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2026.04.07

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組織名:化学・生命科学科

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タグ:研究

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【理工学部】重里有三教授(理工学研究科 機能物質創成コース)の研究グループが全固体薄膜積層型熱スイッチの開発に成功しました。

理工学研究科 機能物質創成コースの重里有三研究室で、すべてが固体の機能性薄膜で構成される全固体薄膜積層型熱スイッチの創成に成功しました。このデバイスは金属-半導体の相変化を利用したもので、可視―近赤外光の透過率、電気伝導度、とともに熱伝導度を同時に制御することができます。熱スイッチとは低熱伝導率(OFF)⇔高熱伝導率(ON) で熱伝導率の可逆的な制御ができる素子のことであり、MEMS(熱アクチュエイター)、熱ダイオード、バッテリーや高性能コンピューター等の熱マネッジメント、あるいは幅広くエネルギー利用の高効率化のための応用が期待されています。
研究成果はAIP Publishing(米国物理学協会出版)が出版する専門誌:Journal of Applied Physicsに掲載されました。

研究メンバーは以下の通りです。
柏木 誠(元:理工学部 化学・生命科学科 重里研究室助教、現:早稲田大学 ナノ・ライフ創新研究機構 研究院講師)
西村龍飛(元:理工学研究科 機能物質創成コース 重里研究室 博士前期課程)
小口有希(理工学部附置機器分析センター)
重里有三(理工学研究科 機能物質創成コース 教授)

【論文タイトル】
Fabrication of all-solid-state thin-film thermal switching devices using Y-Mg thin-film as the thermal switching layer
【著者】
M. Kashiwagi, R. Nishimura, Y. Oguchi and Y. Shigesato
【掲載ジャーナル】
J. Appl. Phys. 139, 115104 (2026); doi: 10.1063/5.0304709

▶論文へのリンク

研究概要

ある種の希土類元素、あるいは遷移金属とMgの合金において、最上面に 5-10 nm の極薄パラジウム膜を触媒として担持することで水素化/脱水素化反応により金属/半導体と相変化する物質が存在します。これらは調光ミラー材料と呼ばれています。可逆的な水素化/脱水素化反応は、(1)1気圧の3%水素含有窒素ガス(爆発限界以下の安全な水素濃度)中に曝露するガスクロミック方式、並びに(2)電解液中で電気化学的な H⁺注入により水素化/脱水素化反応を行うエレクトロクロミック方式があります。重里研究室は多くの材料に関してスパッタ法で成膜を繰り返し、これら(1),(2)の両方の方式での可逆的水素化反応に最適な材料、並びに薄膜合成条件を探求してきました。これらの知見を基にして、透明導電膜(ITO)/調光ミラー薄膜(Y-Mg)/触媒層(Pd)/リーク電流バリア膜(thin-WO₃)/イオン導電膜 (Ta₂O₅)/イオン貯蔵膜(HxWO₃)/透明導電膜(ITO)の 7 層からなる全固体薄膜積層型熱スイッチの作製に成功しました。それぞれ異なる物性を有する機能性無機薄膜は、研究室内の異なるスパッタ装置を用いて製膜されました。

※パブリッシュしてきた調光ミラー薄膜に関する論文は以下の通りです。
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