TOP

NEWS(リエゾンセンター)

POSTED

2025.11.18

TITLE

【理工学研究科】石丸孝則さんが国際学術会議 APMS 2025でBest Student Paper Awardを受賞

2025年8月31日(日)〜 9月4日(木)鎌倉にて開催されたAPMS 2025において、
石丸孝則さん(理工学研究科 マネジメントテクノロジーコース 博士前期課程2年・水山研究室所属)が「Best Student Paper Award」を受賞しました。
APMS 2025 では、Springer Series 「Advances in Information and Communication Technology」に掲載され、
独自性と影響力のある学術的貢献が認められた研究、および優秀な研究発表を行った学生に対して、Awardを授与しています。

【論文タイトル】
Impact of Transshipment Prices on Food Waste in a Two-Location Restaurant Inventory System
【著者】
T. Ishimaru, S. Suginouchi, and H. Mizuyama
【掲載ジャーナル】
IFIP Advances in Information and Communication Technology, Vol.767, Springer, pp.273-286 (2025)

▶論文へのリンク

研究概要

本研究では、2飲食店間での在庫横持ちの効果を検討しています。ある店舗の余剰在庫を他店舗に移動させることによって、利益向上や食品ロス削減の効果が得られる可能性があります。従来研究は、主に横持ちが利益に与える影響を分析していたのに対して、本研究は、横持ちが持つ食品ロス削減効果に着目しました。
本研究の主な貢献は2点あります。
第一に、横持ちの受取側が供給側に支払う1単位あたりの金額(融通価格)に応じて、各店舗の初期在庫量に関する意思決定がどのように変化するかを明らかにした点です。融通価格は各店舗の初期在庫の意思決定に影響を及ぼすため、その値を適切に調整することで食品ロス削減効果を高められることが明らかになりました。
第二に、中央集権型システムよりも分散型システムの方が食品ロス量が少なくできることを示した点です。中央集権型システムでは、中央の意思決定者が全体利益最大化を目指して複数店舗を一元的に管理するのに対して、分散型システムでは、各店舗が自店舗の利益最大化のみを目的として独立に意思決定を行います。分散型システムでは各店舗が利己的に行動するため、全体利益が損なわれることが多くの先行研究で指摘されていますが、興味深いことに、食品ロスに関しては、各店舗の利己的な行動によってむしろ削減される可能性があることが示されました。

授賞式にて(中央が石丸孝則さん)

受賞者からのコメント

石丸孝則さん(理工学研究科 マネジメントテクノロジーコース 博士前期課程2年・水山研究室所属)

このたび「Best Student Paper Award」をいただき、大変光栄に思います。ご多忙の中、ご指導くださいました水山教授、ならびに杉之内助教に心より感謝いたします。また、これまで研究に携わり、貴重なご意見をくださった先輩方や同輩にも深く御礼申し上げます。今回の受賞を励みに、今後も研究に真摯に取り組み、より一層の成果を挙げられるよう努めてまいります。

授賞式にて(中央が石丸孝則さん)

指導教員からのコメント

水山元教授(理工学部経営システム工学科)

このたびの受賞は、私どもの研究室で取り組んでいる「食品サプライチェーンの持続可能性向上に関する研究」の一環として、石丸さんが中心となって進めてきた研究成果が評価されたものです。食品ロス削減は社会的に重要な課題になっており、石丸さんの研究はその解決に向けた新たな視点を提供するものです。今回の受賞を契機に、今後も石丸さんがさらなる研究成果を挙げられることを期待しています。