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学びの特色とカリキュラム(法学科)

CURRICULUM 学びの特色とカリキュラム

法学教育の“原点”と挑戦

法学部の「法学科」。近年、ユニークな名前の学部や学科が多くの大学で増えているなか、時代に逆行するかのように地味な名前です。「堅苦しそう」「難しそう」というイメージを持つ方も多いでしょう。たしかに、法学は簡単な学問ではありません。長い歴史と確たる体系をもつ学問ですが、その魅力や大切さをわかりやすく伝えることさえ容易ではありません。そのためでしょうか、法学部は「卒業後に“潰しが効く”から損がない」「資格試験に強い」「有名企業に就職しやすい」という表層的評価が先行し、それらが法学部や法学の“魅力”かのように訴える声をよく聞きます。私たちも、卒業生が資格試験に合格したり有名企業に就職したりすることを喜び、それらの目標の追求をサポートすることは大切であると考えています。しかし同時に、そのような表層的で短期的なゴールの達成が法学の真の目的や大切さでないことも事実です。
法学は、いつも明るい話題でその場を盛り上げてくれる人気者でもなければ、いつもあなたの望みを叶えてくれるスーパーマンでもありません。その意味では、法学はたしかに地味な存在です。しかし、あなたがこの先の長い時間を生きていくこと、多くの大切な人々と出会うこと、仕事を持ち何かを実現すること、それらすべてのプロセスにおいて、法学は「一生付き合える誠実な友人」として寄り添います。あなたとあなたが大切に想う他者を思い遣り、「正義」を探求し実現する存在であること。私たちはこのような法学の“原点”に回帰し、“これから”を生きていく学生と共に歩んでいく法学教育を実践します。

お互いが向き合う法学教育ー「法学」修得に必要な“足腰”を鍛えるー

法学の基礎は、法律用語や法概念などの「言葉」を知ること、条文や判決文の読み方を知ること、法体系や裁判の仕組みなど「法学の基本構造」を知ることにあります。1年次前期の必修講義科目「法学入門」は、科目の目的に応じた適切な規模で開講され、担当教員が会議を重ねて毎年作成する「共通試験」の実施により、知識習得の確認が統一して行われます。また、1年次前期の演習科目「導入演習」は1クラス10名程度で開講され、「読む・書く・調べる・話す」の技能を重視した基礎トレーニングが行われます。討論・発表など法学のみを偏重しない「学力」の基礎も養成し、AOYAMA LAWの4年間を共に送る仲間だけでなく、身近に質問・相談できる教員とのつながりを得る機会にもなります。
これらの基礎的学習を並行して、「民法入門」「刑事法入門」「民事裁判入門」などの必修講義科目を1・2年次に受講することにより、「法学」の修得に必要な“足腰”を徹底して鍛えます。また、基礎的・入門的学習とあわせて、講義科目「現代社会と法」では税法、経済法、知的財産法、労働法、国際法などの先端分野に触れることになるため、1年次の早い段階から学びの関心分野を広げたり4年間の学習計画を立てたりすることも可能となります。さらに、2年次には演習科目「法学基礎演習」が開講され、学生による発表を中心とした双方向学修で基本科目の理解を深めることもできます。

“急がば回れ”の法学教育ー寄り道こそ近道ー

法学部を志望する皆さんのなかには、「司法試験や公務員試験を受験したい」「ビジネスの現場で役立つ法律知識を身につけたい」という意欲をもち、目標へ一直線に進んでいきたいと考える方もいるでしょう。そして、そのような意欲が強い方ほど、「そもそも法とは何かを考える」「各国の法体系を知る」「法が現在の姿になるまでの歴史を知る」などということが、自分の目標と無関係で意味がない“寄り道”であると考えるでしょう。しかし、そのような考え方で取り組む法学の学修は、“寄り道”どころか“行き止まり”へ追い込んでしまうのです。
法学の学修は建築作業に似ています。大きく立派で個性的なデザインのビルが都市に林立しているように、法学の学修内容やそれを活かす道は一人ひとりで違いますが、法学の学修と建築作業に共通することは、構造設計や測量、基礎工事という手間のかかる作業を必要とすることです。どのような土壌でビルを建てようとしているのか、どのような構造とデザインをもつビルとなるのか、そのビルの建築に必要な工事は何か。このような事柄の理解を欠いたまま建築作業を始めれば、ビルは完成前に倒壊し、建築中止を余儀なくされるでしょう。
1年次の基礎科目として位置づけ直した法哲学や比較法、法史、現代社会の法課題という科目・分野は、法学の学修における構造設計や測量、基礎工事に当たるものです。AOYAMA LAWの法学科は、学生一人ひとりが確かな歩みで目標を達成できるよう、法の基礎や構造・成り立ちをよく理解し、法学の奥深さと幅広さを知ることから出発することを大切にしています。

大樹を育む法学教育ー多様性を尊ぶ法学ー

AOYAMA LAWの法学科で開講される専門科目は、ビジネス、公共、国際の法分野を中心に多岐にわたります。たとえば、ビジネス関係では商取引法、保険法、金融商品取引法、企業法務、公共関係では行政法、社会保障法、環境法、地方自治論、国際関係では国際法、国際私法、国際経済法、国際労働法、国際民事訴訟法、国際刑事法など、さらに外国法については英米仏独中の科目など、ここではすべてを列挙できないほど多くの選択肢があります。また、知識や思考技術を修得するだけでなく、法律関係の専門文書を書く技能を身につける科目も多数開講されます。
大樹がやがて豊かな花を咲かせ実を結ぶように、AOYAMA LAWの法学科における学修は、3・4年次開講の「演習(ゼミ)」の活動を通して結実します。基礎法科目から専門科目まで、すべての法分野のゼミが開講されており、2年間を通じて同じ担当教員の下で学修します。調査研究の報告、ディベートやディスカッションを行うゼミのほか、模擬裁判や法廷劇を行うゼミもあり、ゼミの活動内容は担当教員と学生が共に作り上げるユニークなものばかりです。また、4年次では卒業論文の執筆が必須となっており、担当教員の指導の下、先行研究を調査・検討して論文を書くというプロセスは、専攻分野に関する深い理解の獲得だけでなく、「読む・書く・調べる・考える」の技能を高めることとなります。さらに、2年間という学生主体のゼミ活動を通して、学年の違いを越えた独特のコミュニティが形成され、大学時代と卒業後の生活を豊かにする大きな財産となります。

*開講科目の授業内容は、以下リンク先から検索し閲覧することができます。

COURSE MODEL 履修モデル

ここで紹介する履修モデルは、あくまでも一例です。

MOVIES 模擬授業

  • 国際私法入門ダイジェスト 「越境する生活と法」
  • 税法ゼミとは? ゼミ3年生による判例研究の発表 全体説明
  • 税法ゼミとは? ゼミ3年生による判例研究の発表 判例研究①

COURSE FEATURES 主要科目の特長

経済法A・B

「読んで、書いて、覚えて、考える」。高校までの学びでは、授業や自習を通じて、このような学びのプロセスを繰り返してきたでしょう。大学における学びのプロセスも基本的には同じですが、高校までとは大きく異なることとして、専門科目の授業は週1回・90分、授業の多くが教員の説明・解説を聞く『講義』で行われ、「考える」時間が意外と限られていることがあります。そして、「考える」時間の少なさは、専門科目の理解をやや難しいものとし、教科書や教員の話を「覚えて」試験答案やレポートに吐き出すだけのつまらない(身につかない)時間を繰り返すおそれさえも生じます。この授業科目は、『単位を取るだけで知的収穫が何もないまま過ぎゆく学生時代』に陥ることを防ぎ、教員と学生が大学本来の学びに一緒に取り組む授業として設計されています。

大学本来の学びは、『知識を用いて考え、答えを出し、その理由を説明できる』能力を身につけ伸ばすことにあり、知識獲得はその準備であり結果でもあります。法学部の場合、法律を学ぶことは、条文や教科書の説明を覚えることではなく、抽象的な法規範(ルール)を具体的な事例に適用し、法律上の考え方・答えを導き出すスキルを獲得することです。そのため、事例に結び付けた学習の時間を確保することが不可欠であり、この授業科目はそのような「考える」時間を従来の『講義』の中心に位置付けています。実際の授業の流れは、1つのテーマに授業2回・180分を割り当て、初回は事例検討のグループワークと質疑応答、第2回は検討結果の確認・解説、テーマに関する法規範(ルール)の基本・応用説明で進みます。
(担当教員:岡田直己教授)

科目名 特長
ビジネス法入門 現代社会における企業の多彩な活動を踏まえて、ビジネスにかかわる多様な法律問題を概観する。法務部に勤務する企業内弁護士などのゲストを招く。
法と経済 経済環境の変化に伴い、企業を取り巻く法律などのルールはめまぐるしく変化している。このような環境を読み解き、その背景を理解するために、法律を経済学の観点から理解するための基礎を養う。
企業法務 企業には様々なリスクがあるが、ここではリーガルリスクを中心に、契約管理、担保管理、個人情報管理、内部統制、企業のリスク管理、営業法務、販売法務、製造法務、環境法務及び国際法務に大別し、その規制構造や対応すべき諸問題を講義する。
銀行取引法 銀行取引について、預金取引、貸付取引、手形・小切手の利用、内国為替について講義し、最後に最近の重要判例を取り扱う。
消費者法 消費者取引に関する法制を中心に、消費者法の歴史、現況、課題を学ぶ。特に1990年代以降の「21世紀型消費者政策」の形成と展開にかかわる立法動向に焦点をあてる。
地方自治法 日本の地方自治法制を概説する講義である。受講者が将来、この講義において習得した知識に基づいて、地方自治行政にかかわる諸問題を自ら解決することができるようになることが目標である。
社会保障法 社会保障法の立法と解釈を導く基本原理について説明できること。社会保障制度全般および各制度の理念、概要について説明できること。各制度における基本的な法律関係について説明できること。この三点を基本の柱とする。
法曹入門 法曹全体を俯瞰し、「法曹とは」「法曹と隣接法曹」「法曹になるために」「国民の司法への参加」「弁護士という職業」「裁判官という職業」「検察官という職業」という内容で構成される。
現代法実務論 「法曹入門」をうけて、弁護士と隣接法曹の実務をその内容とし、家事事件、労働者保護、企業法務、消費者保護、刑事事件といったように法実務の実際を俯瞰していく。現役の弁護士など実務家をゲストに招く。
法学ライティングBasic 法律答案や法学論文を書くための基礎になる、アカデミック・ライティングを学ぶ。受講者は実際に文章を書き、見直すことを繰り返し、論理的で実用的な文章を書く力を養う。

ACADEMIC CATALOG 授業要覧(科目一覧)

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