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2025.04.01

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2025年度入学式を挙行

2025年4月1日(火)、青山キャンパスの青山学院記念館にて、2025年度入学式を執り行いました。
稲積宏誠学長がお祝いの式辞を、山本与志春院長が告辞を述べました。

稲積宏誠学長による式辞

稲積宏誠学長・式辞

ご入学おめでとうございます。青山学院大学は皆さんを心より歓迎いたします。

気持ちを新たに、「青山学院大学の理念」を見てみましょう。
「青山学院大学は、〈青山学院教育方針〉に立脚した、神と人とに仕え社会に貢献する「地の塩、世の光」としての教育研究共同体である。」この「地の塩、世の光」は新約聖書マタイによる福音書の聖句の言葉であり、青山学院のスクール・モットーとなっています。「本学は、地球規模の視野にもとづく正しい認識をもって、自ら問題を発見し解決する知恵と力を持つ人材を育成する。」ここでは、本学における教育がグローバルな視点を持つことが謳われ、受け身ではなく自ら学ぼうとする姿勢を重視していることが示されています。そして、その方法としては、「それは、人類への奉仕をめざす自由で幅広い学問研究を通してなされる」と続きます。

稲積宏誠学長による式辞

そこで、学問研究、そもそも学ぶということを改めて考えることにします。
皆さんは今まで、英語、数学、国語、理科、社会、音楽、体育等々の授業を受けてきました。もちろん総合学習などのユニークな取り組みをしてきた方もいらっしゃるでしょうが、基本的に、決められた指導要領に沿った内容について学んできたのだと思います。

成績は、教科書に書かれている内容について正確に理解しているかどうかでまず決まります。さらに、教科書の内容を超えるレベルのことについても知識を増やしていくことが求められたことでしょう。基礎トレーニングとしてのこれまでの学びも大切なことでした。ただ、大学には、そのような指導要領もなければ決められた教科書もありません。もちろん、分野によって定番となっている教科書、場合によって世界標準のものもあります。しかし、それを選んでいるのは担当する個々の教員であったり学部や学科であったり、それぞれが主体的に選んでいるものです。したがって、何を学ぶか、どのように学ぶかについては、教員あるいは大学による特色が現れます。

大学教員の教員免許というものは存在しません。よって教えるテクニックを学んできた人はほとんどいないでしょう。では、何をもって教えているのか。この学びが、何か面白いことにつながること。自分にしかできないような取り組みにつなげることができる。そのために必要なことだから学んでほしいと思い、その思いを授業で伝えることで成り立っています。

大学教員は、多かれ少なかれ、自分にしかできないことに興味をもっています。それが研究です。もちろん、その研究が人類・社会に対してどのような意味を持つのかについても思いを巡らせていなければなりません。つまり、大学での学びは、社会とのかかわりの中で自分にしかできないことや研究をするために必要なことを学び、最終的に自分の生き方を探すために学んでいるということになります。その学びは正課と正課外の両方を含みます。正課は「卒業要件」ということで条件が示されています。正課外はまさに自由に自分で選ぶことのできる大学生活そのものです。

また、大学における学びの特徴のもう一つの側面は、学び方を学ぶということです。様々な可能性を考え、互いに否定することなく多くの意見を出し合い、それを受け入れたうえで、そこから論点を定めて絞り込むような、発散と収束。同様に様々な可能性を考え、それを仮説として設定し、事実に基づいてその正当性を証明していくような仮説検証。他者の取り組みをレビューしながら自分自身の取り組みを見つめなおしていくピアレビューなどです。

事実は事実、意見は意見としてきちんと区別して説明すること、事実についてはその証拠となるようなデータを示していく、意見についてはその根拠となっているデータを示すことです。たとえば、「稲積は入学式であいさつをする。」は事実で、証拠を示すのは簡単ですが、「稲積の話はたいくつだ。」は意見ですので、その根拠を示すのは結構苦労することになります。自分自身が設定した問いに対して答え、つまり提案するということは、提案内容について論証していくことで、事実についての証拠と意見についての根拠を示しながら組み立てていくことになります。

さて、自分にしかできないことを見出し、その取り組み方についても工夫しながら進めていく。その結果、皆さんが青山学院大学を巣立っていくときの姿について、最後にお話しすることにします。
青山学院大学の学生は、人にやさしく多くの人々のなかで、また社会のなかで、サーバント・リーダーとして活躍してくれるはずです。また特にコミュニケーション能力に優れているという評価も受けています。このコミュニケーション能力とは、相手の立場を理解する、相手が理解できるように説明することができる、そして伝えるべき内容の質が高いことです。つまりただ単におしゃべりがうまいということではなく、今日お話しした学びについての総合力としての知的なコミュニケーションをとることのできる能力を持っているということができます。

これからの学生生活のなかで、皆さんは専門分野によらず多くのことを学び、経験していくことでしょう。そのなかで大学の持つ物的、人的な資源を最大限活用してください。それによって、自分の生き方を明確に定めていくこと、また青山学院大学らしい知的コミュニケーション能力に優れた人物として成長してくれることを期待し、皆さんにエールを送ることで私からのあいさつとさせていただきます。

あらためてご入学、おめでとうございます。