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2025.12.24
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【地球社会共生学部】タイ留学中の学生が東興海運株式会社バンコク駐在員事務所で女性駐在員の働き方を学ぶ
2025年11月28日(金)、タイへ留学中の地球社会共生学部の学生が、東興海運株式会社バンコク駐在員事務所を訪問しました。林拓也教授(地球社会共生学部)による引率のもと、マヒドン大学に留学中の山本美月さんと田中柚名さん、そしてタマサート大学に留学中のリー エマ ローレン 蘭さんの3人(いずれも地球社会共生学部2年)が参加しました。訪問では、同社初の女性海外駐在員であり、バンコク事務所で単独で業務を担っている鳥山夏子さんが学生を迎えてくださいました。
■東興海運株式会社の事業と駐在員事務所の役割について
訪問の冒頭では、東興海運株式会社の事業内容や、駐在員事務所と現地法人との違いについて、東興海運株式会社バンコク駐在員事務所の鳥山夏子さんから、丁寧な説明がありました。タイの法律上、外国企業の海外オフィスである駐在員事務所には営利活動(タイ企業からの金銭の受け取り)が認められていないため、営業活動の範囲も限定されています。現地で得た情報を日本本社へ共有し、必要に応じて商談の橋渡しを行うことが、駐在員事務所が担う役割の一つです。また、タイでは比較的に早い段階から責任ある役割を任されることが多い一方で、現状維持を好む傾向が強く、同じ指示でも意図が伝わりにくい場合があるなど、文化的背景を踏まえたコミュニケーションが欠かせないことについても、具体例を交えてお話しいただきました。学生たちは、異文化で働くことの難しさと面白さが日々の業務にどのように影響するのかを実感しました。
鳥山夏子さん ■鳥山さんのキャリアと「海外で働く」ということ
鳥山さんは、学生時代に、国際系学部で国際関係学を学び、在学中のイギリス留学を通して「海外の方と一緒に何かを成し遂げたい」という思いを強く抱くようになったと語りました。外航海運業は、生活インフラを世界中に届ける国際物流の中心的な産業であり、その思いにマッチングする仕事であると、現在の会社に就職しました。タイで働く中で、多様な価値観を持つ人々と協働し、柔軟なコミュニケーションによって信頼関係を築いてきた経験についても紹介がなされました。一人で海外拠点を運営するという大きな責任を担いながらも、朗らかで誠実に業務へ向き合う姿は、学生たちに大きな感銘を与えました。
鳥山夏子さん ■学生にとっての学び
学生たちは今回の訪問を通じて、次のような多くの学びを得ました。
・海運業が世界の物流を支える重要な役割を果たしていること
・異文化環境では、背景や目的まで丁寧に説明する必要があること
・若くして責任ある役割を担うタイのビジネス文化
・行動力、説明力、コミュニケーションの大切さ
・「国と国をつなぐ」仕事の具体的な姿
学生からは、海外で働くことへの関心が高まっただけでなく、「将来のキャリア選択の視野が広がった」「実際の働く姿を具体的にイメージできるようになった」といった感想も寄せられました。
■訪問を終えて
東興海運株式会社バンコク駐在員事務所の鳥山夏子さんから、多岐にわたる経験と示唆に富むお話を伺うことができました。今回の訪問は、学生が国際社会の現場に触れ、多様な価値観や働き方を理解する貴重な機会となりました。
地球社会共生学部では、今後も学生が国際的な視野を広げる機会を積極的に提供していきます。
学生からのコメント
山本美月さん(地球社会共生学部2年、留学先大学:マヒドン大学)
今回、東興海運株式会社でタイ支部を一人で運営されている鳥山さんからお話を伺い、海運産業がまさに世界の大動脈として機能していることを強く実感できました。国境を越えて莫大な物流品が絶えず動き続ける裏側には、船会社、港、荷主、現地スタッフなど多くの人々が関わっており、その一つ一つの連携が産業全体を支えているのだと学びました。また、タイという異文化環境で働くことの難しさと面白さについても伺いました。日本と比べて時間感覚や仕事の優先順位、人間関係の築き方などが大きく異なるため、同じ言葉で指示しても同じ意味で受け取られないことがあるという点は非常に興味深かったです。業務の背景や目的を丁寧に説明しないと納得して動いてもらえない場面や、「言わなくても分かる」という日本的な前提が通用しないなど、文化的背景の違いが日々の実務に直接影響していることを知りました。そのような状況の中で、鳥山さんご自身はとても朗らかで、学生からの質問に誠実かつ真摯に向き合ってくださる姿勢が印象的でした。厳しい環境の中、支部を一人で切り盛りしてきたにもかかわらず、柔らかいコミュニケーションを通して信頼関係を築いてこられたのだと感じました。鳥山さんのお話を通して、海外で働くことへの関心が高まっただけでなく、「国と国をつなぐ仕事」に対する具体的なイメージがより鮮明になったと感じました。
田中柚名さん(地球社会共生学部2年、留学先大学:マヒドン大学)
海外駐在員の方に直接お話を伺うことができ、とても貴重な経験になりました。具体的な業務内容やご自身のキャリアについて、本音を交えてお話しくださり、非常に引き込まれるようなお話を伺うことができました。仕事とは実際どのようなことをするのか、正直分からない部分も多かったのですが、お話を伺う中で「働く」ということの意味を理解できたように感じます。また、他国で働く際に直面した困難や、逆に楽しかった経験などを伺い、将来自分が海外で働く姿をより鮮明に想像できるようになりました。今後も、さまざまな社会人の方からお話を伺いたいと思いました。
リ- エマ ロ-レン 蘭さん(地球社会共生学部2年、留学先大学:タマサート大学)
今回の企業訪問では、バンコク支店の代表として日本人一人で事業を運営されているというお話を伺い、文化や価値観の違いがある中で活躍されている姿がとても印象的でした。特に、タイの方々は現状維持を好む傾向があることや、日本とは異なり早い段階から肩書きを任される環境であるからこそ、その肩書きが自分を成長させるというお話が強く心に残りました。また、自分自身も将来海外で働く可能性を考えているため、行動力やコミュニケーション力の重要性を改めて実感しました。今回の訪問を通して、進路を考えるうえで非常に貴重な学びを得ることができました。
教員からのコメント(地球社会共生学部 林拓也教授)
このたびは、お忙しい中、学生の訪問を快く受け入れてくださった鳥山夏子さんに、心より感謝申し上げます。東興海運株式会社における海外業務の実情や、異文化環境で働くうえでの姿勢について、非常に多くのことを学ばせていただきました。地球社会共生学部は女子学生の比率が高く、海外で精力的に働く鳥山さんの姿は、本学部の女子学生にとって大変リアルで説得力のあるロールモデルとなります。早い段階から責任ある業務を任されるタイのビジネス環境において、一人で拠点を切り盛りされている鳥山さんのお話は、彼女たちに大きな勇気と刺激を与えたことと思います。また、タイとカンボジアの間で起こった国境紛争により陸路での輸送が困難となった際、海運が物資輸送のサポート役を担ったというお話は、国際物流の役割と重要性を考える上で大変興味深いものでした。日常では見えにくい海運の機能が、地域情勢や国際社会の安定と深く結びついていることを、学生は実感を伴って理解することができました。今回の訪問を通じて、ジェンダーにかかわらず、個人の努力やチャレンジ次第で早い段階から海外業務に携わる機会が開かれていることを、参加した学生たちは強く感じたはずです。こうした鳥山さんの実体験は、本学部に在籍するより多くの女子学生にぜひ聞いてほしいと、心から思いました。



