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2024.12.16
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【地球社会共生学部】留学中の学部生が国立コンケーン大学でワークショップを開催
2024年11月26日(火)に、現在タイに留学中の地球社会共生学部の学生が、タイ東北部にある国立コンケーン大学 人文社会科学部で日本語を学ぶタイ人学生を対象に、批判的思考を学ぶワークショップを開催しました。タイ東北部は「イサーン」とも呼ばれ、稲作が盛んな地域ですが、不安定な雨水に頼っているため収穫量が安定せず、タイの中では最も貧困な地域とされてきました。しかしながらこの地域では、素朴で昔ながらの気質を持ち、人情味あふれるタイ人が多いという特徴もあります。このイサーンに属するコンケーンは、同地域の中でも大きな都市で、タイ全土の中でも4番目に大きな都市といわれています。そしてコンケーン大学は1964年にイサーンで最初に設立された国立大学で、この地域最大の規模を誇っています。
ワークショップを開催するにあたり、篠原先生から一つのミッションが与えられました。それは、「日本語を学ぶタイ人学生に対し、批判的思考とは何かを理解させること」というものでした。日本人学生側も、批判的思考とは何なのか、なんとなくは分かっているものの、改めて説明を求められると、なかなか言語化して説明するのが難しいものです。また、今回は日本語を学ぶタイ人学生が、易しい日本語で適切に説明しなければならず、かなり難しいミッションでした。
今回のワークショップに参加した本学部生の留学先は、タマサート大学、チュラーロンコーン大学、カセサート大学、そしてシーナカリンウィロート大学とさまざまでしたが、SNSやZoomを駆使し、学生同士がオンライン上などで連携しながら準備を進めました。ワークショップの内容は、「LGBTQ+」をテーマに日本人学生とタイ人学生が対話しながら、「自分たちの考えは、国や文化が異なれば、当たり前ではないことを知る」ことで批判的思考のプロセスを学ぶというものに決定しました。これらの内容は、全て本学部生が考案したものです。林拓也教授(地球社会共生学部)からさまざまなフィードバックをいただいたり、コンケーン大学の篠原先生からも多くの助言をいただいたりして、試行錯誤を繰り返しながら準備を進め、タイ人学生に配布する事前課題やスライドを完成させ、本番に臨みました。
ワークショップ当日は、現在タマサート大学に留学している本学部生の檜山葵さん(2年)がワークショップのファシリテーターを務めました。檜山さんは本ワークショップのリーダーで、開始直後は大変緊張していましたが、アイスブレイクを経て場が温まってくるのと同時に緊張もほぐれ、持ち前の明るさでワークショップを進行していました。グループに分かれ、日本人学生とタイ人学生とでディスカッションを行った際には、双方から多くの意見が出てきました。各グループには、例えば「男の子と男の子、または女の子と女の子が恋人同士で手をつないでいるのを見たら、どのような気持ちになる?」などの問いが与えられ、その問いに対して活発な議論が繰り広げられました。またタイ人学生の中には、LGBTQ+当事者も複数いたため、彼らから当事者目線の大変貴重な意見を聞くことができ、大いに勉強になりました。タイ人学生からは、「みんな人間で感情を持っているから、同性同士でも愛する権利がある」、「同性同士で手をつなぐことは全く普通のことで、それを見た時もかわいいカップルだなと思う」という意見が多く出た一方、日本ではまだまだLGBTQ+に対して理解が遅れていることに驚いていました。日本人学生は、タイではLGBTQ+に対する理解が近年ますます進んでいることを改めて知ったと同時に、外国人同士で一つの言語をもとに伝えたいことを伝え合うことの難しさを実感しました。こうしたリアルな対話から、「共生マインド」は醸成されます。
檜山葵さん(地球社会共生学部2年)からのコメント
今回のコンケーン大学でのワークショップは、地球社会共生学部として初めての試みでした。課題として与えられた「批判的思考(クリティカルシンキング)」については、チームメンバーと一緒に「どういうことなんだろう?」ということを考えるところから始めました。留学先の大学での授業課題に取り組みつつ、限られた時間の中で作り上げたこのワークショップは、前例がなかったこと、準備期間が十分に取れなかったこと、そしてコンケーン大学の学生の日本語理解能力がどの程度なのか分からなかったこともあり、本当に大変でした。しかし、実際にコンケーン大学へ行くと、タイ人学生の日本語がとても上手で、積極的に話しかけてきてくれたことで、緊張が少しほぐれたのを覚えています。ワークショップ中は、みんなで「クリティカルシンキング」ついて学びながら意見交換をし、タイ・日本の学生たちそれぞれが、LGBTQ+の各国の考え方について理解を深めることができました。無事にワークショップが終わった時、「このワークショップができて良かった」と、言葉に表すことができないくらいの感情が込み上げてきました。留学先の拠点はバンコクですが、また彼らに会う日を楽しみに、残りの留学生活も有意義なものにしていこうと決意しました。このワークショップを提案してくださった先生方、ワークショップを一緒に作り上げてくれたみんな、ワークショップに参加してくれたみんな、本当にありがとうございました!!
林拓也教授(地球社会共生学部)からのコメント
今回のコンケーン大学でのワークショップに参加したタイ留学中の地球社会共生学部の学生は、これでタイ東北部に住むタイ人学生ともつながりができました。留学とは、文字通り海外で学ぶことを意味していますが、その意義はさまざまあると思います。「距離が離れていても、あなたのことを思ってくれる人、そしてあなたのことを記憶に持ってくれる人」、そのような人たちを作ることも、留学の意義の一つなのではないでしょうか。今回の参加者には、このつながりを大事にしてもらいたいと願っています。