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ゼミナール紹介(英米文学科)

PICK UP SEMINARS 主なゼミナール紹介

比較企業文化研究 田中 裕介

英米文学科のゼミで「企業」を研究するというのは、意外に思われるかもしれません。本学科で主に研究の対象となるのは、英語で書かれた文学や英語という言語そのものなどですから、対極にあるもののようにも見えます。しかし「文化」も研究対象であるかぎり、その試みが奇を衒っているわけではないことが理解されると思います。「文化」がいわゆる美術などの高級文化から音楽、映画、ファッションなどの大衆文化までだけでなく、日常生活に浸透した慣習や社会制度も含むと考えるのであれば、英米の資本主義社会において先駆的に発展した「企業」も、小説などと変わらない文化的生産物・構築物と考えることができるのです。
もちろん経営学部などで考究される社会科学の対象としての「企業」という側面も重要でしょう。私のゼミでも発表やレポートにおいて必要な数値データを補強材料として提示するように求めています。しかしより強調されるのは、企業活動の文化的性質です。企業の本質が利潤を産み出す経済的装置であることはもちろんですが、扱う商品が、食品、衣料品、生活用品など日常生活に密着したものであるほど、その活動は、各々の文化の特性を考慮し、さらには文化的差異をめぐる本質的な思考を前提とすることが必要になってきます。私の担当するゼミでは、文学や語学の学習によって培われた学生の皆さんの人文学的能力を、卒業後多くの方々が携わる企業活動の様々な面で活用することができるまでに鍛え上げることを目指しています。

アメリカ詩を精読する 来馬哲平

このゼミでは、19 世紀から20 世紀のアメリカ詩を、英語表現のゆたかさや詩の形式、そしてそれらが書かれた時代の文化や社会状況を学びながら、丁寧に読み解きます。前期は19 世紀のアメリカ詩を特徴付けるWalt Whitman、Emily Dickinson、Edgar Allan Poe の詩を読みました。後期は20世紀のアメリカ詩に視点を移し、詩という媒体を刷新しようとした詩人たちの、「新しさ」へのこだわりと、そこから陰画的に浮き彫りになる「過去」とのねじれた関係を、「世代」、「人種」、「階級」、「ジェンダー・セクシュアリティ」その他の観点に立ちながら、広く深く考察します。

英語史―英語史から解き明かす英語の「なぜ?」 寺澤 盾

皆さんは、これまで英語を学習していて「なぜ?」という疑問を感じたことがなかったでしょうか。たとえば、英単語には、doubtのb、nightのghのように綴られているのに発音されない文字があるのを不思議に思ったことはないでしょうか。また、英語の語彙をみると、ask, question, inquire, interrogateはいずれも「尋ねる、質問する」を意味しますが、英語ではこのように類義語が多く存在するのはなぜでしょうか。英文法に目を向けると、1人称代名詞や3人称代名詞では単数形と複数形が異なる形なのに、2人称では単数(つまり「あなた」)でも複数(つまり「あなた方」)でも同じyouとなるのを不思議に思ったことはなかったでしょうか。

本講義では、こうした英語に関する様々な疑問の中から、「なぜ英語には類義語が多いのか」という問題を取り上げ、歴史的な観点からその謎解きをしていきたいと思います。

  • 模擬授業 英語史―英語史から解き明かす英語の「なぜ?」 寺澤 盾
  • 模擬授業 英語史―英語史から解き明かす英語の「なぜ?」 寺澤 盾

Designing, Grading and Sequencing Second Language Learning Tasks Peter J. Robinson

How do we design language learning tasks that help learners of English, or any second language, improve their speaking, listening comprehension, and grammatical and vocabulary abilities? This seminar will begin with a survey of currently available teaching materials that aim to meet these objectives. We will then spend some time reading about and discussing theories of second language learning that can help inform effective second language task design. As a group, in the first semester, we will then design our own second language learning tasks, for beginner and more advanced adult learners of English. In the second semester we will do research using these tasks to see what measurable effects they have on learning and second language performance. This will involve recoding and possibly videotaping learners as they perform the tasks in pairs and groups, and then transcribing the speech produced, and analyzing that and other aspects of performance. We will learn how to report results of this research in tables, and using statistical analyses.

AGU RESEARCH(教員インタビュー)~「SSARCモデル」が導く 一人一人の認知能力に適した 学び方を選べる未来~

スピーチ・コミュニケーションとパフォーマンス研究 大川道代

皆さんは「パフォーマンス」という言葉から何を連想しますか?政治家のパフォーマンスという言葉がよく使われるため、本意でないことを大げさに主張する、と考える人もいるかもしれません。私の演習ではパフォーマンスを as a way of knowing として捉えます。何を追求する手段なのかは、プロジェクト研究を進めながら履修生自身が模索していきます。
日常生活におけるパフォーマンス(performance in everyday life)では、これまで研究対象として扱われることが少なかった普通の人々の日常生活に着目します。皆さんが今まで生きてきて、最も感動的だった瞬間を思い出して下さい。入試、恋愛、クラブ活動、家族の絆など人は皆、気づかないうちにパフォーマンスに携わっていることに気づくでしょう。
社会変革のためのパフォーマンス(performance for social change)では、社会的に弱い立場にいる、抑圧されている人々の視点から世界を見つめ直します。そして現代社会の問題点や矛盾点を指摘し、その解決策を学生自身の言葉(英語)で発表します。自己表現能力の開発に興味のある方々と一緒に、パフォーマンスについて研究できるのを楽しみにしています。

  • コミュニケーション演習『大川ゼミ』発表会 ―Inside Peach
  • コミュニケーション演習『大川ゼミ』発表会 ―unknown

SEMINAR LIST 研究テーマと内容

英米文学科のゼミナールにおける研究テーマと内容を紹介いたします。

教員名 研究テーマ
麻生 えりか 現代イギリス小説研究—『灯台へ』と『日の名残り』
笹川 渉 William ShakespeareとMary Wrothのソネットを読む/John MiltonのParadise Lostを読む
松井 優子 Neverlandのありか—J. M. Barrie, Peter and Wendyとその周辺
久野 陽一 『ロビンソン・クルーソー』を読む
DABBS, Thomas W. Shakespeare
伊達 直之 文化・メディア研究と精読の試み
田中 裕介 比較企業文化研究
KNIGHTON, Mary A. Barbara Kingsolver
若林 麻希子 アメリカ文学と女性―「堕落した女性」の詩学
西本 あづさ Jesmyn WardとBMLの時代
来馬 哲平 アメリカ詩を精読する
外岡 尚美 ブロードウェイ・ミュージカルとナショナル・アイデンティティの形成
齊藤 弘平 20-21世紀アメリカ文学・文化におけるUtopia/ dystopia
結城 正美 環境文学の現在
橋本 智弘 ポストコロニアル文学を読む―「英語圏」の多角的な把握をめざして
McCREADY, Elin S. Literature and Theories of Linguistic Meaning
ROBINSON, Peter J. Describing and researching second language learner language
横谷 輝男 英語イントネーション研究
髙橋 将一 生成文法を通して私たちの言語を考える
寺澤 盾 現代英語の多様性と変化
葛西 宏信 英語と日本語の比較構文研究
中村 光宏 音声学・音韻論研究
REIMANN, Andrew N. Comparative Analysis of Organizational Culture
DIAS, Joseph V. Seminar in Intercultural Communication
大川 道代 スピーチ・コミュニケーションとパフォーマンス研究
野邊 修一 非言語コミュニケーション研究
小野寺 典子 Discourse Analysis of English/Japanese Conversations
稲生 衣代 通訳の理論と実践
田中 深雪 通訳・翻訳研究
ALLEN 玉井 光江 Teaching English to Young Learners(子供の英語教育)
飯田 敦史 第二言語習得論から見る英語教育・研究

RESEARCH THEMES 学生の研究テーマ例

※過去3~4年の卒業論文・ゼミ論文・ゼミ研究内容からの抜粋です。本学科では、卒業論文は教員の個別指導のもと、英語で書きます。

  • The Influence and Acceptance of Shakespeare in Modern Popular Music (ポップ・ミュージックにおけるシェイクスピアの影響と受容)
  • On the Border Between Mental Illness and Health: History and Representations of Psychiatry in 20th Century America(心の病と健康の境界で―20世紀アメリカにおける精神医療の歴史と表象)
  • English Locative Inversion in the Complement of Perception Verbs (知覚動詞の補部における英語の場所句倒置構文について)
  • A Study of the Differences of Translation Between the Subtitle and the Dubbing in the Films TOY STORY Series (映像翻訳における字幕版と吹き替え版の違いに関する考察―映画TOY STORYシリーズを通して)
  • An A nalysis of Students’ Motivations Based on Self-Determination Theory (自己決定理論からみた中学生の学習動機分析)