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2020年4月 新入生の皆さんへ

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2020.04.01

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2020年4月 新入生の皆さんへ

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学長 阪本 浩

ご入学おめでとうございます。
青山学院大学は、神と人とに仕え社会に貢献する「地の塩、世の光」としての教育研究共同体です。今日からその共同体の一員となる皆さんを心より歓迎します。

新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から、残念ながら入学式を中止せざるを得ませんでした。また、授業開始を遅らせ、種々のオリエンテーションも、授業も通常とは異なる形でスタートさせなければなりません。今、世界中が感染拡大に苦しみ、それと必死で闘っている状況を考え、こうした変更がやむを得ないことを理解してください。決して楽観視することなく、逆に投げやりになることなく、教育研究共同体の一員としての自覚をもって己を律し、学業に専念されることを望みます。

以下、古典の一節を引用し、これから大学での学びを開始する皆さんへ歓迎と励ましの言葉をお伝えしたいと思います。

「あなたが先達、あなたが主君、あなたが師です」

これはダンテ『神曲』の一節です。
この詩は、「人生の道半ばで、正道を踏みはずした私が目をさました時は暗い森のなかにいた」と始まり、「思い返しただけでもぞっとする」というその森から抜け出せずに苦しんでいたダンテの前に人影が現れます。それがウェルギリウスだと知って感激した詩人は、「おお、あらゆる詩人の名誉であり光であるあなた、長い間ひたすら深い愛情をかたむけてあなたの詩集をひもといた私に情けをおかけください。あなたは私の師です、私の詩人です。私がほまれとする美しい文体は、余人ならぬあなたから学ばせていただきました」と呼びかけます。若い頃から熱心にウェルギリウスに学ぶことで、今日の私という人間が形成され、詩人ダンテに成長できた、そして中年になって苦しい状況に陥った時、それに救いを求めているわけです。ウェルギリウスと言えば古代ローマの詩人ですから、ダンテより1,300年前の人であり、直接教えを受けたのではなく、その作品を「深い愛情をかたむけて」熟読、研究してきたのです。

ウェルギリウスは、この森から抜け出すには「別の道を行く方がいい」として、地獄、煉獄(れんごく)を案内し、天国へ向かう旅をしようと提案します。そんなところに行く自信の無いダンテはしり込みするのですが、結局は説得されます。「あなたのお話を聞いて、行きたいという気持ちが強く心に湧きました、最初の決心に戻りましたから、さあ行きましょう、二人とも心は一つです。あなたが先達、あなたが主君、あなたが師です。」ここが最初に掲げた箇所です。

この一節は、若い頃に古典を熱心に学び、学問に傾倒することで人格が形成され、それが生涯その人を導く案内役を果たし、成人して苦しむ時には助ける存在にもなる、そのようなことを感じさせると言ってよいかもしれません。

新入生の皆さんは、これからそれぞれの目標をもって、この大学で学んで行くわけですが、その間にダンテにとってのウェルギリウスのような存在に出会って欲しいと思っています。先達として生涯あなたを導いてくれる存在、それは、ダンテの場合のように古典かもしれません。現代の文学かもしれません。それぞれの専門分野の研究書かもしれません。あるいは「影」ではなく、生身の人間、つまり、教員かもしれないし、先輩、友人であるかもしれません。この大学で、皆さんがそのような存在と出会えるように願っています。私たち教員全員がウェルギリウスになれるわけではありませんが、皆さんのその出会いの手助けができれば幸いと思っています。

冒頭で述べたように、通常とは異なる状況でスタートする新学期には、遠隔授業に切り替える科目も少なくないでしょう。外出自粛の要請もまだ続くかもしれません。そんな時こそ、冊子体の本をじっくり読んでみることをお勧めします。

院長 山本 与志春

青山学院大学、青山学院大学大学院に入学された皆様、ご入学おめでとうございます。皆様のご入学を心からお慶び申し上げます。

青山学院は、1874年(明治7年)にアメリカのメソジスト監督教会のドーラ・E・スクーンメーカー宣教師によって設立された女子小学校をはじめ、ジュリアス・ソーパー宣教師の耕教学舎、ロバート・S・マクレイ宣教師の美會神学校の3つの学校を源としております。やがて3つの学校は、青山の地において統合して青山学院となり、今年、創立146周年を迎えます。青山学院の最初の学校である女子小学校はわずか7人で始まりましたが、今日では、幼稚園・初等部・中等部・高等部・女子短期大学・大学・大学院においておよそ23,000人が学ぶ総合学園となりました。青山学院が幾多の苦難を乗り越えて今日あるのは、多くの先達の献身的な働き、青山学院を愛する熱い思いと祈り、多くの捧げものがあったがゆえであります。そして今年、青山学院に入学された皆様は、この伝統を受け継ぎ発展させてくださる方々です。

青山学院の146年の長い歴史を貫くものは、「青山学院の教育は、永久にキリスト教の信仰にもとづいて、行われる。」との建学の精神です。この建学の精神は、青山学院の全ての学校が共有している青山学院教育方針「青山学院の教育はキリスト教信仰にもとづく教育をめざし、神の前に真実に生き
真理を謙虚に追求し愛と奉仕の精神をもってすべての人と社会とに対する責任を進んで果たす人間の形成を目的とする。」にも示されております。そしてこの教育方針を、聖書の言葉で簡潔に表したものが、青山学院スクール・モットー「地の塩、世の光」です。塩も光も人が生きていく上でなくてはならないものです。そのように、私たちもなくてはならない、かけがえのない存在であり、すべての人と社会とに貢献する存在であることを示しています。さらに、青山学院創立150周年に向けて掲げた、AOYAMA VISION「すべての人と社会のために未来を拓くサーバント・リーダーを育成する総合学園」そして、新経営宣言「Be The Difference〝世界は一人ひとりの力で変えられる″」。これらの言葉はすべて聖書から導かれています。つまり、青山学院の教育は、キリスト教の信仰、聖書にもとづいているのです。聖書の言葉には、生きていく力があります。苦難に耐え乗り越える力があります。失望に終わることのない希望があります。人を大切にする心、愛があります。皆様に聖書を読むこと、大学や教会の礼拝に出席してイエス・キリストの言葉を聴くことを強くお勧めします。そこでは、皆様の心の痛みや疲れが癒され、慰めと励ましが与えられます。そして、真の青山学院の学生になることができます。

今、世界中に感染が拡大している新型コロナウイルスは、経済はもとより、スポーツ・文化・教育・宗教、あらゆる分野でグローバル化している現代において、一つの国の出来事が地球上の全ての国に影響を及ぼすことを再確認させられました。地球という環境の中で、幸せに安全に生きていくためには、資源も産物も製品も医療も互いに分かち合いながら支え合っていかなければ存続できません。自国だけで問題は解決できないのです。支え合うことなしに存続できないことは、個人も社会も同じことです。

この新型コロナウイルス感染症をはじめ、世界には地球規模で協力して取り組まなければならない課題が山積しています。国連が提唱している持続可能な開発目標SDGsは、「誰一人取り残さない」社会を実現するために、2030年までに解決すべき17の目標を掲げています。貧困と飢餓をなくすことや、皆が質の高い教育を受けられるようにすること。安全な水やクリーンエネルギー、海や陸の環境保全も喫緊の課題です。また、ジェンダー平等について日本の状況は、2019年ジェンダー・ギャップ指数によれば、世界121位。男女平等とは程遠い現実があります。私は皆様に、ぜひこれらの課題に取り組んでいただきたいと願います。普段の生活の中から、意識を高めて、皆様の未来を守るためにも、行動することが必要です。それは、「愛と奉仕の精神をもってすべての人と社会とに対する責任を進んで果たす」青山学院生のあるべき姿です。皆様がこれから学びを深める分野は、それぞれ異なりますが、いずれの道でも、皆様が修得し研鑽を積まれることは、ご自身の資質向上のみならず、社会に貢献する基となるのです。自分が持っている力や才能・技術を他の人や社会のために喜んで捧げる「地の塩、世の光」たる、「サーバント・リーダー」として生きるために、見識を広め、学びを深めてください。

最後に皆様は、それぞれ課題を抱えておられるでしょう。自身の健康・学業、将来や経済的な不安、家族の問題、それぞれが背負うものは異なりますが、誰しも、一人で生きていくことはできません。困ったときは、友人やご家族、先生や職員に声をかけて頼ってください。私たちは、互いに手を取り合い、共に生きる仲間です。これからの学びの時にも神様のお守りと、祝福が豊かにありますようお祈りいたします。

大学宗教部長 塩谷 直也

聖書 ヨハネによる福音書6章68~70節
シモン・ペトロが答えた。
「主よ、わたしたちはだれのところへ行きましょうか。あなたは永遠の命の言葉を持っておられます。あなたこそ神の聖者であると、わたしたちは信じ、また知っています。」 すると、イエスは言われた。「あなたがた12人は、わたしが選んだのではないか。」


祈り
天の父なる神様。
大勢の先生がいる中で、あなたこそ本物の先生だと考え、「先生、私があなたを選びました」と弟子のペトロは誇らしく語りました。ところが、それに対してイエス・キリストは答えます。「あなたがわたしを選んだのではない。わたしがあなたを選んだ。」と。

神様。自分の意志で、この青山学院を選んで入学したと、多くの新入生が考えています。しかしあなたはその思いに対し、「私があなたを選び出し、導き、ここに招いた」と厳かに宣言されました。どうぞ入学を許された一人一人が、神によって選び取られたかけがえのない存在であることを、私ども大学教職員一同に深く悟らしめてください。

期待と不安の中にいる新入生を、助け導いてください。分断、排斥、言いようのない不安が世界に広がり、多くの者が生きづらさを感じるこの時代にこそ、改めて青山学院の教育方針に立ち返らせてください。
すなわち、「神の前に真実に生き、真理を謙虚に追求し、愛と奉仕の精神をもって、すべての人と社会とに対する責任を、進んで果たす人間」となるよう、新入生、在校生、教職員一同をあなたの愛によって育んでください。

青山学院の創立145年の歴史を導く真のリーダーであり、この大学の揺るがぬ土台であるイエス・キリストの名によって祈ります。アーメン。