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2025.04.15
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【AG150】『青山学院で学んだ韓国朝鮮の文学者たち』出版記念イベント「青山学院出身 近代韓国文学者たちの生の軌跡と文学」を開催

2025年3月15日(土)、青山キャンパス 11号館1134教室にて「青山学院出身近代韓国文学者たちの生の軌跡と文学―『青山学院で学んだ韓国朝鮮の文学者たち』出版記念イベント―」を開催しました。『青山学院で学んだ韓国朝鮮の文学者たち』は、青山学院創立150周年を記念して、青山学院で学び、のちに文学者として活躍した11人の留学生、尹昌錫(ユンチャンソク)・李一(イイル)・田栄沢(チョンヨンテク)・方仁根(パンイングン)・呉天錫(オチョンソク)・朱耀燮(チュヨソプ)・徐恒錫(ソハンソク)・金永郎(キムヨンナン)・朴龍喆(パクヨンチョル)・金東鳴(キムドンミョン)・白石(ペクソク)の作品の翻訳と業績について紹介した本です。彼らは韓国の近代文学の展開に大きな役割を果たした人物たちで、彼らの詩は今でも学校の教科書に掲載されるほど韓国で愛され続けています。
イベントの開会のあいさつで、山本与志春院長は朝鮮・韓国と青山学院との繋がりの強さについて述べました。第1部で、小松靖彦教授(本学文学部 日本文学科)は、金素雲訳『朝鮮詩集前期』で紹介されていた金東鳴の「海」「こゝろ」などの詩に強く心惹かれたところ、彼が青山学院神学科卒業であることを知り、感銘を受けたことが本書刊行プロジェクトの出発点となったと述べました。
次に、学生による詩の朗読「日本語・韓国語で読む青山学院で学んだ韓国朝鮮の文学者の詩」では、SHIN JUHONGさん(文学部 日本文学科3年/イベント当時)と石井陽菜さん(文学部 日本文学科2年/イベント当時)が、金永郎「毒を持って」、朴龍喆「夜汽車にあなたを見送って」、「冷たい額」、白石「白きかべがあって」の詩を韓国語と日本語で朗読しました。学生が詩の心を朗読で表現しようと直前まで何度も練習した成果がとても現れました。


第2部のトークショー「日韓文学史と青山学院で学んだ韓国朝鮮の文学者たち」では、熊木勉教授(天理大学 国際学部)により韓国近代文学史について概観し、本書で取り上げた11人と、また取り上げることができなかった文学者たち(李根庠・金溶益・李貞善・秦長燮)の紹介がありました。文学者一人ひとりの作品の特徴、および韓国近代文学史における位置などについて説明しました。また、彼らが、弱きもの、小さきものに限りない共感を持ち続けていたという印象的な指摘がありました。
韓京子教授(本学文学部 日本文学科)は、植民地朝鮮における西洋童話の紹介は、主に日本語訳を参照して行われていたが、呉天錫、田栄沢、徐恒錫など青山学院出身の留学生が深く関わっていたことを説明しました。苦難逆境の中、いち早く児童教育の重要性を認識し、実践しようとしていた人々が青山学院に集まっていたことは非常に興味深く意味のあることについても触れました。


第3部のミニコンサート「青山学院で学んだ韓国朝鮮の文学者たちを想う」では、沢知恵氏によるピアノ弾き語りがありました。沢氏は歌手であるとともにハンセン病療養所の音楽文化研究者でもあり、『朝鮮詩集』(岩波文庫)などを残した詩人の金素雲は祖父に当たります。最初の曲「アメージング・グレース」で会場は、一気に厳かで敬虔な雰囲気に包まれると同時に、100年前の空間へといざないました。金東鳴の作品「こゝろ」(金素雲による日本語訳)にメロディーを付けた曲、金素月作詞の「わすれねばこそ」、「雨ニモマケズ」、「愛生園挽歌」が披露しました。他に朴龍喆の詩「こころ」の朗読も行いました。
閉会のあいさつで、末田清子副院長(本学国際政治経済学部 国際コミュニケーション学科教授)は、約1世紀前から青山学院が国際的な教育の一端を担ってきたことを改めて確認できたこと、そして国際交流の重要性について語りました。
本書の刊行、イベントを通じて、文学史、国際交流史、学院史の一端を明らかにすることができました。100年の時を経て明らかにされた青山学院出身の韓国朝鮮の文学者たちの存在、足跡を忘れず、記憶し語り続けていきます。

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SHIN JUHONGさん(文学部 日本文学科3年/イベント当時)
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石井陽菜さん(文学部 日本文学科2年/イベント当時)
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沢知恵氏