私たちは、日々の生活な中で様々な問題を抱えながら生活しています。家庭や社会環境からのストレスや心身の病気、災害、事故など、心理支援の必要性は多岐にわたっています。こうした問題を解決するために、多くの心理療法や地域支援活動が重要となっています。これらの支援活動にあたっての知識や技能を習得するために、講義やグループワーク、ディスカッションを通じて皆で考えを出し合いながら、授業を進めていきます。その中で、臨床心理学の歴史や意義とともに、アセスメントや支援の実践的な方法を学習し、良好な人間関係を築くためのコミュニケーションについての実践力も身に付けていきます。さらに、家族、社会、文化という視点も含めて、心の健康教育や危機支援についても触れていきます。受講生の皆さんが、自らを振り返りつつ、他者を思いやり、豊かな社会生活を送るための指針となるきっかけとなったら嬉しいです。お互い助け合い、学び合いの心を培っていきましょう。
心理学科
DEPARTMENT OF PSYCHOLOGY
AOYAMA CAMPUS
認知、発達、社会、臨床の心理学を理解し、
人間の心の問題を実践的に解決する「心の専門家」を育成します。
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FEATURES 学科の特色
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4つの専門領域と、 進路に合わせた2つのコース
「心理学基礎」によって基本的な知識と態度を修得後、「認知」「発達」「社会」「臨床」の4領域を専門的に学びます。さらに、「哲学・認識論」関連科目により思考力を鍛えます。進路に合わせて自由度の高い授業選択をする「一般心理コース」と、公認心理師や臨床心理士をめざす「臨床心理コース」の2コース制を導入しています。
※臨床心理コースは人数制限をおこなう可能性があります。志望者が制限人数を超えた場合は、GPAとレポートおよび面談により選考をおこないます。詳しくは、入学後のオリエンテーションにおいて説明します。 -
公認心理師・臨床心理士の資格について
公認心理師や臨床心理士の資格を取得するために必要となる科目を履修することが可能です。公認心理師は心理専門職の国家資格であり、定められたカリキュラムを大学および大学院博士前期課程で充足し、国家試験に合格することで取得できます。本学部および大学院は、公認心理師受験資格取得に対応しています。また、大学院の博士前期課程(臨床心理学コース)は、修了後実務経験を経ることなく臨床心理士の受験資格を得ることができる(公財)日本臨床心理士資格認定協会の第1種指定を受けています。
心理学科の国家資格「公認心理師」受験資格にかかる科目の読み替えはこちら -
心理学科合同研究室
心理学科の学生であれば誰でも利用可能です。心理学に関する本や雑誌、パソコンも完備されており、自由に学習できる環境が整っています。
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青山心理学会 -学生主体で学年を超えた交流を実現-
心理学会は、学部生、大学院生、専任教員、卒業生の有志による集まりです。この会では、講演会や勉強会の開催、「青山心理学研究」の発行を行っているほか、新入生オリエンテーションや卒業パーティといったさまざまなイベントを実施しています。これらは学生による自主的な運営が中心で、学年を越えたアットホームな交流を生んでいます。
PICK UP LECTURES 授業紹介
発達心理学~人の心の発達は、ゆりかごから墓場まで~
あなたが一緒に生活してきたお父さんやお母さんは、毎日、どのようなことを考えているでしょうか。いま、どんなことに悩んでいるでしょうか」「お店で駄々をこねてひっくり返っている子は、なぜそのような行動を取っているのでしょうか」「お年寄りはなぜ、同じ思い出を繰り返し語るのでしょうか」。
この授業の第1回では、このような問いを受講生に投げかけますが、そんなことを考えたこともなかった、と答える学生がほとんどです。私たちは日々、様々な人が生活する様子を目にし、いろいろな人たちと関わっているにもかかわらず、自分と異なる年代の人が何を考え、行動しているのかを意外にも知りません。
本授業では、講義に加え、映像教材の視聴やディスカッションを通して、生まれてから死に至るまでの人の心の変容や発達のメカニズムについて学びます。
授業で学んだことを手掛かりに、自分の来し方、行く道について考えることで、自分自身についての理解が深まるだけでなく、自分が周りの人たちの関わりの中で育ち、育てられてきたこと、そして、周りにも誰もがそれぞれの年代ならではの発達上の課題に向き合っていることに気がつくことでしょう。
〈Student voice〉
授業を受け始めた頃は「今」の自分のことで頭がいっぱいだったのですが、講義を受けながら、過去の自分を振り返ってみたり将来を想像してみたり、また親や祖父母など家族の経験や心情を想像したりするようになりました。それを通して、過去との繋がりを感じたり、家族との関係性を捉え直したりすることができ、自分が確立され、少しずつ安定していく感覚が得られていったように感じます。
臨床心理学概論 ~「あなたの物語」を理解するための学問
心理学は科学的方法により人の心の仕組みを明らかにする学問です。それは人間やその集まりである社会というものを理解するときに非常に役に立つことがあります。ただし、臨床心理学は、悩みや苦しみを抱えて目の前にいるその人の役に立たなければなりません。そこでは科学的に明らかになった人の心の一般的な仕組みを知るだけでは十分ではありません。むしろ、その人独自のお話、いわば「あなたの物語」を理解することを目指さなければなりません。もちろん物語を理解すると言っても、直感的な理解や自身の経験からくる理解に頼るのではなく、そこにはやはり理論というものが支えとなります。臨床心理学はそのような「あなたの物語」を聞くときに支えとなる理論を提供するものです。臨床心理学を通して、個別の物語を理解することの面白さや難しさを一緒に学んでいきましょう。
〈Student voice〉
この講義では症状や理論などももちろん扱いますが、臨床心理学を臨床心理学たらしめる根本について、講義全体を通してその感覚を養うことができます。
また、豊富な実務経験に基づく印象深いお話を聞くなかで、臨床心理学が相手にするものとその痛みを垣間見ます。他の分野とは質感を異にする臨床心理学。さながら鏡のような講義の中で、心の問題を学ぶと同時に、自分、人間、生き方なども考えさせられます。
心理学実験
毎週、基礎的な現象に関して実験を行い、得られた結果(データ)からどのように結論を導き出すのか、そのプロセスを学習します。そして、それをいかにして論文の形にまとめるのか、を学び、その実験種目の「問題」「目的」「方法」「結果」「考察」をレポートにまとめて提出します。
心理学研究法
心理学の基本的な研究方法(量的方法・質的方法)について、講義と演習を通して学べます。基礎知識や技法を身に付けるだけでなく、実証的な思考の仕方、問題への対応力、論文執筆方法、研究に臨む態度や倫理についても理解を深めます。
PICK UP SEMINARS ゼミナール紹介
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認知:松田ゼミ
認知・感情・動機づけについて、実験心理学的な研究を行います。生体信号の計測を中心に、反応時間などの行動指標や質問紙も駆使して、人の心にせまります。研究テーマは、各自の関心にもとづいて決めてもらいます。自分がなにを知りたいのかを明確にしたうえで、研究計画を立て、データを収集し、統計処理を行い、結果を考察します。教員はそれぞれのプロセスにおいて、自らの研究経験をふまえて助言・指導します。「今までだれも知らなかったことを科学的に明らかにして人に伝える」という研究の営みは、非常に楽しく魅惑的です。この楽しさを、ゼミをとおして共有していければと思います。
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発達:坂上ゼミ
生涯発達心理学の立場から、個人や関係性(親子、仲間、恋人、夫婦、家族等)の発達に関する問題を中心に、1年をかけて研究を進めていきます。「育つ」「育てられる」「育てる」「育ち合う」等々、各自が自身の「育ち」の中で経験してきたことをもとに研究テーマを設定し、先行研究の整理、研究計画の作成、データの収集と分析、考察に至る一連のプロセスを学んでいきます。卒業研究に取り組むにあたっては、子育てや保育、他世代交流などの現場に積極的に足を運んでみてほしいと思います。教員の役割は、各自が知りたいと思ったことをどうすれば形にすることができるのかをサポートすることだと心得ています。ゼミでは、各学生の積極的な参加と活発な議論による、学生同士の「育ち合い」を期待しています。
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社会:繁桝ゼミ
どのような対人コミュニケーションがどのような効果をもたらすのかを社会心理学的に研究します。 周りの人とのコミュニケーションの効果について、①対人関係、②職場・組織行動、③広告心理・消費者行動、④比較文化・異文化適応という4つの領域から、各ゼミ生の興味に従いテーマを選択します。 ゼミは自分なりの問を持つことから始まり、その答えを探すため、先行研究の理解→予備研究による問題把握→本研究による実証 、という流れで研究を行います。
グループディスカッションを重ね、協力して研究を実施することによって、ゼミ自体が対人コミュニケーションによる相乗効果を狙っています。 -
臨床:上田ゼミ
各自が心理学的な関心から研究テーマを設定し、それについて調査や実験を行い、その結果に基づいて研究論文を執筆するまでを行います。ゼミに所属する全員で議論し、協力しながら、研究を進めていくことを大事にしています。私自身は教育領域における臨床心理学的諸問題に関心がありますが、皆さんの研究については、自ら関心のある事象について心理学的観点から研究できるテーマであれば、できるだけ幅広く受け入れ、サポートしたいと考えています。研究とは、与えられた問いに答えていくような学びではありません。皆さん自身が問いを立て、自らそれを解いていくのです。自ら問いを立て、調べ、得られた発見を他者に説得的に提示することは、その後の皆さんの人生にとってかけがえのない財産になると思っています。
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哲学:入不二ゼミ
哲学的認識論や哲学文献講読演習の中で学んでもらった「哲学する」態度を、自分の問題へと適用してもらうのが、ゼミになります。哲学的(だと思われる)問題は、ひとから与えられるものではありません。あらかじめ自分の中に問題を持っている者だけが、それに形を与えることができます。
どのような形式になるかは、やってみないと分かりませんが、哲学の文献をいっしょに読み、いっしょに考え、議論するという点は、不変だと思います。
※卒業論文のみ