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望月維人准教授(理工・物理・数理学科)所属の研究グループが、光や電子線の照射による電子スピンの渦状構造体「スキルミオン」の新しい回転現象を発見

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2014.2.12

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望月維人准教授(理工・物理・数理学科)所属の研究グループが、光や電子線の照射による電子スピンの渦状構造体「スキルミオン」の新しい回転現象を発見

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望月維人准教授(理工学部物理・数理学科)が、理化学研究所と東京大学との共同研究で、ある種の磁性体中に実現する「スキルミオン*」と呼ばれる電子スピンの構造体が、光や電子線を照射して温度勾配を付けると一方向に回転する現象を発見しました。
「スキルミオン」は、磁性体の中でも結晶構造が非対称である「キラル磁性体」を磁場中に置くことで発生するものですが、この構造体は、高い電子デバイスとしての機能を持っていることがここ数年で明らかになってきました。そのため、ハードディスクなど、現行のデバイスを超える高密度・省電力の磁気記憶・演算デバイスへの応用が期待されていますが、その実現にはスキルミオンを効率的に制御する方法が必要です。

今回の研究では、ローレンツ透過型電子顕微鏡** で観察すると、キラル磁性体に磁場を下向きに加えた際に出現するスキルミオンが、一方向に回転することがわかりました。
これは、電子顕微鏡の電子線ビームによってキラル磁性体に同心円状の温度勾配ができ、スキルミオンに一方向の回転が起きていたためです。現在、スキルミオンの生成や駆動に関する研究の多くは「電流」を使って行われていますが、電流の使用は発熱をともなうため、エネルギー損失の大きさが課題とされています。ところが本研究によって、スキルミオンの回転運動が、スピンの集団振動(マグノン)の流れとスキルミオンの相互作用によって起こることが明らかにされたため、今後、スキルミオンの新たな制御方法となりうることが期待されます。そして、この制御方法が確立されることにより、消費電力を飛躍的に抑えた次世代の磁気メモリ素子の設計・開発を大きく前進させることが見込まれます。
なお、本研究成果は、英科学雑誌『Nature Materials』に掲載される予定です。またそれに先立ち『Nature Materials online版』(1月26日付け:日本時間1月27日)に掲載されました。

-「スキルミオン」の新しい回転現象を発見した原論文-
M. Mochizuki, X.Z, Yu, S. Seki, N. Kanazawa, W. Koshibae, J. Zang, M. Mostovoy, Y. Tokura, N. Nagaosa: “Thermally Driven Ratchet Motion of a Skyrmion Microcrystal and Topological Magnon Hall Effect”(スキルミオン結晶の熱揺らぎ誘起ラチェット回転現象とトポロジカルマグノンホール効果の発見)Nature Materials, doi :10.1038/nmat3862
 本研究の詳細は、理化学研究所からプレスリリース(以下)として発表されています。

http://www.riken.jp/pr/press/2014/20140127_1/

*スキルミオン
磁性体中で電子のスピンが構成するナノスケールの渦。次世代のコンピューターの記憶装置に使われる磁気デバイス素子の土台になる可能性等が予測されている。

** ローレンツ電子顕微鏡
磁性体中の磁化が作る有効的な磁場により電子線が曲げられる性質を利用して、磁性体中の磁化分布や磁区構造を実空間観察する装置。