総合プロジェクト研究所は、科学研究費補助金をはじめとする公的研究費配分機関からの競争的資金や、企業との共同研究・受託研究によって獲得した外部資金を原資とする様々な学術領域の外部資金プロジェクトによって構成された文系・理系の枠を超えた組織です。中型・大型の外部資金を獲得している研究者による世界的水準の研究プロジェクトをはじめ、本学として重点的に取り組むべき個性ある研究プロジェクト、および今後の発展が期待される研究プロジェクトの推進と支援を行っています。また、学長が特に重要な研究テーマとして指定したものについては、学長イニシアティブプロジェクトとしてその研究の推進を支援します。
本研究所では、各プロジェクトにおいてプロジェクトリーダーを所長とする独自の研究所を設置することができ、各プロジェクト研究所には大学から予算的支援が行われます。また、他研究機関や企業の研究者がプロジェクトにスムーズに参画できる柔軟な客員任用制度の整備にも取り組んでおり、本学・地域社会・産業との連携を促進するための戦略的なプラットフォームとして位置づけられます。各プロジェクト研究所の活性化を図るとともに、本学の研究成果を社会に還元し、その発展に寄与することを目指しています。
2018年度に発足した総合プロジェクト研究所は8年目を迎えましたが、外部資金プロジェクトの設置数は年々増え、2025年度には23に達しました。また、これらプロジェクト設置に伴い多くの客員研究員・特別研究員が外部研究機関等から任用されています。今後も、これらのプロジェクト研究所の活動を総合プロジェクト研究所という枠組みを通して見えやすくすることによって「青学の研究」をより広くより多くの人々に知ってもらうこと、理解していただくことを期待しています。長い歴史を持つ総合研究所と新機軸である総合プロジェクト研究所が両輪となり、本学からより多くの大きな成果が創出されることを確信しています。
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総合プロジェクト研究所 2025年度 活動報告
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| 研究所名 | プロジェクトリーダー | 所属・職位 | 構成員数 |
| 外部資金プロジェクト | |||
| SDGs/CEパートナーシップ研究所 | 玉木 欽也 | 経営学部 教授 | 31名 |
| エネルギーハーベスティング研究所 | 石河 泰明 | 理工学部 教授 | 2名 |
| 学習科学青山研究所 | 益川 弘如 | 教育人間科学部 教授 | 8名 |
| 革新技術と社会共創研究所 | 河島 茂生 | 総合文化政策学部 准教授 | 18名 |
| 教育テスト研究所 | 北澤 武 | 教育人間科学部 教授 | 3名 |
| 金融技術研究所 | 大垣 尚司 | 大学 特任教授 | 1名 |
| 高温超伝導材料研究所 | 元木 貴則 | 理工学部 助教 | 2名 |
| 国際開発研究センター | 島村 靖治 | 国際政治経済学部 教授 | 9名 |
| コンピュータグラフィックス研究所 | 楽 詠灝 | 理工学部 教授 | 2名 |
| コンピュータヒューマンインタラクション研究所 | 伊藤 雄一 | 理工学部 教授 | 1名 |
| 持続的サプライチェーン研究所 | 細田 高道 | 国際マネジメント研究科 教授 | 7名 |
| ジェロントロジー研究所 | 平田 普三 | 理工学部 教授 | 21名 |
| 小地域将来人口推計研究センター | 井上 孝 | 経済学部 教授 | 5名 |
| 生体分析化学研究所 | 田邉 一仁 | 理工学部 教授 | 2名 |
| ソーラーポンプ灌漑農業研究所 | 藤田 幸一 | 国際政治経済学部 教授 | 5名 |
| 超小型宇宙機研究所 | 坂本 貴紀 | 理工学部 教授 | 16名 |
| ナノカーボンデバイス工学研究所 | 黄 晋二 | 理工学部 教授 | 4名 |
| 微生物化学研究所 | 木谷 茂 | 理工学部 教授 | 2名 |
| HRトランスフォーメーション研究所 | 須田 敏子 | 国際マネジメント研究科 教授 | 7名 |
| フォトクロミック材料研究所 | 阿部 二朗 | 理工学部 教授 | 1名 |
| ヘルスイノベーションセンター | 平田 普三 | 理工学部 教授 | 2名 |
| マルチリンガルライティング研究センター | 飯田 敦史 | 文学部 教授 | 1名 |
| 歴史地理言語学研究センター | 遠藤 光暁 | 経済学部 教授 | 1名 |
| 研究所名 | プロジェクトリーダー | 所属・職位 | 構成員数 |
| 外部資金プロジェクト | |||
| SDGs/CEパートナーシップ研究所 | 玉木 欽也 | 経営学部 教授 | 31名 |
| エネルギーハーベスティング研究所 | 石河 泰明 | 理工学部 教授 | 2名 |
| 学習科学青山研究所 | 益川 弘如 | 教育人間科学部 教授 | 8名 |
| 革新技術と社会共創研究所 | 河島 茂生 | 総合文化政策学部 准教授 | 18名 |
| 教育テスト研究所 | 北澤 武 | 教育人間科学部 教授 | 3名 |
| 金融技術研究所 | 大垣 尚司 | 大学 特任教授 | 1名 |
| 高温超伝導材料研究所 | 元木 貴則 | 理工学部 助教 | 2名 |
| 国際開発研究センター | 島村 靖治 | 国際政治経済学部 教授 | 9名 |
| コンピュータグラフィックス研究所 | 楽 詠灝 | 理工学部 教授 | 2名 |
| コンピュータヒューマンインタラクション研究所 | 伊藤 雄一 | 理工学部 教授 | 1名 |
| 持続的サプライチェーン研究所 | 細田 高道 | 国際マネジメント研究科 教授 | 7名 |
| ジェロントロジー研究所 | 平田 普三 | 理工学部 教授 | 21名 |
| 小地域将来人口推計研究センター | 井上 孝 | 経済学部 教授 | 5名 |
| 生体分析化学研究所 | 田邉 一仁 | 理工学部 教授 | 2名 |
| ソーラーポンプ灌漑農業研究所 | 藤田 幸一 | 国際政治経済学部 教授 | 5名 |
| 超小型宇宙機研究所 | 坂本 貴紀 | 理工学部 教授 | 16名 |
| ナノカーボンデバイス工学研究所 | 黄 晋二 | 理工学部 教授 | 4名 |
| 微生物化学研究所 | 木谷 茂 | 理工学部 教授 | 2名 |
| HRトランスフォーメーション研究所 | 須田 敏子 | 国際マネジメント研究科 教授 | 7名 |
| フォトクロミック材料研究所 | 阿部 二朗 | 理工学部 教授 | 1名 |
| ヘルスイノベーションセンター | 平田 普三 | 理工学部 教授 | 2名 |
| マルチリンガルライティング研究センター | 飯田 敦史 | 文学部 教授 | 1名 |
| 歴史地理言語学研究センター | 遠藤 光暁 | 経済学部 教授 | 1名 |
2019年9月に設置された本研究所は、日本政府SDGs推進本部から提唱された「SDGsアクションプラン」の3本柱に加えて、新時代のSDGsの観点から、社会課題解決に向けて以下のように5つの研究課題を設定しました。
Ⅰ.未来戦略デザイン
Ⅱ.SDGs地方創生・SDGs都市再生
Ⅲ.次世代若者・女性エンパワーメント
Ⅳ.SDGsに関連した国際・社会調査研究とSDGs人材開発
Ⅴ.SDGs学生参加プロジェクト
なお、上記の研究課題に加えて、後述するように2022年度に採択された科研基盤Bのサーキュラーエコノミー(CE: Circular Economy)の研究テーマを、最重要な研究課題として取り上げることにしました。
上記の研究課題Ⅰの研究成果を基にして、2022年度に科学研究費 基盤研究(B)(一般)「SDGs生産消費責任を果たす循環型経済の新理論とシステム技法の開発・実証と普及(課題番号 22H01717)」(2022-2025年度、研究代表者 玉木欽也)に申請・採択されました。そこで2022年度から、循環型経済(CE)の意図を反映させるたまに本研究所の名称変更を行いました:旧「SDGs人材開発パートナーシップ研究所」⇒改名「SDGs/CEパートナーシップ研究所」。なお、2025年度の科研研究期間の終了をもって、このSDGs/CEパートナーシップ研究所における研究活動を完了することにしました。
初年度は、CEに関する国内外の法令や規則の動向調査に取り組みました。具体的には、EU CE委員会を中心としたCE規則や法令や、ISO/TC 323委員会によるCE59000シリーズの国際標準規格、および日本の法令・規則の動向調査に従事しました。それらCE最新動向調査を継続しながら、CE国内共同研究として以下に示す5つの新たなCE方法論の構築を、主要な研究目的と位置づけました(図1参照):
(1) CEビジネスモデルとバリューネットワーク
(2) 資源回収および循環資源の再生と供給
(3) CE 商品サービス企画とステークホルダー・エンゲイジメント
(4) デジタル製品サービスのライフサイクル設計
(5) CEシェアリング・プラットフォームとデジタル製品パスポート
前述したCE法令・規則・国際標準規格の国内外動向調査をさらに発展させて、日本、アメリカ、EU(ドイツ、イタリア)において、以下に示す4つの産業分野を研究範囲として、CE先進企業グループごとのケースステディに取り組むことにしました。
(1) 自動車産業 (日本の研究チームが担当)
(2) 電機産業(日本の研究チームが担当)
(3) エネルギー産業 (アメリカの研究チームが担当)
(4) 建設産業 (日本、ドイツ、イタリアのそれぞれの研究チームが担当)
本研究所では、環境発電、すなわちエネルギーハーベスティングの促進に向けた研究を行っています。屋内光や、廃棄されている膨大な熱エネルギーなど、身の周りの環境にあるエネルギーを電気エネルギーに変換する材料・素子を研究開発し、物性を明らかにするだけでなく素子の設計指針も提案しています。その中でも、光を電気に変換する光電発電(太陽電池)、熱を電気に変換する熱電発電に注力しています。
屋内光の光電変換の高効率化を実現するためペロブスカイト太陽電池の材料・構造の研究開発を進め、光を吸収する層だけでなく電荷を輸送する層が高効率化に非常に重要であることを見出しました。温度差を利用した熱電発電では、地殻内に豊富にある元素で構成されるFeS2やSnSの利用展開に向けた基礎物性評価を進めており、簡単なスプレー法で薄膜形成するプロセスを確立しました。高変換効率化に向けた電子物性制御研究を現在も進めています。
一人ひとりなりの「学ぶ力」を引き出し、高め、磨いていくような「学習環境のデザイン」を構築する学習科学研究を推進しています。情報通信技術が発達し続ける社会において、「人はどこまで賢くなることができるのか」の問いに応え得る未来の学習環境を追求するため、社会構成主義の考え方を基盤として、AI技術や一人一台情報端末の建設的活用や、多様な他者との対話を通した学びの支援、深い学びの学び方の学びを支えるプラットフォーム開発とそれらの実験的・実践的検証、社会実装を進めています。
本年度は、「未来のリテラシー教育デザイン部門」と「教師の学習観変容CBTプラットフォーム開発部門」の2つの部門で活動を進めました。
未来のリテラシー教育デザイン部門では、生成AIを活用した深い学びの支援研究を行っております。日本漢字能力検定協会との共同研究では、言語表現を吟味する過程を生成AIツールを活用して支援するシステム開発と検証をおこなっています。また、本年度は、文科省生成AIパイロット校においても研究をおこなっています。そこでは、生徒同士が学び合う活動の中に異なる視点を持つ生成AIを活用することで、より自身の考えを広げて深めるような活動を支援しました。取り組み成果を『AIと仲間と学び合う』(明治図書,2025)というタイトルの書籍としてまとめ、出版しました。また、学生、学校教員、研究者を対象とした研究会を開催し、取り組みを共有しました。今後はこの取り組みを幅広く展開していくとともに、さらなる発展と成果の分析を続けていきます。
本研究所は、AI、ロボット、ドローン等の革新的な技術が大きな社会的影響を与えることに鑑み、どのような社会や技術を作っていくべきかを共に考え、共につくることを目的としています。
本研究所は、上記の目的のため、研究活動と教育活動の連動を図っています。研究活動としては、「革新技術と創造性」「近未来の図書館と新しい学び」「共創型デジタルマッピング」「AI・ロボットの倫理」などのテーマに取り組み、多くの研究成果(書籍、論文、国際学会発表等)を出してきています。このほか、社会への貢献を目的として、講演や、雑誌記事・報道への協力、TV出演等も積極的に行ってきました。
教育活動としても、授業や公開イベントに加え、青山学院・GMOインターネットグループ株式会社・株式会社サイバーエージェント・株式会社KADOKAWA・渋谷区による産官学協働事業としてAoyama Creative Learning Lab(通称:青学つくまなラボ)を運営しています。このラボは、「つくることでまなぶ」をコンセプトとしており、レーザーカッターや3Dプリンタ、電子刺繍ミシン、CNCミリングマシンなどを備え、創造的な学びを提供する場となっています。2025年度の年間利用者数目標は、2023年度の目標500名の10倍となる5,000名でしたが、利用者数は5,028名となり、無事に達成しました。
本研究所は、複数の企業による共同研究の支援を受けて、2025年度に設立されました。教育の質向上を目指し、ICT教材及び教育評価の在り方を追究することを目的に、教育現場を対象とした研究を行っています。具体的には、次のことに取り組んできました。
1)先端的な技術を導入したICT教材を開発し、その有効性を評価してきました。
2)ICT教材が「知識・技能」や「思考・判断・表現」に、どの程度影響を与えるかを明らかにしてきました。
3)上記1)と2)で得られた知見を教育現場に還元する方法を明らかにしてきました。
本年度の取り組みの1つとして、生成AIを導入した学校向け授業復習支援サービス『まなりぴ』を開発してきました。このシステムを実際に教育現場に導入した評価を行ってきました。その成果として、生成AIとの対話型学習に対して好意的に捉える児童が一定数存在することや、継続的に学習を続けることで、知識習得に良い影響を与えることなどが明らかになり、学会で報告しました。
この取り組みに加えて、既存の生成AIドリルにおける利用状況と学習意欲や学力の関連を分析することに取り組みました。さらに、様々な自治体で導入されている成績採点システムに着目し、ダッシュボードとして可視化される学習者の学習状況や成績状況などの解析方法について考案したり、教員の授業改善や働き方改革に着目した教育データ利活用の在り方について、生成AIの活用を鑑みながら追究したりしました。
今後、実践的な研究フィールドを広げながら、知見を蓄積し、国内外の学会で報告する予定です。
金融技術研究所は、企業ファイナンスを中心に高度に発達してきた先端金融技術を「生活者のための金融技術」に転換し、幅広い分野の知見も総合して、新しい金融商品・サービスの研究・開発を行うことを目的とした文理、産官融合の研究機関として2018年4月に学長イニシアチブとして発足しました。
これまでに、大学発ベンチャーとして所長が代表を務める非営利法人である移住・住みかえ支援機構(JTI)と共同で、国費補助事業を獲得し、地球環境問題に対応した認定長期優良住宅を対象に、その収益還元価値を50年間にわたって保証する残価保証(関連の特許取得3件)を実用化しました。2023年からは大手金融機関やモーゲージバンクと、ローンの残高が保証残価まで減少したあとは、ローンの返済額を大幅に圧縮すると同時に、いつでもローンの残高と同じ価格でJTIに担保住宅を買い取ってもらうことができるオプションのついた残価設定型住宅ローンを共同開発し提供を始めています。
近時、円安や人件費の上昇、金利の上昇といった諸要因から住宅価格が大幅に高騰しており、庶民にとり持ち家取得のハードルが急速に高まっています。残価保証があれば、所有と賃貸だけでなく、お金を借りて持ち家に住むが、退職・引退以降は、ローン返済を大幅に圧縮でき、家を手放す場合にはローンが残らないという、所有と賃貸の利点を併せ持つ家の買い方が可能となると同時に、100年住宅を3〜4世代で住み継いでいくことにより環境にも好ましい影響が期待されます。
2026年から始まる国の住宅政策にかかる今後10年間基本方針である住生活基本計画においては、住宅のアフォーダビリティー(買い易さ)を促進する工夫のひとつとして残価設定型住宅ローンがとりあげられ、国として制度を充実していくこととなりました。
2025年には、高齢者の保有する住宅を賃貸活用して空き家化を防止する上で大きな障害であった、貸主にかかる意思能力の減退や、修繕費用負担にかかる問題を解消するための資金負担やリスク管理、法的対応を開発し、JTIを通じて持ち家を事実上年金に変えることを可能にする仕組みを導入しました。2026年にはこの仕組みを活用した新たな空き家対策を国に対して提案する予定です。
このように、「家でローンを返す」「家を年金に変える」仕組みについて一定の成果が得られつつあることから、新たな先端領域として、巨大災害が日常化する中で、災害で家が滅失しても住宅ローンが残ってしまうために復興の重荷となる二重債務問題に対して、ストラクチャードリスクファイナンスの技術を応用することによって「津波で家が流されたらローンも一緒に流されてなくなる」仕組みの実用化に向けた準備を進めたいと考えています。
本研究所では、結晶構造に異方性を有する層状ペロブスカイト型高温超電導体を3次元的に結晶配向させることで、ゼロ抵抗での永久電流が材料全体を周回する超電導磁石としての特性を最大限に引き出すことを目的としています。省エネルギー・省資源・省スペース、かつニーズに合わせた自在な形状の先駆的磁石材料の提供によって科学技術イノベーションの創出に繋げます。具体的には、液体窒素温度(77 K)でも超電導状態となる希土類系銅酸化物高温超電導体(REBCO)を用いた強力な超電導バルク磁石の開発を目指しています。従来のバルク磁石作製法は大型化の困難さ、再現性・量産性の低さから、各バルク特性を考慮した一点ものとしての機器設計にならざるを得ず、高いポテンシャルを有しながら広範かつ汎用的な応用展開には至っていませんでした。従来法の諸課題を解決し、さらに自在な形状で直接育成ができ、材料損失を大きく低減可能な革新的な超電導バルク磁石の育成法(Single-Direction Melt Growth, SDMG法)を考案し、実証を進めてきました。本研究所では、このSDMG法を用いて高均一性・高再現性・形状の高い自由度を実現する革新的な強力超電導バルク磁石開発に取り組んでいます。
本研究センターでは「アジア・アフリカにおける貧困削減のための持続可能なコニュミティ開発」をテーマとした研究拠点を形成し、国際開発分野(主に教育、保健医療、インフラストラクチャー整備、農村開発)に関する実証研究を遂行しています。
2025年度はザンビア農村部における深井戸建設事業が勤労世代の健康及び時間配分へどのような影響を及ぼしたのかを検証した論文を国際学術誌に公刊しました。また、ミャンマー都市部における管路給水事業の勤労世代の健康及び労働参加への影響についても分析を進めました。加えて、モロッコの地方道路整備事業がマイグレーションと送金へ与えた影響を検証した論文も執筆しました。
同時に、モロッコでの貧困層向け医療保険やインドネシアでの医療ボランティアに関する研究成果を国内外の学会や研究会で発表しました。更に、モロッコ北部では農村に暮らす人々の生活実態について、ベトナム中部では有機農作物の参加型認証制度について聞き取り調査を実施しました。
本研究所は外部資金の助成を受け、種々のコンピュータグラフィックス関連技術の研究を推進するために、2021年4月に設立されました。本研究所で扱う研究項目は、粘弾塑性体の光学力学モデリングおよびシミュレーションと、個別要素法と連続体モデリングを活用するハイブリッドな粉体の力学シミュレーションなどの物理ベースの技術を中心とする、究極的リアリズムを実現する表現技術と、その対極をなす人手によるアーティスティックな表現を再現する技術を含みます。
5年目である2025年度は、これまでの方向性をさらに発展させ、手描き風の油彩画調表現を実現する方法(図1)の開発を継続し、誰でも本手法を利用できるようにプログラムを公開しました。また、グラフィクス分野のトップカンファレンスであるSIGGRAPH 2025で技術論文を発表(図2)し、さらに一般財団法人最先端表現技術利用推進協会(表技協)の羽倉賞優秀賞を受賞いたしました(図3)。このほかにも、混合物質のパラメータをモデル化や、一般形状の粉体要素の均質化方法、ビデオ映像から物質の流動性を推定する手法について研究を進めました。
本研究所の主たる研究目標は、コンピュータと人との新しい共生環境を実現し、全ての人がコンピュータの恩恵を受けられる世界を実現するということです。そのためにコンピュータが人の状態や状況を把握するための「人を知る」技術と、様々な感覚チャネルを通じて人に感覚を提示し、人の行動を変容させる「人を動かす」技術、さらにはこれらの恩恵を人が「無意識に」享受できる「無意識コンピューティング」に関する研究開発を進めています。2025年度は、棒の硬軟を制御することでそれを握る人が触ったモノの軟らかさを錯覚する技術や、微かな動きをセンシングできるモジュールを組み合わせて身の回りの事象を取得する技術、歯科治療で患者が感じる不安や痛みを医者に伝える技術などの研究を進めました。また、床上での人の動きからプライバシーを侵害することなく誰が動いているかを知る研究が国際論文誌IEEE, Sensors Journalに採択されたのを始め、机にかかる重心重量の時系列データから、どのように作業をしているのかを認識する技術が国際論文誌Springer Nature, JAIHCに採択されました。
本研究所は、2023年度に科研費プロジェクトとして採択された「国内生産回帰と持続的社会構築に向けたサプライチェーンモデルの開発と解法の研究」(2023-2025研究代表者 細田高道)を原資として設立され、同研究が本研究所の重要研究課題となっております。近年、海外の生産拠点を国内へと回帰させる事例が数多く見受けられるようになりました。ただ、完全に海外の生産拠点を引き払うのではなく、国内の生産拠点も併用する事例も見受けられます。本研究所では、海外と国内(合計2か所)に生産拠点を持つサプライチェーンを想定し、持続的社会を達成するにはどのように2拠点を使い分け活用すべきかについての研究を進めています。
また食品工場などにおける原材料廃棄をいかに少なくするかという視点から需要予測精度向上の取り組みを民間企業の協力を得ながら研究しています。
さらに、広くサプライチェーンやサステナビリティに関連する最新の世界動向についてリンクトインを活用し世に広く発信しています。
最終年度となった2025年度においては、サプライチェ―ンにおける基本的な理論を学ぶことができるアプリを開発し、理論の普及にも努めました。
ジェロントロジーは、超高齢社会における個人の生き方、健康、福祉、社会参加、さらには地域社会や制度のあり方を総合的に探究する学際的な学問領域です。青山学院大学ジェロントロジー研究所は、2018年の設立以来、桜美林大学、東海大学、山野美容芸術短期大学など外部研究機関の連携参画を得ながら、学際研究、教育事業、啓発事業、広報事業の4つを柱として活動を展開してきました。多様な専門分野の知見を結びつけることで、高齢化を単なる社会課題として捉えるのではなく、長寿社会における新たな価値創造の機会として捉えることを目指しています。
2025年度の特筆すべき活動として、大西典子客員研究員(山野美容芸術短期大学・特任教授)がシンガポールで開催された国際会議 Nursing Asia Pacific 2025 に招待され、超高齢社会の高齢者介護における美容の有効性について講演を行いました。美容を通じた高齢者の尊厳、生活の質、社会的つながりの向上という観点は、ジェロントロジーの実践的展開を示す重要な成果といえます。また、平田普三所長(理工学部・教授)は、高齢者の健康に資する医薬品の安全性試験に関する研究により、日本毒性学会の田邊賞を受賞しました。これは、本研究所が掲げる学際的な老年学研究が、生命科学・医薬品安全性評価の分野にも広がりを持つことを示す成果です。
これらの活動成果は、『青山学院大学ジェロントロジー研究所年報』第8巻に詳述し、研究所ウェブサイトからダウンロードできるよう公開しました。本研究所は今後も、ジェロントロジーを単なる学問対象にとどめるのではなく、教育・研究・社会実装を通じて文化へと昇華させ、誰もが長寿を喜ばしく感じられる持続可能な社会の構築に貢献してまいります。
当研究センターは、世界各国の小地域別将来人口推計を実施しその成果をウェブサイト上に広く公開することを目的に設置されました。これまで、日本、米国ワシントン州、台湾、全米、韓国、オーストラリアを対象に小地域別将来人口推計を実施し、得られた推計データをオープンデータベースとして公開してきました。
2025年度の最大の研究成果は、日本を対象とするウェブサイト「全国小地域別将来人口推計システム」(英語バージョン名とその略称:The Web Mapping System of Small Area Population Projections for Japan, SAPP for Japan)を大幅に更新したことです。同サイトでは、最新のデータを用いて人口推計を改めて実施し、また、簡易な統計分析機能を付加してインターフェイスを改良しています。その推計にあたっては、井上が開発した二段階平準化法two-step smoothing methodを使用しました。
DNAやRNAといった核酸は、遺伝子としての機能だけでなく、細胞内で駆動する機能材料としても活用が可能です。生体分析化学研究所では、核酸を有機化学的に合成し、様々な化学修飾を加えることで、多様な機能を備えた人工核酸の開発を進めています。本研究所では、がんに特徴的に発生する小さな低酸素環境(低酸素細胞)に選択的に集積する機能を持つ画期的な人工核酸の開発に成功しました。2025年度は、この人工核酸に遺伝子制御機能を付与し、低酸素環境の癌細胞の遺伝子発現を選択的に抑制することに成功しました。動物実験も行い、マウス腫瘍内の遺伝子をコントロールし得ることを明らかにしました。この人工核酸は、がん低酸素細胞に対する新しい治療薬としての活用が期待されます。
南アジア地域では近年、灌漑のための地下水汲み上げ動力を化石燃料から太陽光に転換する動きが加速しています。本研究所は、ソーラーポンプ(SIP)の灌漑効率性、所得分配、地下水枯渇問題への影響等について研究します。
バングラデシュでは、アジア開発銀行の支援の下、これまでのNGO・民間企業を通じたSIPの普及制度が、個別農民へ大きくシフトしています。政府が同時に進めるGrid電動ポンプの普及政策のなかで、灌漑農業の現場では非常に複雑な動きが現出しており、今後どういう方向に落ち着くのか、予断を許さない状況です。
現地調査をさらに進めるとともに、データの分析を進め、学会等で発表し、報告書や論文の執筆・公表を行う予定です。
再生可能エネルギーへの転換という重要な使命を帯びるSIPには、途上国政府や海外の公的援助機関から多額の補助金が投入されていますが、いい面ばかりではありません。本研究所は、綿密な現地調査に基づき、SIP普及のための最適な制度設計に貢献していきます。
本センターで進行中の超小型衛星プロジェクトである、ARICA-2 (AGU Remote Innovative Cubesat Alert System-2) は、フライトモデルが完成し、フライトモデルを用いた熱環境試験を宇宙科学研究所の設備を利用して7月28日から8月2日で実施しました。また、衛星の振動試験は九州工業大学やJAXAの施設を利用して実施いたしました。並行して衛星の機上ソフトウェアの作成と衛星の機能確認試験を随時実施しながら、実際の衛星運用を想定した End-to-end 試験を年明けの2月9日から2月12日の4日間、24時間体制で行いました。そして、JAXA への衛星引き渡しを 3月10日 に無事完了いたしました。今後は、来年度の打ち上げに向けて、運用の準備を進めていきます。
グラフェンやカーボンナノチューブなどのナノカーボン材料を用いた新しい高機能デバイスの開発を目指しています。2次元ナノ炭素材料であるグラフェンは、優れた電気伝導性、高い光学的透過率、高い化学的安定性、優れた機械的・熱的特性を持っており、かつ、2次元シート状物質であるため既存の半導体デバイスプロセスをそのまま活用することができます。ナノカーボンデバイス工学研究所では、ナノカーボン材料を活用した、透明でフレキシブルなミリ波帯・マイクロ波帯アンテナ、電気化学センサ、医療検査チップなどのデバイスを実現するために必要となる、材料合成技術、物性評価技術、デバイス作製・評価技術についての研究開発に取り組んでいます。
天然物は、基礎科学への貢献に加え、医薬品や農薬の創製に資する重要な資源です。本研究所では、研究対象である微生物、放線菌に着目し、その有用天然物を生産する能力を最大限に引き出すことを目的として、休眠二次代謝の覚醒技術およびゲノム情報解析を基盤とした新規物質探索を推進しています。2025年度は、海綿共生放線菌を用いた共培養法や希土類元素添加による物質生産誘導、ならびにゲノム解析に基づく有用物質探索を進展させました。その結果、新規化合物の発掘と物質生合成機構の解明に寄与する成果を得ました。また、これらの知見を統合することにより、非天然型化合物の創出を含む新たな物質生産戦略の構築に向けた基盤整備を進めました。本研究の成果は、天然物創薬や機能性物質開発の加速に貢献するとともに、未開拓資源の有効活用や新規産業応用の可能性を切り拓くものとして期待されます。
「人事施策面・人事機能面から探るサステナビリティ経営の実現方法」を研究テーマに、専門職大学院国際マネジメント研究科教授の須田敏子が研究所長を務め、人事業務に携わる2024年度の専門職大学院国際マネジメント研究科・在校生の有志が研究所メンバーとなって、2024年度に、HRトランスフォケーション研究所を立ち上げました。
研究所長の須田敏子以外のメンバーは、研究の経験がまったくないため、2024年度に引き続き、2年目の2025年度も研究成果を出すことができませんでした。
このような状況ですので、ここで紹介する研究業績は、研究所長の須田敏子の研究実績となります。
・2025年度の最大の研究業績は、書籍『40年間に及ぶSHRM研究から読み解く:人事主導の人的資本経営実現方法』を出版したことです。2024年度末に出版が決定し、2025年度に執筆を行い、2025年11月に出版しました。
内容は、1980年代から今日に至るSHRM研究に基づき、人的資本の分析・構築・向上などに関する研究内容・提案された具体的SHRMモデルなどです。質問票や各種エクササイズも記載されており、理論面とともに実践性の高い書籍となっています。
日本における人的資本経営の議論は、ファイナンス・アカウンティング中心で、人的資本の開示に焦点が当てられていますが、開示だけでは、企業競争力の強化につながりません。そんな中、本書籍はSHRM研究に基づき、人材マネジメントによる企業競争力強化の具体策を提示しています。
書籍以外の研究実績は以下のとおりです。
・2025年9月開催の「2026年度組織学会年次大会」での「ジョブ型人事が変える「組織と個人の関係」「日本経済」「日本社会」」をテーマにパネルディスカッションを実施しました。パネリストは、KDDI (株) 執行役員・コーポレート統括本部人事本部長の菱田直人氏、富士通 (株) 取締役執行役員SEVP CHRO(最高人事責任者)の平松浩紀氏、本研究所所長の須田敏子です。
・2026年3月開催の電経連主催「総合・重電部会/情報・通信・音響部会研究会」での「注目集めるHRBP」をテーマに講演を行いました。
・2026年3月開催の日本経済連合会主催「第8回アカデミック・フォーラム:物価、賃金と労働者生活」をテーマに講演とパネルディスカッションを行いました。講演テーマは「ジョブ型人事が変える日本人の働き方・キャリア、日本の組織と社会」です。パネルディスカッションのパネリストは、大妻女子大学・永瀬伸子教授、流通科学大学・森脇丈子教授、本研究所所長・須田敏子です。司会は、早稲田大学・白木三秀名誉教授です。
光に応答するキラル分子を液晶にドープすることで光に応答するコレステリック液晶が得られます。このようにして得られた液晶はドーパントの光異性化によってその螺旋構造を効率的かつ劇的に変化させられることから、らせん構造を反映した光学特性の可逆的なスイッチングや記録・保存が可能になるため注目されています。今年度は研究室で開発した高速光応答フォトクロミック分子のビナフチル架橋型イミダゾール二量体をキラルドーパントとして用いてコレステリック液晶の選択反射色を可視光によって高速かつ可逆的制御を試みました。
光応答性ドーパントである5MR-1と、極めて高いらせん誘起能をもつキラル誘起剤Lを組み合わせることで、液晶のらせんピッチを可視光で迅速に変化させ、反射波長を大きく可逆変調することに成功しました。Lはごく低濃度で可視域の赤・緑・青の反射色を実現し、5MR-1は可視光照射により異性化して液晶のねじれが変化します。さらに無色の過渡種である6MR-1は熱戻り反応が速いため、光照射停止後に短時間で元の状態に戻ります。この特性により、「長時間保持型」の静的記録ではなく、数十秒以内で書き込みと消去を繰り返せる動的な反射色制御が可能になりました。実際にフォトマスクを用いたパターン形成では、波長410 nmの青色光を10秒照射するだけで鮮明な画像を書き込み、照射停止後に速やかに消去できることがわかりました。頭足類の構造色変化に着想を得た本研究は、生体模倣型の高速光応答フォトニック材料として、動的表示や光情報記録への応用可能性を示すものです。
人間が人間らしく、より豊かに生きるためには、心と身体の仕組みを深く理解し、その両方を健やかに保つことが重要です。その実現には、病気の予防、診断、治療、健康維持に資する生命科学の技術革新が欠かせません。私たちは、このような生命科学に基づく健康価値の創出を「ヘルスイノベーション」と位置付け、基礎研究から応用研究までを通じて、人類福祉への貢献を目指しています。
2025年度は、国立医薬品食品衛生研究所および国内製薬企業との共同研究により、医薬品規制調和国際会議の生殖発生毒性試験ガイドラインである ICH S5 の改定版 S5(R3) に適合しうる、ゼブラフィッシュ胚を用いた医薬品安全性評価の基盤整備を進めました。特に、化学物質により誘導される形態異常を分類・整理した催奇形性アトラスを出版し、ゼブラフィッシュ胚を用いた発生毒性評価の標準化と信頼性向上に資する成果を得ました。さらに、ヘルスイノベーションに関連する基礎研究として、老化、ミトコンドリア機能、小胞体ストレス、ならびにゼブラフィッシュ系統差に関する研究も実施しました。これらの研究は、健康寿命の延伸、疾患メカニズムの理解、医薬品安全性評価法の高度化に向けた基盤となるものであり、生命科学の知見を社会に還元するための重要な取り組みです。
- Sato, M., Tanabu, D., Torigoe, D., Kadomatsu, T., Taniwaka, K., Ogata, Y., Shiiba, I., Suzuki, Y., Ito, N., Inatome, R., Tokuyama, T., Takeiwa, T., Inoue, S., Kanai, E., Hamano, T., Hirata, H., Kanamitsu, K., Kusuhara, H., Yokosuka, A., Mimaki, Y., Abe, H., Oike, Y., and Yanagi, S. (2026) Mitorubin, a berberrubine-based compound that improves mitochondrial function, exhibits cardioprotective effects against age-related cardiac dysfunction. npj Aging. in press.
- Ujibe, K., Kashima, M., Kataoka, M., Shimada, R., Okamoto, M., Kobayashi, I., Wada, S., Matsuda, H., Sakamoto, S. and Hirata, H. (2026) Deficiency of Werner RecQ-type DNA helicase causes premature malnutrition in zebrafish. iScience. 29(3): 114760.
- Kadowaki, H., Hatta, T., Sugiyama, K., Fukaya, T., Fujisawa, T., Hamano, T., Murao, N., Takami, Y., Mitoma, S., Natsume, T., Sato, K., Hirata, H., Uechi, T. and Nishitoh, H. (2026) Sec61b maintains cytoplasmic proteostasis via ARIH1-mediated translational repression upon ER stress. EMBO Rep. 27: 1057-1091.
- Taya, C., Ujibe, K., Shimodaira, S., Sakamoto, A., Wada, S., Kashima, H. and Hirata, H. (2025) Comparative analysis of teratogen-induced malformations and gene expression across zebrafish strains in early development. Toxicol. Rep. 15: 102117.
- Mori, K., Aoki, Y., Hayashi, M., Sugimoto, W., Ono, M., Umekita, S., Niino, T., Ebata, T., Mikashima, F., Maki, K., Tanaka, T., Hirata, H. and Kojima, H. (2025) Variation and classification of chemically-induced zebrafish malformations for the ICH S5 (R3) guideline: an atlas for zebrafish teratogenesis. J. Toxicol. Sci. 50(8): 431-444.
二言語使用者(マルチリンガル)は、どのように「書く力」を向上させ、より優れた「書き手」へと成長していくのか、そのプロセスを解明するために本研究所は設立されました。
本年度は、学習者の創作リテラシーの変化を追跡すべく、英語による詩の創作において書き手が自身のvoiceをどのように表現するのかに着目した調査を実施しました。具体的には、自伝的記憶を主題とする英語詩の初稿、第二稿、最終稿を各学習者から収集し、voiceを構成する言語的・修辞的特徴を分析しました。分析の結果から、書き手は初稿から最終稿にかけての推敲の過程で語彙や文体を修正しながら最適な意味形成資源を選択していることが示されました。初稿での散文調が最終稿では比喩を用いた韻文へと変容するなど、当初はあいまいであった書き手のvoiceが、より明確に輪郭化されてゆくプロセスが明らかになりました。なお、本研究の成果報告については、学内のAGU Re:Search Forum 2025やThai TESOL International Conference、RELC International Conferenceなどの英語教育分野の国際学会にて発表を行いました。
また、本年度は、現職英語教員向けの講演会も2回開催しました。第1回は本センター発足を記念して、早稲田大学の佐々木みゆき教授を招聘し、「AI時代の英語ライティング教育」という演題で、第2回は武蔵野大学の渡辺英雄准教授に「選択体系機能言語学を取り入れた英語ライティング指導」という演題でご講演いただきました。講演会の様子は、センターHPからもご覧になれます。
中国語およびその関連言語の文献言語史と方言の地理分布を統一的に扱う枠組みを作り上げ、パイロットケースについて実証的な研究を行うのが本研究センターの目的でした。3年間の研究を経て、中部大学の空間情報科学の専門家である渡部展也先生の教示を得て鈴木史己氏が作図方法を確立しました。そのサンプルが付図に見られる中国語の数字「二」の頭子音の地図です。縦棒を3本立ててあるのが洛陽の上古音・西安の中古音・北京の近代音のいくつかの段階を示し、地図上と同一の記号を使用することによって、文献資料から知られる音形が地理的にどこに残っているかが示されています。これによって漢語上古音からの3000年来の変化の変種がこれまでで最も多く表示されており、その音韻変化の鎖を帰納しました。2026年末までには約30項目を含む『漢蔵歴史言語地図集』を日本地理言語学会から公開する予定です。2026年2月には日中の研究者によるオンライン会議を行い、その成果も『中国語言歴史地理研究』第3集として公開準備中です。以上で所期の目標を達成し、2025年度末で3カ年にわたるプロジェクトが完結しました。