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2023.03.25

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2022年度大学・大学院学位授与式を挙行

2023年3月25日(土)、2022年度卒業礼拝、大学・大学院学位授与式を青山キャンパスにて執り行いました。

今年度は式典への出席について、卒業生1名につき、ご家族2名までの入場で挙行をしました。
また、インターネット動画にてライブ配信し、保護者等、ご家族の方などにもご覧いただきました。

阪本浩学長の式辞 大学・大学院を卒業する皆さんへ

ご卒業おめでとうございます。

今日ここに、コロナ禍にあっても学びを止めず学業に専念された皆さんに学位記を手渡しできましたことを、何よりも嬉しく思います。皆さんは、入学前に思い描いていたようなキャンパスライフを楽しめなかったかもしれません。大学は、様々な制限を課すという辛い決断をしなければなりませんでした。誰もいないキャンパスの中を猫たちが走り回る光景と共に、大学に何ができるのかと悩み続けた日々を思い出します。世界中がパンデミックの影響で苦しむ中でも、弛まず努力を続けてこられた皆さんに敬意を表したいと思います。

昨年秋に、ノーベル賞作家オルハン・パムクの最新作『ペストの夜』の邦訳が出版されました。20世紀初頭のオスマン帝国を舞台に、恐ろしい疫病と戦う人々、それがもたらす混乱を描いた小説です。コロナ禍にあってこれを読む読者は、小説の面白さを脇に置いたとしても、パンデミックに直面した時、時代や地域が違っても人間は似たような反応を示すのかと感じることでしょう。しかし、ここでパムクの小説を持ち出す必要はなかったかもしれません。そのパムクも影響を受けたと言っているデフォー、マンゾーニなど多くの文学作品にもこのテーマが現れるからです。それより何百年も前の歴史書や文学作品にも、繰り返しそれを見ることができます。2500年も前のトゥキュディデスの歴史叙述における圧巻は、アテナイで猛威を振るった疫病に関する叙述だと言われています。パンデミックは人類の悪夢と言えるかもしれません。何百年も前から、歴史上のパンデミックは世界の終わりや人類の滅亡を連想させる悪夢だったのです。

しかし、角度を変えてみれば、こうも言えるかもしれません。世界は終わっていないし、人類は滅亡していない。混乱が収まり、恐ろしい疫病の打撃から立ち直った人々は、再び歩み始めて、新しい時代、次の繁栄の時代を築いてきた。人類の歴史はその繰り返しだったと言えるかもしれません。現在のパンデミックの後の時代がどのようなものになるのか予測はできません。ウィズコロナ、あるいはポストコロナと呼ばれる時代でしょうか。未来を思い描くことなど、今はできません。確かなのは、皆さんがその新しい時代の担い手となるということです。辛くとも、コロナ禍にあっても学業に専念してきた世代にしかできないことがあるはずです。その経験が新しい時代を創っていくのかもしれません。皆さんのこれからの活躍に期待しています。

この時代はまた、「地の塩、世の光」という本学のスクール・モットーがこれまでになく輝く時代なのかもしれません。新約聖書 マタイによる福音書にはこう書かれています、「あなたがたは世の光である・・・あなたがたの光を人々の前に輝かせなさい。」 そして『青山学院大学の理念』は、本学を「神と人とに仕え社会に貢献する〈地の塩、世の光〉としての教育研究共同体である」と表現しています。本学、本大学院で学んだ皆さんには、新しい時代の担い手として、社会に貢献することで輝く存在になってほしいと願っています。


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