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2025.04.09

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【理工学研究科】HE CHANGDA(ガ ショウタツ)さん(理工学専攻 機能物質創成コース 博士前期課程2年・受賞当時)が第4回ダイヤモンドデバイス国際ワークショップで「Excellent Presentation Award」を受賞

2025年2月21日(金)、「第4回ダイヤモンドデバイス国際ワークショップ(4th Diamond Device International Workshop)」が佐賀大学で開催され、HE CHANGDA(ガ ショウタツ)さん(理工学研究科 理工学専攻 機能物質創成コース 博士前期課程2年・黄研究室所属・受賞当時)が「Excellent Presentation Award」を受賞しました。

研究概要

本研究は、長岡技術科学大学と株式会社ディスコとの共同研究として取り組んだものであり、ヘテロエピタキシャルダイヤモンドの成長メカニズムの解明および成長時に発生する応力の制御による大面積・高品質ダイヤモンド基板の作製を目的としています。

ダイヤモンドは、Si(シリコン)、GaAs(ガリウムヒ素)、SiC(炭化ケイ素)などと比較して、優れた物理特性・電気特性を有しており、パワーエレクトロニクス、オプトエレクトロニクス、バイオエレクトロニクス、量子コンピューティングといった分野での応用が期待されています。一方で、半導体デバイスとしての実用化には、大面積かつ反りのない高品質なダイヤモンドウェハの作製が不可欠です。その中でも、ヘテロエピタキシャル成長法は、大口径ダイヤモンド基板の製造において有望とされていますが、成長過程で発生する応力により基板が反ってしまうことが大きな課題となっています。特に、成長層の厚さが増すことで応力が蓄積され、基板に割れが生じやすくなり、大面積化が困難になるという問題が指摘されています。

この課題に対し、ガさんはin-situモニタリングシステムを備えたマイクロ波プラズマ化学蒸着(MPCVD)装置を用いて、成長条件を変化させながら、Ir/MgO基板上に成長したヘテロエピタキシャルダイヤモンド膜の曲率を測定し、成長応力の制御が可能であることを確認しました。

本研究成果は、将来的な高性能ダイヤモンド半導体デバイスの実用化に向けた重要な一歩として期待されています。

受賞者からのコメント

HE CHANGDA(ガ ショウタツ)さん(理工学研究科 理工学専攻 機能物質創成コース 博士前期課程2年・黄研究室所属・受賞当時)

このたびは「Excellent Presentation Award」という名誉ある賞をいただき、大変光栄に思っております。本研究に取り組む中で、多くの方々から温かいご指導とご支援をいただきました。特に、日頃より親身にご指導くださっている黄晋二教授をはじめ、お世話になった澤邊厚仁名誉教授、共同研究でご協力いただいている長岡技術科学大学の會田英雄准教授、そして実験や技術的な面で多くの助言をいただいた株式会社ディスコの大島龍司様に心より感謝申し上げます。

私の研究テーマは、ダイヤモンド基板の大面積化と高品質化を目的としたヘテロエピタキシャル成長の応力制御に関するものです。特に、成長中に発生する応力をリアルタイムで観測・制御することで、反りを抑えたダイヤモンド基板の実現を目指しており、今回の成果はその第一歩となりました。今後はさらに研究を深め、完全に反りのない高品質なダイヤモンド基板の作製を目指して、引き続き精進してまいります。そして、将来的にはこの技術がパワーエレクトロニクスや量子デバイスなどの分野で役立つよう、社会実装に向けた取り組みにも貢献していきたいと考えています。

指導教員からのコメント

黄晋二教授(理工学部 電気電子工学科)

ダイヤモンドは未来の半導体材料として世界中で注目されています。特に、大面積かつ高品質なダイヤモンド薄膜は次世代のパワー半導体デバイスの実現に必須な技術であり、今回のガさんの研究成果はそれに資するものです。今後もこの賞を励みとして研究に取り組み、素晴らしい研究業績をあげることを期待しています。

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