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NEWS(ジェンダー研究センター)

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2022.10.10

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シンポジウム「OSECから子どもを守る!」~子どもへのオンライン性搾取がない世界を目指して~ 開催報告

 2022年9月28日(水)、“国際社会とSDGs関係の活動と教育と研究を可視化する一週間”であるAoyama Gakuin Global Weekの一企画として、ジェンダー研究センター、特定非営利活動法人チャイルド・ファンド・ジャパンと青学学生有志の三者共同で、シンポジウム「OSECから子どもを守る!」~子どもへのオンライン性搾取がない世界を目指して~を開催いたしました。
 OSECとは、Online Sexual Exploitation of Children(子どもへのオンライン性搾取)の略語であり、スマホが普及する中、そしてコロナ禍で自宅にいる期間が増える中で、日に日に深刻さを増しています。調査によると、子どもが「自撮り」を強要、送信させられる被害は、2020年には2012年の2倍以上となりました。小学生の被害が増加傾向にあること、性的な目的で子どもをてなずける「グルーミング」という手口が横行していることなども大きな問題です。これらの解決に向け、各分野の専門家の方々をシンポジウムにお招きし、様々な角度からOSECについてのお話を伺いました。
 基調講演では、アメリカからお招きした全米行方不明・被搾取児童センター(NCMEC)のヴァイス・プレジデントであるステイサ・シーハン氏にご登壇いただき、アメリカ、ひいては国際社会におけるOSECの現状やそれに対するNCMECの取組みについてお話いただきました。
 パネルディスカッションでは、特定非営利活動法人ぱっぷす(ポルノ被害と性暴力を考える会)相談員の内田絵梨氏、一般社団法人インターネットコンテンツセーフティ協会(ICSA)代表理事の立石聡明氏、スウェーデン子どもへの商業的搾取をなくすためのオンブズマン(OKSE)代表のガブリエラ・シェーネクル・ウォルフ氏、そしてシンポジウム共催の青学学生有志の1人である法学部4年生の小田佳祐氏がパネリストとして参加しました。
 内田氏にはOSECを誘う手口の1つである「グルーミング」について、SNS上に作成した架空の未成年女性のアカウントを利用した実験の結果を例に挙げながらご説明いただきました。立石氏には、ICSAがどのように民間団体としてインターネットを通じた違法コンテンツの流通を防止しているかについてお話しいただきました。スウェーデンから来日したシェーネクル・ウォルフ氏には、買売春においてセックスワーカーではなく買う側を取り締まる法律、通称「北欧モデル」についてご紹介いただき、最後に小田氏は、彼がゼミで専攻している国際法の観点からOSECについて論じました。
 シンポジウムは50名ほどにご参加いただき、基調講演でもパネルディスカッションでもたくさんの質問をいただきました。
 シンポジウム終了後も会場に残ってシンポジウム開催者や登壇者らとお話をされている参加者が多く見受けられ、OSECや子どもの権利についての社会の関心の高さがうかがえるイベントとなりました。