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2024.09.26
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【理工学研究科】加藤祐介さん(理工学専攻 生命科学コース 博士後期課程3年・阿部文快研究室所属)が「酵母遺伝学フォーラム第57回研究報告会」で「学生発表賞【口頭発表部門】」を受賞
2024年9月9日(月)〜11日(水)、「酵母遺伝学フォーラム第57回研究報告会」が香川県民ホール レクザムホール(高松市)で開催され、加藤祐介さん(理工学専攻 生命科学コース 博士後期課程3年・阿部文快研究室所属)が、「酵母の高圧増殖に必須なEhg1の役割:トリプトファン輸送体Tat2の脂質ラフト安定化」と題して発表を行い、「学生発表賞【口頭発表部門】」を受賞しました。
発表概要
Ehg1は、酵母菌が数百気圧に及ぶ超高圧環境で生存するために必須となる遺伝子の一つですが、長い間その機能は謎に包まれていました。加藤さんは、細胞を包み込む膜に存在する「脂質ラフト」というドメイン構造に着目しました。そして、酵母遺伝学と生化学的手法を駆使し、Ehg1遺伝子がコードするタンパク質Ehg1が、アミノ酸の一種であるトリプトファンの輸送体Tat2を脂質ラフトで安定化させていることを突き止めました。これにより、酵母は高圧下でもトリプトファンを十分に取り込めるようになり、増殖可能になっていたのです。Ehg1は深海酵母やヒトにもホモログ(類似体)が存在します。したがって、今回明らかになったメカニズムは生物界において普遍性を持つことが期待されます。
受賞者からのコメント
加藤祐介さん(理工学専攻 生命科学コース 博士後期課程3年・阿部文快研究室所属)
この度は、酵母遺伝学フォーラム第57回研究報告会にて栄誉ある「学生発表賞【口頭発表部門】」をいただき、大変光栄に思います。今回の研究報告ができたのも、日頃からお世話になっている阿部文快先生と望月貴博先生、本学を退職された三岡哲生博士のご協力と、研究のサポートをしてくださった学生の方々のおかげです。また、私たちの高水圧応答に関する研究は、酵母研究においては特殊な領域ではありますが、学会に参加された方々の熱心なご討論を賜りましたことにも深く感謝申し上げます。
指導教員からのコメント
阿部文快教授(理工学部 化学・生命科学科)
Ehg1は、2008年に私が発見した高圧増殖遺伝子の一つですが、作用機序が不明なまま取り残された存在でした。加藤さんは学部4年次にEhg1の研究に着手しました。しかしながら、機能不明であるがゆえ手がかりが乏しく、決め手に欠く時期が長く続きました。そのような状況下でも加藤さんは真摯に研究に取り組み、ついに上述したEhg1の役割を明らかにしました。酵母遺伝学フォーラムにおける発表レベルは非常に高く、このような学会での受賞は本人はもとより、分子遺伝学研究室全体としても栄誉ある成果です。加藤さんのますますの活躍を祈るばかりです。