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2023.09.04

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柏原航助教(理工学部 化学・生命科学科、レーザー光化学研究室(鈴木正教授)所属)と渡邉翔太さん(理工学研究科)の論文が米国化学会の学術雑誌の表紙を飾る

左:柏原航助教、右:渡邉翔太さん

本学、柏原航助教(理工学部 化学・生命科学科、レーザー光化学研究室(鈴木正教授)所属)と渡邉翔太さん(理工学研究科 理工学専攻化学コース博士前期課程2年)の論文が米国化学会の学術雑誌『The Journal of Physical Chemistry』の表紙を飾りました。
この学術雑誌は、1896年に創刊された物理化学分野の草分けである著名な論文誌です。

論文タイトルは「Effects of Two Electron-Donating and/or -Withdrawing Substituents on Two-Photon Absorption for Diphenylacetylene Derivatives(ジフェニルアセチレン誘導体の2光子吸収に対する2つの電子供与基および電子求引基の効果)」です。

この研究は、有機合成専門の武内亮教授(理工学部 化学・生命科学科)、および桜美林大学の磯崎輔准教授との共同研究の成果です。
また、総研プロジェクト「機能性分子骨格ジアリールポリインの電子励起状態」(2013-2014年度)の支援を頂いています。


物質にレーザーなどの強い光を当てると、物質を構成する分子ひとつが一度に二つの光子(光のエネルギーの最小単位)(注1)を吸収することがあります。これを同時二光子吸収といい、その物質のことを二光子吸収材料と呼びます。
二光子吸収材料は記録材料(メモリー)や微細構造形成(マイクロマシン)、ガン治療における光線力学療法の薬剤(増感剤)などへの応用が期待されています。この二光子吸収が起こるメカニズムや強く起こすためにはどのような分子設計をしたらよいのか、といった研究が盛んに行われています。

論文では、二光子吸収材料としてよく使われる分子骨格、ジフェニルアセチレンに二つの置換基(注2)を導入した分子を合成し、その二光子吸収特性を調べて報告しています。
二光子吸収を効率よく起こすためには、どのような電子供与基、求引基を骨格分子のどこに入れたらよいのか、様々な要因について議論しました。
その内容が評価され、学術雑誌の表紙に採択されました。

(注1)光子:フォトン。光はエネルギーの粒(つぶ)として考えられ、そのエネルギーは光の波長とは反比例の関係にあります。赤い光よりも青い光、紫外線になるにつれて、1つの光子がもつエネルギーがだんだんと高くなります。

(注2)置換基とは、骨格となる分子に導入した原子または原子団のことを指します。この置換基には、骨格分子の電子を引っ張ったり(電子求引基)、逆に自分がもっている電子を押し込む(電子供与基)性質があります。


柏原航助教は「日本光医学・光生物学会」で「奨励賞」を受賞しています。

左:柏原航助教、右:渡邉翔太さん

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