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2024.04.24

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生成系AIの利用について


学長 稲積 宏誠

生成系AI(ChatGPT、Gemini、Bing、Claudeなど)を大学の教育・研究でどう扱うかは、大きな課題となっています。従来の教育・研究活動が培ってきた約束事や手続きとどうすり合わせて、どのような範囲でどのように活用するかが問われています。その発展性や可能性をにらみつつ、制限や規制も考慮に入れて、細心の注意を払わなくてはなりません。

道具や技術によって人間は能力を拡張してきましたが、パワフルな道具や技術であるほど、それが常に危険と裏腹であることは歴史が証明してきました。生成系AIもそうした道具であり技術であると思われます。そこに秘められた危険の本質は、生成系AIの不適切な利用によって、学習や教育の現場において、学習者の成長が阻害されることです。また、研究において、安易な結果の産出に甘んじて、人間の叡智と真の創造性が働かなくなることです。

本学は、人と人との関わりの中で、社会的ルールを守りながら、誠実かつ真摯に学習・教育・研究に取り組む場であり続けることが重要であると考えています。

授業における生成系AIの利用の可否は、それぞれの授業の担当教員の指示に従うことを基本方針とします。生成系AIを活用するにしても、利用を制限するにしても、生成系AIの特性を理解することが基盤になくてはなりません。学習・教育・研究において、利用の可否を判断する際、また利用をする際には、以下に挙げる諸点に注意することが必要となります。


1 剽窃、著作権侵害
生成系AIが産出した文章、計算結果、プログラムソースコード、画像等を自分が作成したものとしてレポートや論文で使用することは、授業においてはカンニングと同様の不正行為と見なされます。また、研究においては、そうした行為は学問の誠実性と研究倫理の観点で重大な問題であるだけでなく、生成系AIが学習に使用した情報の剽窃や盗用として知的財産権侵害等の法的問題となる場合もあります。生成系AIを使用する際には、学習・教育・研究の目的を踏まえて、許される範囲で使用しなければなりませんし、利用した場合には適切な引用・出典等の明示が必要となります。

2 情報の信憑性
生成系AIが提示する情報は、必ずしも正しいものだとは限りません。情報のソースを確認したり情報の正しさを確認したりするという情報リテラシーや、そのメディアとしての特性を理解するメディア・リテラシーが、生成系AIの利用においてますます重要になってきます。

3 個人情報や機密情報の漏洩・流出等
生成系AIに入力する際には、個人情報、機密情報などの扱いに留意しなければなりません。利用者の入力情報の利用許可に関する設定などの機能も含め、情報セキュリティについての知識・意識とスキルを高める必要があります。

4 偏見・差別
偏見や差別を助長するような産出物(文章、画像等)を、それと知らず無意識に用いてしまう危険性が指摘されています。歴史的・文化的文脈に関する知識を学ぶことの必要性が高まっています。

5 持続的な見直し
生成系AIをはじめとして、情報技術は急速に進歩しています。また、それらの技術によって、社会もまた急速に変化しています。技術の進展と社会の動向を踏まえて、生成系AIの有効活用や教育・研究における対応の見直し・検討を続ける必要があります。


以上