TOP

重里有三教授(理工学部)の研究グループが応用物理学会 第5回「薄膜・表面物理分科会論文賞」を受賞

NEWS

POSTED

2021.03.19

TITLE

重里有三教授(理工学部)の研究グループが応用物理学会 第5回「薄膜・表面物理分科会論文賞」を受賞

CATEGORY

理工学部化学・生命科学科 重里有三教授の研究グループによる論文が、応用物理学会第5回薄膜・表面物理分科会論文賞を受賞しました。

論文題名は”p-type conduction mechanism in continuously varied non-stoichiometric SnOx thin films deposited by reactive sputtering with the impedance control”であり、2020年に米国物理学協会 (American Institute of Physics)が発行する応用物理学専門誌Journal of Applied Physicsに掲載されたものです。(J.Appl.Phys.127, 185703 (2020)).

様々な高精細表示素子や大容量記憶素子に応用されている酸化物半導体薄膜のほとんどはn型と呼ばれる性質をもっています。しかし、近年、例外的な存在であるp型の酸化物半導体薄膜に関する研究が活発になってきました。p-n接合と呼ばれる半導体デバイスの構造構築が酸化物薄膜の積層のみで可能になり、新しいデバイスの創出が期待できるからです。重里研究室ではドイツのフラウンホーファーFEP(有機エレクトロニクス・電子ビーム・プラズマ技術研究所)との共同研究で、反応性スパッタリングという機能性化合物薄膜合成法に超高速でのin-situフィードバックシステムを適用することに成功し、多くのn型酸化物薄膜の高速合成法を確立してきました。この合成方法では様々な化合物の化学量論組成比を広い範囲で精密に制御することが可能です。

今回、論文賞を受賞した研究では、p型酸化物半導体である一酸化錫(SnO)薄膜の合成方法を確立し、p型電導機構を解明しました。

酸化錫は非常に興味深い物質で、最も安定な二酸化錫(SnO2)は顕著なn型の特性を示し太陽電池用の透明導電膜として実用化されていますが、熱力学的に準安定状態にある一酸化錫(SnO)は二次元的な層状の結晶構造を持ち、p型の特性を示します。前述の合成プロセスにさらに工夫を重ねることで、今回、p型、n型両方の高性能な酸化錫薄膜を連続的に合成し、それらの薄膜の構造解析や電子状態解析に成功しました。

この成果は、同じ成膜プロセスで酸化物のp-n接合界面の作成が可能で、ハイスループットでの大面積生産も可能になることから、電子デバイスの量産プロセスとしての実用化が期待できるものであり、薄膜・表面物理分科会論文賞にふさわしいとして、受賞が決まりました。

2021年3月16日(火)に、第68回応用物理学会春季学術講演会にて今回の論文賞受賞記念講演「反応性スパッタによるSnOx薄膜のキャリア発生源と伝導機構」を行いました。

論文著者:
賈 軍軍(元:理工学部化学・生命科学科助教 重里研究室、現:早稲田大学 理工学術院 国際理工センター 准教授)
数金 拓己(理工学研究科理工学専攻博士前期課程修了 重里研究室)
中村 新一(元:理工学部付置機器分析センター)
重里 有三(理工学部化学・生命科学科教授)

関連情報