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2020.05.07

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坂本研究室(理工学部 物理・数理学科)で開発中の速報実証衛星 ARICA がJAXAの革新的衛星技術実証2号機として2021年度に打ち上げ

坂本研究室(理工学部 物理・数理学科 坂本貴紀教授、芹野素子助教)で開発中の10cm角の超小型衛星ARICA(AGU Remote Innovative Cubesat Alert system; 「ありか」)が JAXA(国立研究開発法人 宇宙航空研究開発機構)の「革新的衛星技術実証2号機」として2021年度(予定)に内之浦宇宙空間観測所(鹿児島県)よりイプシロンロケットによって打ち上げられることが決定しました。

超小型衛星ARICAは、民間企業や大学などが開発した部品・機器、超小型衛星、キューブサットを宇宙空間の軌道上で技術実証の機会を提供するJAXAの「革新的衛星技術実証プログラム」における2回目の宇宙実証を行う「革新的衛星技術実証2号機」です。搭載するモノ(実証テーマ)は公募で選ばれます。

2017年に天文学者らが中性子星同士の合体に伴った重力波からの光の観測に初めて成功し、重力波天文学の幕開けとなりましたが、その光は突然明るくなり、時間とともに暗くなる突発天体と呼ばれる天体からのものでした。このように突発天体の研究は最先端の科学に直結していますが、突発天体は時間とともにすぐに暗くなってしまうため、明るいうちに世界中の研究者に速報し、様々な望遠鏡を用いた詳細な観測につなげることが鍵となっています。しかし、地球を周回する科学衛星に搭載された観測機器で発見された突発天体を即座に地上に速報するには、国の研究機関などが所有するデータ通信衛星の利用や多くの地上局の設置などが必要で、大きなハードルとなっています。

本学の坂本研究室では、現在利用可能な民間衛星通信に着目し、小型な民間衛星通信端末を10cm角の超小型衛星に搭載し、突発天体の速報システムの実証実験を計画しています。本実証実験が成功すると、速報が必須な突発天体の観測を主目的とした将来衛星計画において手軽で、信頼性の高い速報システムの利用への道が開かれます。現在開発中の超小型衛星はARICAと命名され、衛星全体や各コンポーネントの設計、制作、および、機能試験、さらには、地上に送信するデータの設計まで、全てが坂本研究室に所属する学生主導で進められています。

本研究室で制作が進められ、2021年度(予定)に実際に打ち上がる超小型衛星ARICAの今後にご期待ください。

【図】超小型衛星ARICAの外観
超小型衛星ARICAの丸く開いている部分には、宇宙放射線を計測するためのガンマ線検出器(黄色い四角)や民間衛星通信用のアンテナがあります。
側面(上図の上)の2枚の黒いパネルが太陽電池パネル、右側面の中央には GPSのパッチアンテナがあります。

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