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2013.10.30

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望月維人准教授(理工・物理・数理学科)所属の研究グループが、磁性体中のスピン渦「スキルミオン」を利用したマイクロ波整流効果を発見

望月維人准教授(理工学部物理・数理学科)所属の研究グループが、磁性体中の「スキルミオン」を利用した巨大なマイクロ波整流効果を発見* しました。
「スキルミオン」とは、電子のスピンが作るナノスケールの渦のことで、次世代のコンピューターの記憶装置に使われる磁気デバイス素子の土台になる可能性等が予測されています。
本研究では、「スキルミオン」が磁気共鳴(電子スピン等は、外部から電磁波等を加えると共鳴を起こし電磁波を吸収する)を起こした際に吸収するマイクロ波の量がマイクロ波の伝わる方向によって大きく変わる現象を理論的に予言し、それを観測・実証しました。これは、これまで明らかにされていなかったスキルミオンの新たなマイクロ波機能を解き明かしたことになります。また同時に、今回解明されたマイクロ波現象とその動作原理を応用することで、従来よりもはるかに小型のマイクロ波素子や磁場により制御可能なマイクロ波アイソレータ(信号変換器)等への応用の可能性を示しました。
なお、望月維人准教授所属の研究グループは、「スキルミオンのマイクロ波整流効果」の発見以外にも、スキルミオンの生成・消失プロセスを大規模な数値シミュレーションを用いて調べることで、「スキルミオンの制御法**」を理論的に解明しました。
「スキルミオンを利用したマイクロ波整流効果の発見」については、英科学雑誌『Nature Communications』(2013年8月30日付オンライン版)、「スキルミオンの制御法」については、世界で最も権威のある英科学雑誌の一つと称されている『Nature Nanotechnology』(2013年9月8日付オンライン版)に掲載されました。

"Microwave magnetoelectric effect via skyrmion resonance modes in a helimagnetic multiferroic(スキルミオンを利用したマイクロ波整流効果の発見)"

http://www.nature.com/ncomms/2013/130830/ncomms3391/full/ncomms3391.html

 

"Current-induced skyrmion dynamics in constricted geometries(スキルミオンの制御法)"

http://www.nature.com/nnano/journal/v8/n10/full/nnano.2013.176.html

* 同研究は、東京大学工学系研究科の十倉好紀教授、岡村嘉大大学院生、賀川史敬講師らとの共同研究です。

** 同研究は、理化学研究所創発物性科学研究センター(十倉好紀センター長)強相関理論研究グループの永長直人グループディレクター(東京大学大学院工学系研究科教授)、東京大学大学院工学系研究科の岩崎惇一大学院生らとの共同研究です。