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EVENT(学外講座)
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2025.11.13 - 2025.12.18
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【青山キャンパスアカデメイア】江戸文化を知ることはこれからの世界で輝くための知恵 後編
日本の伝統的芸術音楽である一中節(いっちゅうぶし)及び常磐津節(ときわずぶし)を実際に声を出して体験(稽古)する講座です。稽古は伝統文化を身につける唯一の方法です。
稽古という言葉の本来の意味は「長い年月をかけて磨き抜かれた感性に触れ、今何をなすべきか稽える(考える)」ということです。
そして、稽古は、自己力(自分自身を理解し、目標達成のために主体的に行動し、困難を乗り越える力)を高める、最も簡単で最も確実な方法です。
一度でも実際に声を出して稽古を経験すると、ものの見え方聞こえ方が全く変わり、新しい世界を感じます。
是非体験してみてください。
目標、重点を置く学習内容
【当講座の目的】
当講座の目的は、日本の伝統芸能である浄瑠璃(じょうるり)の体験を通じて、現代社会の激しい変化の中で、日本人としての在り方を見つめ直し、これからの世界を生きていくための新たな発想を得ることにあります。
日本文化は、江戸時代の260年続く平和によってすべてが磨き抜かれ深められて現代に伝わりました。したがって現代の日本文化と言われるものは、すべて江戸文化と言っても過言ではありません。
一中節は元禄時代(1688年〜1704年)に京都で創始され、江戸時代を通して、稽古していない人はいないといわれたほど多くの人々に浸透していた三味線音楽です。
江戸時代の人々の心がリアルに溶け込んでいる一中節を稽古することは、日本文化に対して知識ではなく感性で理解を深めることになります。
当講座は、江戸文化の浄瑠璃を自ら声を出して音の意味合いを深く味わいながら、世界で通用する日本文化の教養を身につける講座です。
【浄瑠璃とは】
浄瑠璃とは、三味線の調べにのせて物語を語る「語り芸」の一つであり、独特の抑揚や韻律を用いた表現によって、登場人物の心情や情景を立体的に描き出す芸能です。
江戸時代においては、人々は日常的に浄瑠璃を稽古していたとの記録があり、歌舞伎と並ぶ大衆文化として隆盛を極めました。
浄瑠璃は単なる娯楽にとどまらず、言葉の響きや節回しを通じて、聴く者の感性を刺激し、想像力を養う知的営みでもありました。
かつての日本人は、浄瑠璃を日常的に親しむことで、豊かな発想力と美意識を育み、それを思想や文学、さらには医学や数学といった自然科学の分野にまで昇華させてきました。
その結果、日本文化は独自の洗練を遂げ世界からも憧憬の念をもって称えられる高度な文化に発展したと言っても過言ではありません。
【本講座の特色】
本講座では、一中節、常磐津節の代表曲の浄瑠璃を三味線の音色に合わせて皆さんと"語る"ことで学びを深めていきます。
江戸時代に、人々の心の隅々にまで浸透していた三味線音楽には、奈良時代から千年以上の時間をかけて積み重ねられた、日本の文化、日本人の教養のすべてが溶け込んでいます。
そしてこの実践的な学習を通じて、近代化の過程で失われつつある日本人本来の感性や創造力を呼び覚まし、未来を切り拓く知性と行動力を養うことを目指しております。
初心者の方にもわかりやすく、基礎から丁寧に指導することを目指します。
一緒に日本文化の奥深さを探求し、新たな視点を見出していきましょう。
一回毎に完結した内容で進めますので、途中お休みになられても理解に問題ありません。ゆるゆるとしたお気持ちでご参加ください。
受講対象者
日本音楽の経験が全くない方こそ大歓迎です。
受講料
24,000円
受講場所
青山学院大学 青山キャンパス
※教室が決定いたしましたら、マイページを通じて改めてお知らせいたします。
必須テキスト・参考図書
受講に際して稽古本と音源を購入していただきます。
合わせて3000円〜4,000円程度です。
受講に関しての注意事項など
・最少催行人数を設けております。最少催行人数に達しなかった場合には、講座を中止させていただくことがございます。
・講座の録音・録画・写真撮影は、ご遠慮ください。
・講義中は、携帯電話の電源を切るかマナーモードに設定してください。教室内での通話はご遠慮ください。
講座スケジュール(各回の講義予定)
1 | 11月13日
19:00~20:30 |
一中節「花の段」
谷崎潤一郎の代表作は、戦前の関西の上流階級の暮らしぶりを描いた「細雪」です。大阪船場の豪商、名門蒔岡家の豊かで優雅な生活ぶりを描いた作品です。 その中から、幸子、雪子、妙子という三人のお嬢様達が、平安神宮に満開の紅枝垂れ桜を見に訪れるシーンを、谷崎潤一郎自らが一中節として書き下ろした作品が、一中節「花の段」です。 三人の美しい娘達が身にまとう、今日の日のためだけに仕立てた贅沢を極めた豪華な衣装は、日本の美意識の象徴として描かれます。 そして最後に 「いとせめて 花見衣に花びらを 秘めておかまし 春の名残りに」 と、姉の幸子が詠む和歌は、「戦争があろうが何があろうが、千年以上前から続いている日本の美は、未来永劫決して亡びることはない。文化が滅ばなければ国は滅びない、文化が滅べば国は滅ぶ。」 という谷崎潤一郎の強いメッセージが込められています。 |
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2 | 11月20日
19:00~20:30 |
一中節「姫が瀧四季の山廻り」
初代都一中の述正本の中から失われていた曲を、先代都一中が復曲したものです。茶室の床の間に生けられた一輪の花を見つめながら、大自然の真理を感得する内容です。すべてのものに自然の道理が宿っていて、その音楽もその道理に従っていないものは、音楽としてもレベルの低い不快なものになります。人間の感性は10年20年ではあまり宛にならず、レベルの低い作品を愛でてしまうこともありますが、百年二百年の時を経ると自然の道理に従っているものだけを優れたものとして大切にするようになるものです。この曲は自然の道理に従って生きることの大切さを教えてくれています。 |
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3 | 11月27日
19:00~20:30 |
常磐津「関の扉(せきのと)」
アインシュタインの相対性理論、シュレディンガーの量子力学などによって、物理学として証明されつつある数々の現象は、江戸時代の音楽の世界の中では当たり前のこととして表現されています。ニュートンが万有引力を証明する前からリンゴは当たり前のこととして木から落ちていたように、あらゆる現象は方程式を持って証明される前から存在しています。江戸時代の音楽を学ぶと、人間は自然界の存在として自然界の全てのことは感覚的にすべてわかっていたということがわかります。人間は本来自然界の法則を体感で理解しています。レベルの低い知性がそれの邪魔をして感覚を鈍らせてしまうのです。 この曲は透徹した感性で、自らの中に本来持っている自然界の法則に目覚めさせ、人間として生きる道を示しています。 |
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4 | 12月4日
19:00~20:30 |
一中節「辰巳の四季」
初代都一中は、紀貫之が古曲和歌集仮名序で提唱した日本人の根幹をなす美意識を、江戸時代に改めて根付かせることに成功しました。日本の優しく穏やかで美しい自然と、その中で育まれた繊細で優美な感性に基づく日本人の深遠な知性は、二百数十年に及ぶ世界に類のない平和と繁栄をすべての人々にもたらしました。 現代の混迷を極める世界情勢と、根底から変わろうとしている世界秩序の大変革期にあたり、この曲から日本人の本質を感じ取り学ぶことは、明るい未来をもたらすために必須のことと思えます。 |
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5 | 12月11日
19:00~20:30 |
常磐津「靭猿(うつぼざる)」
三味線のバチとして使える象牙は、コンゴ共和国の森林地帯に住む丸耳象の象牙です。アフリカ象やインド象のような乾燥地にいる象の象牙は脆いので三味線のバチとしては使えないのです。しかし木材の大量輸出と森林地帯の開発、そして中国に象牙が高く売れるための乱獲で、その丸耳象は絶滅してしまいました。このことは三味線のバチがなくなって私達が困るということよりも、森林をなくしてしまうとCO2を酸素に変えることができなくなり、地球の呼吸を止めてしまうことにつながる深刻な問題です。 自然の中に住まわせていただいているというありがたさを、人々が日々感じながら生きていた江戸時代は、植物も動物も昆虫も、あらゆるものの命をおのずから何よりも大切に思っていました。 この曲からそのような、何よりも命を大切に思う人の心の優しさを学んでいただけることと思います。 |
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6 | 12月18日
19:00~20:30 |
一中節「石橋(しゃっきょう)」
この曲は、能の名曲「石橋」を、初演から五百年ほど経って一中節としてリメイクした曲です。石橋は文殊菩薩の浄土清涼山に自然現象でできた橋で、下は数千丈の谷底、幅は一尺もなく苔が滑らかで、普通に人間が渡ることは不可能と言われています。 しかし、寂昭法師は自分の力ではなく、すべてを神仏に委ねることにより渡りきることができたのでした。 「出来ないと思ったら何もできない、出来ると信ずれば必ず出来る」という心のあり方を、音楽の響きで実感出来るこの曲は、歴史に残る大経営者となった人たちはこぞって稽古したと伝えられています。 |
1 | 11月13日
19:00~20:30 |
一中節「花の段」
谷崎潤一郎の代表作は、戦前の関西の上流階級の暮らしぶりを描いた「細雪」です。大阪船場の豪商、名門蒔岡家の豊かで優雅な生活ぶりを描いた作品です。 その中から、幸子、雪子、妙子という三人のお嬢様達が、平安神宮に満開の紅枝垂れ桜を見に訪れるシーンを、谷崎潤一郎自らが一中節として書き下ろした作品が、一中節「花の段」です。 三人の美しい娘達が身にまとう、今日の日のためだけに仕立てた贅沢を極めた豪華な衣装は、日本の美意識の象徴として描かれます。 そして最後に 「いとせめて 花見衣に花びらを 秘めておかまし 春の名残りに」 と、姉の幸子が詠む和歌は、「戦争があろうが何があろうが、千年以上前から続いている日本の美は、未来永劫決して亡びることはない。文化が滅ばなければ国は滅びない、文化が滅べば国は滅ぶ。」 という谷崎潤一郎の強いメッセージが込められています。 |
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2 | 11月20日
19:00~20:30 |
一中節「姫が瀧四季の山廻り」
初代都一中の述正本の中から失われていた曲を、先代都一中が復曲したものです。茶室の床の間に生けられた一輪の花を見つめながら、大自然の真理を感得する内容です。すべてのものに自然の道理が宿っていて、その音楽もその道理に従っていないものは、音楽としてもレベルの低い不快なものになります。人間の感性は10年20年ではあまり宛にならず、レベルの低い作品を愛でてしまうこともありますが、百年二百年の時を経ると自然の道理に従っているものだけを優れたものとして大切にするようになるものです。この曲は自然の道理に従って生きることの大切さを教えてくれています。 |
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3 | 11月27日
19:00~20:30 |
常磐津「関の扉(せきのと)」
アインシュタインの相対性理論、シュレディンガーの量子力学などによって、物理学として証明されつつある数々の現象は、江戸時代の音楽の世界の中では当たり前のこととして表現されています。ニュートンが万有引力を証明する前からリンゴは当たり前のこととして木から落ちていたように、あらゆる現象は方程式を持って証明される前から存在しています。江戸時代の音楽を学ぶと、人間は自然界の存在として自然界の全てのことは感覚的にすべてわかっていたということがわかります。人間は本来自然界の法則を体感で理解しています。レベルの低い知性がそれの邪魔をして感覚を鈍らせてしまうのです。 この曲は透徹した感性で、自らの中に本来持っている自然界の法則に目覚めさせ、人間として生きる道を示しています。 |
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4 | 12月4日
19:00~20:30 |
一中節「辰巳の四季」
初代都一中は、紀貫之が古曲和歌集仮名序で提唱した日本人の根幹をなす美意識を、江戸時代に改めて根付かせることに成功しました。日本の優しく穏やかで美しい自然と、その中で育まれた繊細で優美な感性に基づく日本人の深遠な知性は、二百数十年に及ぶ世界に類のない平和と繁栄をすべての人々にもたらしました。 現代の混迷を極める世界情勢と、根底から変わろうとしている世界秩序の大変革期にあたり、この曲から日本人の本質を感じ取り学ぶことは、明るい未来をもたらすために必須のことと思えます。 |
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5 | 12月11日
19:00~20:30 |
常磐津「靭猿(うつぼざる)」
三味線のバチとして使える象牙は、コンゴ共和国の森林地帯に住む丸耳象の象牙です。アフリカ象やインド象のような乾燥地にいる象の象牙は脆いので三味線のバチとしては使えないのです。しかし木材の大量輸出と森林地帯の開発、そして中国に象牙が高く売れるための乱獲で、その丸耳象は絶滅してしまいました。このことは三味線のバチがなくなって私達が困るということよりも、森林をなくしてしまうとCO2を酸素に変えることができなくなり、地球の呼吸を止めてしまうことにつながる深刻な問題です。 自然の中に住まわせていただいているというありがたさを、人々が日々感じながら生きていた江戸時代は、植物も動物も昆虫も、あらゆるものの命をおのずから何よりも大切に思っていました。 この曲からそのような、何よりも命を大切に思う人の心の優しさを学んでいただけることと思います。 |
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6 | 12月18日
19:00~20:30 |
一中節「石橋(しゃっきょう)」
この曲は、能の名曲「石橋」を、初演から五百年ほど経って一中節としてリメイクした曲です。石橋は文殊菩薩の浄土清涼山に自然現象でできた橋で、下は数千丈の谷底、幅は一尺もなく苔が滑らかで、普通に人間が渡ることは不可能と言われています。 しかし、寂昭法師は自分の力ではなく、すべてを神仏に委ねることにより渡りきることができたのでした。 「出来ないと思ったら何もできない、出来ると信ずれば必ず出来る」という心のあり方を、音楽の響きで実感出来るこの曲は、歴史に残る大経営者となった人たちはこぞって稽古したと伝えられています。 |
講師紹介
都 一中
1952年 東京生まれ。本名・藤堂誠一郎。常磐津節を父初世常磐津文字蔵、四世常磐津文字兵衛、常磐津菊三郎に師事長唄三味線を田島佳子、長唄を皆川健に師事。
青山学院中等部・高等部卒業(19期)東京芸術大学音楽学部中退、音楽学を小泉文夫に師事、一中節を十一世都一中に師事。
1981年 二世常磐津文字蔵襲名
1985年 第一回文化庁芸術作品賞受賞
1986年 歌舞伎座の常磐津節立三味線(主席奏者)に昇格
1990年 公益財団法人清栄会 奨励賞受賞
1991年 十二世都一中を襲名し、一中節宗家継承
1999年 重要無形文化財 一中節(総合認定)保持者認定
2008年 重要無形文化財 常磐津節(総合認定)保持者認定
2014年度 日本芸術院賞受賞
2023年 重要無形文化財 日本舞踊 保持者認定
ドイツ、オーストリアなどの国際音楽祭に招聘され演奏会を行う。
ニューヨーク及びボストンのジャパンソサエティーに招聘され、米国東海岸各都市で演奏会を行う。そのほか、M.I.T.、イェール、ウェスリアン、コロラド、北京、などの各大学、バークリー音楽院にて講演と演奏を行う。
都一中音楽文化研究所理事長、一般財団法人古曲会評議員、常磐津協会理事、一中節都会主宰、常磐津百閃会主宰。
一中節宗家十二世都一中として、古典の中の古典といわれる一中節の高度に洗練された美意識を継承し、門弟の指導にあたりながら、現代の最先端の感性の要求に応える演奏活動を国内外で展開。未来へ向かっての日本の音楽芸術の進むべき道を追求している。二世常磐津文字蔵としては、常磐津節の所作事浄瑠璃としての特徴を生かし、舞踊とともに江戸の文化のゆかしさを現代に体現し、常磐津のみの演奏においても、新しい価値の創造に取り組んでいる。
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