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2019.10.10

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德永彩子さん(理工学研究科)が、「International Symposium on Photochromism 2019」で「Poster Award」を受賞

2019年9月23日(月・祝)~ 27日(金)、フランスのパリのInstitut Pasteurで開催された「International Symposium on Photochromism 2019 PARIS (ISOP’ 2019 PARIS)」において、德永彩子さん(理工学研究科理工学専攻化学コース博士後期課程1年、日本学術振興会特別研究員DC1・阿部二朗教授研究室)が、「Poster Award(ポスター賞)」を受賞しました。

同会議は、光化学分野のフォトクロミズムに関わる研究者が最新の研究成果を発表し、情報交換する目的で、3年に一度開催される国際会議です。2日間に分かれて開催されたポスター発表では、一般の研究者および学生計97名が発表を行い、選考対象者49名のうち4名に同賞が贈られました。

德永さんの研究発表題目は、「Red-Light Driven Photochromic Molecule by Using Triplet Fusion(三重項融合を活用した赤色光駆動型フォトクロミック分子)」です。
赤色光や近赤外光などの低エネルギーの光は、紫外光と比べて生体組織や有機材料への透過性が良く、それらに与えるダメージも少ないことが利点として挙げられます。したがって、赤色・近赤外光によって反応を生じるフォトクロミック分子(*1)は、光照射によって生じる色変化を利用するだけでなく、細胞や材料のなかで物質の性質を光でコントロールすることができる「分子スイッチ」としての発展が期待されています。

德永さんは、阿部研究室で開発されたフォトクロミック分子にエネルギーを受け取る部位を導入し、エネルギーを与える役割を果たす化合物との混合溶液にすることで、低エネルギーの赤い光の照射でもそのフォトクロミック分子が三重項融合(*2)を経由して光化学反応を生じることを見いだしました。

德永さんの発表は、秀逸な研究成果に加え、優秀なプレゼンテーションや質疑応答の態度が評価され、「Poster Award(ポスター賞)」に値すると認められました。

*1 フォトクロミック分子:光によって可逆的に分子構造が変化し、色や分子の性質を変える分子のことをいいます。阿部研究室で開発された高速フォトクロミック分子は、色や分子の性質が高速に変化するといった従来のフォトクロミック分子にはない性質を持っており、外に出た時のみ着色するサングラスや、リアルタイムホログラムなどへの応用が期待されています。

*2 三重項融合:分子の励起状態の一つである励起三重項状態の分子二つがお互いに衝突することで、一方のエネルギーが他方に移り、エネルギー的に高い励起状態が生成する過程を指します。励起状態とは、安定な状態の分子が光や熱などによってエネルギーを受け取ることで、エネルギーを持ち、不安定になった状態のことを意味します。

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