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2024.10.29

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青山学院創立150周年記念『祝いに集う青楽歌舞伎』を開催しました

2024年9月28日(土)、青山学院創立150周年を記念する『祝いに集う青楽歌舞伎』を青山学院講堂において開催し、1,700名を超える観客で満席となりました。

青学歌舞伎は、青山学院校友の中村芝翫さんが発起人となり、他の校友の歌舞伎役者の方々への出演協力を得て、学校法人青山学院と青山学院校友会が共催し、チケット収益は在校生の給付型奨学金に充てられるチャリティ公演として実現しました。

総合司会にTBSアナウンサーの江藤愛さん(文学部英米文学科卒業)を迎え、第一部は尾上菊之助さん×中村勘九郎さんによる「トークショー」を、第二部は中村芝翫さん、中村橋之助さん、中村福之助さん、中村歌之助さんによる「連獅子」が上演されました。

会場となった青山学院講堂は、公演前日、職人たちの手で、客席の通路は花道に、ステージには松羽目が次々と組み立てられ、講堂がまるで歌舞伎座そのもののような舞台へと一気に姿を変えました。

青山学院は、創立100周年、120周年という大切な節目の年に、青山学院出身の歌舞伎役者の皆さんが、青山学院でしかできない歌舞伎の舞台を演出してきた歴史と伝統があります。本公演の発起人である中村芝翫さんは、創立100周年の舞台に七代目中村芝翫さんや九代目坂東三津五郎さんとともに出演しました。

今回の『祝いに集う青楽歌舞伎』は、同じく校友の十二代目市川團十郎さん(元文学部日本文学科客員教授)の「青学歌舞伎をやりたい」という強い思いを、中村芝翫さんが受け継ぎ、実現したものです。現在の歌舞伎界は、青山学院出身の役者で一座が組めるほど多くの方々が活躍されています。

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第一部:トークショー

「ちょん」という拍子木を合図に幕が開け、はかま姿で登場した尾上菊之助さん、中村勘九郎さんによる立ち回りが始まると、客席からは大きな拍手と感嘆の声があがりました。

歌舞伎の見方や歌舞伎が語源となっている言葉の解説などを、お二人が実際に演じながら、わかりやすく説明くださいました。終盤には、総合司会の江藤さんを交えて、青山学院での学校生活の数々の思い出話に花が咲きました。

第二部:「連獅子」

勇壮な毛振りで知られている「連獅子」は、歌舞伎舞踊の代表作の一つ。
舞台には長唄、鳴物の一座も並び、前半は中村芝翫さんの演じる親獅子が、中村橋之助さんの演じる仔獅子を深い谷底に蹴落とし、仔獅子が必死に這い上がってくる様子を舞で表現しました。

演目中頃には、間狂言という中村福之助さんと中村歌之助さんの演じる宗派の異なる2人の僧が道連れとなり、ユーモラスで滑稽な仕草とセリフの掛け合いによる、現代で言うところの喜劇の場面が展開されました。会場には笑みがこぼれ、和んだ様子が伝わりました。

後半に入ると、白頭の親獅子、赤頭の仔獅子が花道から登場し、会場を余すことなく利用した演出に、観客の拍手が沸き起こり、「成駒屋!」の声も響きました。牡丹の香りに酔いしれた獅子たちが激しい動きを展開して、親子の息の合った勇壮豪快な毛振りのクライマックスのシーンを迎える頃には、会場は大きな拍手に包まれていました。

カーテンコールでは、中村芝翫さん、中村橋之助さん、中村福之助さん、中村歌之助さんが並び、青山学院で学んだ思い出をそれぞれにお話ししてくださいました。

また、発起人の中村芝翫さんは、公演実現の感謝を述べたうえで、「隔年でも、数年に一度でも構わないので、歌舞伎界で活躍する青学ファミリーによる青学歌舞伎を今後も継続していきたい」という熱い思いを語ってくださいました。

役者の皆様だけでなく、多くの関係者のご協力によって支えられました

■パンフレット制作
演劇ジャーナリストの小玉祥子氏(経済学部卒業)には、人間国宝で校友の中村梅玉さん、尾上菊之助さん、中村勘九郎さんのインタビューと原稿執筆を担当いただきました。

また、文学部比較芸術学科の佐藤かつら教授には、学術的な解説の執筆に加え、公演全体のアドバイザーとしてご指導いただきました。さらに、佐藤教授のゼミナールの学生も当日の運営に協力してくれました。

■外国人留学生の特別招待
今回の公演では、大学の外国人留学生を特別に招待しました。留学生たちは、総合文化政策学部のクシェル・マイケル准教授による英語での事前学習に参加した後、歌舞伎を鑑賞。「事前学習のおかげで、より深く理解し楽しむことができた」という声が多く寄せられました。

■外題とマークデザイン
公演の象徴であるパンフレット等に書かれた「祝いに集う青学歌舞伎」の外題(げだい、表紙に記してある題名)は、文学部英米文学科3年の河口航毅さん(書道研究部)が手掛けました。また、白頭の親獅子と赤頭の仔獅子に扮した「イーゴ」のマークデザインは、中等部の竹内隆太郎教諭によるものです。

約1年にわたる準備を経て実現した青山学院創立150周年記念イベント「祝いに集う青学歌舞伎」。オール青山の協力で実現したこの特別な公演が、一人でも多くの方の記憶に刻まれるものとなれば幸いです。