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2012.10.25

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理工学部 古川信夫教授が所属する研究グループの成果が雑誌「Nature Physics(2012年10月号)」に掲載

理工学部 古川信夫教授が所属する研究グループの成果が、「Nature Physics」2012年10月号に誌面掲載され、同時に注目記事として同誌の表紙を飾りました(「Nature Physics」誌は物理学の専門誌のなかでは世界で最も権威のある欧文誌です)。

この研究は、電子が持つ「スピン(ミクロな磁性の起源)」が織りなす「カイラリティー」という立体構造を、光の共鳴吸収によって世界で初めて観測し、この現象を説明する理論を組み上げた、というものです。
電子のカイラリティーは固体物理学において今世界で最も注目されている性質の一つで、基礎科学的な関心のみならず次世代半導体デバイスへの応用も期待されています。
本研究によって、スピンのカイラリティーを自在に読み書きできる技術が確立されたことになります。
なお、本研究はブダペスト工業大学、東大、理化学研究所、エストニア国立科学物理研究所と共同で実施されたものです。

※カイラリティーとは
右手と左手のように、よく似た立体構造をとるがまったく同じではなく、しかし鏡に映す(鏡映変換)と相方と同一に見えるものを指します。
たとえば、タンパク質を構成するアミノ酸はカイラリティーによってD型(右手型)とL型(左手型)と分類されますが、天然のアミノ酸はすべてL型になっています。
ルイス・キャロル著「不思議の国のアリス」に、『鏡の国のミルクはおいしくないかも』という台詞がありますが、これは鏡に映してD型になったアミノ酸は元の牛乳に含まれるL型アミノ酸とは味が異なることを指しているのでは、と言われています。