高野さんが提案した「顔面皮膚温度に基づく異常検知のためのフラクタル画像によるVAEの事前学習」では、自動生成したフラクタル画像を使用してVAEを事前学習し、学習データの不足を補いました。これにより、異常検知モデルの性能が向上しました。
この成果は、顔の皮膚温度分布に機械学習アルゴリズムを適用するその他の多くの研究に影響を与える可能性があり、それらの点が高く評価されました。
今後、顔画像に基づく遠隔バイタルセンシング技術が、個々の健康状態のリアルタイムモニタリングを可能にし、予防医学や健康管理の分野で重要な役割を果たすことが期待されます。
受賞者からのコメント
技術委員会奨励賞を受賞し、大変光栄に思います。私は「誰もが無意識に健康でいられる社会」の実現を目指し、皮膚温度画像を活用した人の状態推定の研究に取り組んでいます。機械学習は大量の複雑なデータから特徴を抽出するための強力な手法ですが、生体データを大量に収集することは容易ではありません。今回受賞の対象となった研究では、この課題に挑戦しました。提案した手法が、皮膚温度画像への機械学習の適用をより効果的にし、人の状態推定の研究をさらに進展させることを期待しています。
指導教員からのコメント
受賞対象となった研究において、高野さんは時間的制約のある中で、これまで当該研究領域では行われていない全く新しい手法を導入することに果敢にチャレンジしました。技術分野の研究は短期的成果によって評価され得るものではなく、当然、本研究も今後の継続的な検討を要するものです。本受賞は高野さんの挑戦を賞するのみならず、今後のさらなる挑戦をまさに「奨励」するものとして彼に大きな自信と力を与えるものと期待しています。