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2024.09.28

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2024年度9月 大学院・大学学位授与式を挙行しました

2024年9月28日(土)、青山キャンパスのガウチャー記念礼拝堂にて、学位授与式を執り行い、167人の卒業生・修了生(学部140人、大学院27人) が新しい門出を迎えました。
式では、稲積宏誠学長が学位記を授与し、式辞を述べ、山本与志春院長が告辞を述べました。

稲積宏誠学長の式辞

9月に行われる学位授与式は、さまざまな背景をもつひとたちの巣立ちの場です。秋入学の方もいるでしょう。留学等でこのタイミングになった方、また不本意ながらこのタイミングとなった方もいるでしょう。しかし、すべてにおいて、次のステップへ進む、大切な場であることに違いはありません。

まずは、大学院の修了、学部卒業、おめでとうございます。ここで、みなさんに何をお話しするか考えていたところ、先日、60歳を過ぎたメンバーで、長く生きていく中で大切なことは何だろう、という話をする機会がありました。そこでは、特に「夢をもつことの大切さ」が話題になりました。

そのなかで、ユニクロの社長である柳井氏が、1990年代に20年後の海外出店の姿を社員の前で自身の夢としてリアルに、そして詳細に語ったという話をうかがいました。当時としては突拍子もないレベルだったのでしょうが、とても具体的に紹介をされたそうです。もちろん、実現しているものとしていないものがあるでしょう。

小学生ぐらいの子どもに夢を聞くと、男の子の多くは「サッカー選手:Jリーガー」と答えます。私が子どものころは「プロ野球選手」だったように思いますが。しかしよく聞いてみると、「鹿島アントラーズでMF(ミッドフィルダー)として活躍したい」、「青森山田高校でエースになって」さらには「まず体幹を鍛えて」とか「50メートル6秒台で」などと、より具体的な目標を教えてくれる場合もあります。夢を語ることはできるけれども、どこまで具体的なイメージをもって語るのか、そこに大きな違いを感じます。

ここで頭をよぎったのは、今をときめくドジャーズの大谷選手のことです。彼が高校1年生の時に作成した目標達成シートはとても有名になりました。目標はどのような要素から構成されているのか、それぞれの要素に対して少し高めの、より具体的な目標設定を繰り返し定めたようです。曼荼羅チャートとも言います。このことは、夢をもつことの大切さに加えて、それがより具体的でなければならないこと、また夢の実現に向けて課題を分析すること、またその時々でそれを振り返ることの大切さを教えてくれます。

到達目標を定め、学修成果の可視化や学びの振り返りの大切さは、いま文部科学省から頻繁に指摘されます。私たちも、日ごろからPDCAサイクルを回すのだと絶えず口にします。教育工学でも、それこそAIでも、問題・課題を部分問題に分けて段階的に理解を深めることや効率的な問題解決のための方法論が議論されます。一方、システムを分析したり、設計をしたり、開発をする際の方法論研究の分野でも、ウォーターフォールモデルやスパイラルモデル、現在のアジャイル開発といったさまざまな方法論が提案されてきました。

しかし、よくよく考えてみると、すべて人としての取り組み方の問題を学問的に扱ったものと言えます。目標などと言うと少しやらされている感が出てしまいます。目標は自分自身の夢として置き換えたいものです。そこで、今日、あらためて大きな夢をもち、そしてその内容を具体的により詳細に語ってみてはどうでしょうか。そして、大きな夢を実現するために小さな夢も考えましょう。また、これからは、その都度振り返りながら、思い切って軌道修正をする勇気も持ちましょう。しかし、それでも改めて前進してください。

今日はこのことだけをお伝えし、みなさんの新たなスタートにあたりエールを送らせていただきます。あらためて修了、そして卒業おめでとうございます。