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ゼミナール紹介(英米文学科)

PICK UP SEMINARS 主なゼミナール紹介

初期近代イギリス詩の魅力 笹川 渉

愛情を表現した詩を精読するというとどのようなイメージがあるでしょうか。詩の精読と言うと難しく聞こえるかもしれませんが、ラブソングの歌詞を読み解くような感覚と似ています。「誰が」「誰に」「どんな状況で」「どんな想いを」伝えるためにつくられた詩なのか?また、人と人の愛は超越的な存在である神への愛に通じることを描くのがこの時代の作品の特徴です。イングランド初期近代、16世紀から17世紀にかけて書かれた恋愛詩や宗教詩を読み解くことで見えてくる魅力を見つけてみませんか。

英詩は、単語ひとつひとつに注目することで、まるで小説のように物語が広がり、絵画のように鮮やかなものへと姿を変えます。丁寧な読解によって一単語に込められた複数の意味や作品中の対比構造を見つけることができ、そこから語り手の本心や隠されたメッセージ、当時のジェンダーや、歴史・宗教といった問題を考察できます。

約400年も前に書かれた英語とむきあうと、見慣れない単語や表現と出会うこともあります。そんな時に役立つのはOxford English Dictionary (OED)。辞書を開いて「どの訳がこの詩に合うだろう」と考えることも精読の楽しみのひとつです。William Shakespeare, Mary Wroth, John Donne, John Miltonなどの詩人たちが織りなす言葉とルネサンス期の文化を考察するとともに、皆さん自身についても考えを深めていきましょう。

  • AGU Digital Access Project JP
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比較企業文化研究 田中 裕介

英米文学科のゼミで「企業」を研究するというのは、意外に思われるかもしれません。本学科で主に研究の対象となるのは、英語で書かれた文学や英語という言語そのものなどですから、対極にあるもののようにも見えます。しかし「文化」も研究対象であるかぎり、その試みが奇を衒っているわけではないことが理解されると思います。「文化」がいわゆる美術などの高級文化から音楽、映画、ファッションなどの大衆文化までだけでなく、日常生活に浸透した慣習や社会制度も含むと考えるのであれば、英米の資本主義社会において先駆的に発展した「企業」も、小説などと変わらない文化的生産物・構築物と考えることができるのです。
もちろん経営学部などで考究される社会科学の対象としての「企業」という側面も重要でしょう。私のゼミでも発表やレポートにおいて必要な数値データを補強材料として提示するように求めています。しかしより強調されるのは、企業活動の文化的性質です。企業の本質が利潤を産み出す経済的装置であることはもちろんですが、扱う商品が、食品、衣料品、生活用品など日常生活に密着したものであるほど、その活動は、各々の文化の特性を考慮し、さらには文化的差異をめぐる本質的な思考を前提とすることが必要になってきます。私の担当するゼミでは、文学や語学の学習によって培われた学生の皆さんの人文学的能力を、卒業後多くの方々が携わる企業活動の様々な面で活用することができるまでに鍛え上げることを目指しています。

アメリカ文学/文化研究 齊藤 弘平

19-21世紀までの幅広い時代を射程に入れて、毎年設定するテーマに従って、アメリカ文学/文化のさまざまな作品を横断的に考察しています。今までにこのゼミで取り扱ったテーマは、「病と精神医療」「近代の家族」「アメリカ文化における人種」「ユートピア/ディストピア物語」など多岐にわたっています。Ernest HemingwayやF. Scott Fitzgeraldといったアメリカ文学史上の古典から、1950年代のSF映画、1990年代のインディーロック音楽、そして現代のNetflixドラマまで、文学・映画・音楽作品を縦横無尽に取り上げ、学生のプレゼンテーションと自由研究発表を主軸にした授業を行っています。ディズニーランドの向こう側、にあるリアルなアメリカ文化を少しでも深く理解していくことで、語学力はもちろん知識と批評的思考力も備えた「ココロの贅肉」のある学生になっていきましょう。

  • 「アメリカ文学・文化の秘密」
  • 「アメリカ文学・文化の秘密」

アフリカ系アメリカ文学/文化研究 西本あづさ

合衆国地域にアフリカ系の人々が最初に足を踏み下したとされるのは1619年、それ以来、奴隷制や人種差別と闘い生き延びる過程で、アフリカ的要素と北米での体験とを融合しつつ自分たちの表現スタイルを創造していきました。今日、アフリカ系の文化抜きにアメリカ文化を語ることはできません。
このゼミでは、年度毎にテーマを掲げ、幅広いテクスト─19世紀の奴隷体験記や20世紀前半のハーレム・ルネッサンス期のBlacknessやBlack Artをめぐる議論、1950年代~60年代に高まった公民権運動期のスピーチやエッセー、1970年代以降に声をあげた黒人女性たちの文学作品、21世紀のBLM時代の小説や回顧録など―を取り上げて、丹念に原文を読み解き、映像や音声資料に触れ、歴史的・社会的背景の調査を進めながら、アフリカ系アメリカ文学/文化について理解を深めます。
授業は学生のプレゼンとディスカッションを中心に進めますので、時にはよい意味で脱線したり、結論が出ない問題にぶつかって眉間に皺をよせ考え込むこともあります。そんなふうにアフリカ系アメリカ文学/文化に向き合うことを通して、一人一人が他者の声に耳を澄ませ、それに応答する感性を鍛え自己を拓いて、多様性を抱えた世界で共に生きることや、多様性を内包する自己を生きることについて、思考を深めてほしいと願っています。

写真:奴隷制時代の作者不詳のキルト。オハイオ州のNational Underground Railroad Freedom Centerで西本撮影。

英語史―英語史から解き明かす英語の「なぜ?」 寺澤 盾

皆さんは、これまで英語を学習していて「なぜ?」という疑問を感じたことがなかったでしょうか。たとえば、英単語には、doubtのb、nightのghのように綴られているのに発音されない文字があるのを不思議に思ったことはないでしょうか。また、英語の語彙をみると、ask, question, inquire, interrogateはいずれも「尋ねる、質問する」を意味しますが、英語ではこのように類義語が多く存在するのはなぜでしょうか。英文法に目を向けると、1人称代名詞や3人称代名詞では単数形と複数形が異なる形なのに、2人称では単数(つまり「あなた」)でも複数(つまり「あなた方」)でも同じyouとなるのを不思議に思ったことはなかったでしょうか。

本講義では、こうした英語に関する様々な疑問の中から、「なぜ英語には類義語が多いのか」という問題を取り上げ、歴史的な観点からその謎解きをしていきたいと思います。

  • 模擬授業 英語史―英語史から解き明かす英語の「なぜ?」 寺澤 盾
  • 模擬授業 英語史―英語史から解き明かす英語の「なぜ?」 寺澤 盾

通訳・翻訳の世界 ‐訳すことの「難しさ」と「楽しさ」を一緒に! 田中 深雪

日本は明治時代から翻訳王国と呼ばれるほど、海外(特に英語圏)から数多くの書物を取り寄せ、積極的に翻訳してきました。その伝統は今も健在で、書物だけでなく映画、音楽やゲームの分野においても、毎年たくさんの作品が訳され、多くの人が享受しています。しかし、なかには誤訳ではないものの、少し疑問を感じるような訳や、改変され過ぎてオリジナルとかけ離れてしまったものさえも散見されます。なぜそのようなことが日常的に行われているのでしょうか?これで問題はないのかと疑問に思う人も少なくないと思います。そこで、このゼミではオリジナル作品と翻訳版の違いについて比較対照研究を行い、改変が行われた理由は何なのか、もし誤訳ではないとしたら、そこに異文化間の考え方や表現の違いが潜んでいるのではないのか、などあらゆる方向から議論を重ね、リサーチを行っています。通訳や翻訳、それに異文化間言語コミュニケーションに関心のある人は、一緒に学んでみませんか?

スピーチ・コミュニケーションとパフォーマンス研究 大川道代

皆さんは「パフォーマンス」という言葉から何を連想しますか?政治家のパフォーマンスという言葉がよく使われるため、本意でないことを大げさに主張する、と考える人もいるかもしれません。私の演習ではパフォーマンスを as a way of knowing として捉えます。何を追求する手段なのかは、プロジェクト研究を進めながら履修生自身が模索していきます。
日常生活におけるパフォーマンス(performance in everyday life)では、これまで研究対象として扱われることが少なかった普通の人々の日常生活に着目します。皆さんが今まで生きてきて、最も感動的だった瞬間を思い出して下さい。入試、恋愛、クラブ活動、家族の絆など人は皆、気づかないうちにパフォーマンスに携わっていることに気づくでしょう。
社会変革のためのパフォーマンス(performance for social change)では、社会的に弱い立場にいる、抑圧されている人々の視点から世界を見つめ直します。そして現代社会の問題点や矛盾点を指摘し、その解決策を学生自身の言葉(英語)で発表します。自己表現能力の開発に興味のある方々と一緒に、パフォーマンスについて研究できるのを楽しみにしています。

  • 大川道代演習:Ghosn is Gone
  • コミュニケーション演習『大川ゼミ』発表会 ―unknown

SEMINAR LIST 研究テーマと内容

英米文学科のゼミナールにおける研究テーマと内容を紹介いたします。

教員名 研究テーマ
麻生 えりか 現代イギリス小説研究—『灯台へ』と『日の名残り』
笹川 渉 William ShakespeareとMary Wrothのソネットを読む/John MiltonのParadise Lostを読む
松井 優子 Neverlandのありか—J. M. Barrie, Peter and Wendyとその周辺
久野 陽一 『ロビンソン・クルーソー』を読む
DABBS, Thomas W. Shakespeare
伊達 直之 文化・メディア研究と精読の試み
田中 裕介 比較企業文化研究
KNIGHTON, Mary A. Barbara Kingsolver
若林 麻希子 アメリカ文学と女性―「堕落した女性」の詩学
西本 あづさ Jesmyn WardとBMLの時代
来馬 哲平 アメリカ詩を精読する
外岡 尚美 ブロードウェイ・ミュージカルとナショナル・アイデンティティの形成
齊藤 弘平 20-21世紀アメリカ文学・文化におけるUtopia/ dystopia
結城 正美 環境文学の現在
橋本 智弘 ポストコロニアル文学を読む―「英語圏」の多角的な把握をめざして
McCREADY, Elin S. Literature and Theories of Linguistic Meaning
ROBINSON, Peter J. Describing and researching second language learner language
横谷 輝男 英語イントネーション研究
髙橋 将一 生成文法を通して私たちの言語を考える
寺澤 盾 現代英語の多様性と変化
葛西 宏信 英語と日本語の比較構文研究
中村 光宏 音声学・音韻論研究
REIMANN, Andrew N. Comparative Analysis of Organizational Culture
DIAS, Joseph V. Seminar in Intercultural Communication
大川 道代 スピーチ・コミュニケーションとパフォーマンス研究
野邊 修一 非言語コミュニケーション研究
小野寺 典子 Discourse Analysis of English/Japanese Conversations
稲生 衣代 通訳の理論と実践
田中 深雪 通訳・翻訳研究
ALLEN 玉井 光江 Teaching English to Young Learners(子供の英語教育)
飯田 敦史 第二言語習得論から見る英語教育・研究

RESEARCH THEMES 学生の研究テーマ例

※過去3~4年の卒業論文・ゼミ論文・ゼミ研究内容からの抜粋です。本学科では、卒業論文は教員の個別指導のもと、英語で書きます。

  • The Influence and Acceptance of Shakespeare in Modern Popular Music (ポップ・ミュージックにおけるシェイクスピアの影響と受容)
  • On the Border Between Mental Illness and Health: History and Representations of Psychiatry in 20th Century America(心の病と健康の境界で―20世紀アメリカにおける精神医療の歴史と表象)
  • English Locative Inversion in the Complement of Perception Verbs (知覚動詞の補部における英語の場所句倒置構文について)
  • A Study of the Differences of Translation Between the Subtitle and the Dubbing in the Films TOY STORY Series (映像翻訳における字幕版と吹き替え版の違いに関する考察―映画TOY STORYシリーズを通して)
  • An A nalysis of Students’ Motivations Based on Self-Determination Theory (自己決定理論からみた中学生の学習動機分析)