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ゼミナール紹介

ABOUT RESEARCH 研究について

研究分野

フランス文学、フランス語学、フランス文化

研究方針

1・2年次については、文法、講読、作文、文法演習、発音練習、会話などを有機的に組み合わせたカリキュラムによって、少人数のクラス編成での教育を行い、日本人とフランス人の教育スタッフが適材適所で担当します。これによって、基礎語学力を総合的に身につけることが可能になります。これと並行して、フランス文学や映像文化まで含めたフランス文化、さらにフランスの社会や歴史についての基礎的知識を身につけるための科目が用意されています。
2年次から3・4年次にかけては、これらの基礎の上に立ってさらに知識を深めるために、語学、文学、言語学、文化と社会についての数多くの演習と特講が設置されており、文学、語学、文化の3分野を自由に選択して研究することができます。

SEMINAR LIST 研究テーマと内容

フランス文学科のゼミナールの研究テーマと内容をご紹介いたします。

フランス文学

久保田 剛史

▶研究者情報
専門分野:16世紀文学
ゼミナール研究テーマ:フランス中世・ルネサンスの詩と文化

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    北海道利尻島生まれ。高校卒業まで旭川で過ごす。専門は16世紀フランス文学・思想(特にモンテーニュ)。文学博士(ボルドー第三大学)。ボルドー第三大学日本語学科助手(2006〜2008)を経て2009年度に就任しました。訳書にアラン・ヴィアラ著『作家の誕生』(共訳)があります。

    僕が生まれ育った北海道はアイヌ文化の発祥地ですが、明治時代には和風文化や西欧文化が取り入れられ、今でも「近代の始まり」の面影を残している地方です。大学でルネサンス文化論を勉強したときに、何となく故郷の歴史と似ているという印象を持ち、16世紀のフランス文学・思想に興味を抱きはじめました。

    16世紀と言えば、印刷術の誕生、新大陸の発見、コペルニクスの地動説、宗教改革でも知られるように、伝統的な世界観が大きく揺れ始め、ヨーロッパが「近代の始まり」を迎えた時代です。また、古代ギリシャ・ローマ文明が再評価され、キリスト教と古代の異教が見事に調和した美術・文芸作品が生まれたのもこの時代です。このように変革する社会と文化を背景に、フランス・ルネサンスの作家たちは、飽くなき好奇心に突き動かされ、躍動感と感受性にあふれる作品を書いたのです。

    みなさんも、ラブレーの巨人物語に驚嘆したり、ロンサールの恋愛詩に感動したり、モンテーニュのエッセイを味わったりしながら、フランス・ルネサンス文学の豊かさにふれてみませんか。16世紀文学は、21世紀に生きる私たちにも、きっと多くの楽しみをもたらしてくれることでしょう。

秋山 伸子

▶研究者情報
専門分野:17世紀文学/演劇
ゼミナール研究テーマ:フランス演劇の魅力を学ぶ/モリエール『人間嫌い』を読む

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    ▼ゼミの方針
    秋山ゼミでは、十七世紀フランス文学(とくに戯曲)のテクストの持つ魅力を共に味わうことを目的としています。そのためには、テクストに寄り添うようにして読むという地道な作業が欠かせません。したがって当ゼミでは何よりもテクスト読解を中心に据えて、一年間かけてひとつの作品をじっくり読みます。その際、さまざまな角度からひとつのテクストにアプローチできることを実感してもらうため、こちらから問題提起を行い、それに基づいてゼミ生の皆さんに発表してもらいます。
    発表の準備(ハンドアウトの作成など)を通じて、自分の主張を的確に相手に伝える練習の場を提供できればと願っています。最終的には、フランスの芝居をフランス語で一緒に観て楽しめるというところまでいけるといいなとも思っています。

    ▼ゼミ生の声
    秋山先生は『モリエール全集』を訳されています。現在活躍なさっている先生と共にモリエールのDom Juanを読んでいくことができるのはとても素晴らしいことだと思います。最前線にいる研究者の方から講義を受けることができるのはとても貴重で興味深い経験です。また、モリエールのDom Juanの舞台版や映画版などいくつかのビデオを見せて下さるので嬉しいです。(早川 瑠里子)

    普通の授業とは違い、ビデオや先生ご自身の体験、出版物をとり入れながらの進行は、とても分かりやすく奥深い授業になります。しかも授業に先生のカラーが直接出ていて受ける側も楽しみです。(今福 麻由)

    秋山ゼミの時間は、いつも秋山先生自身の明るい雰囲気で授業が進み、思わずその雰囲気に乗せられてついゼミの最中だという事を忘れてしまう時があります。私達の研究テーマである『ドン・ジュアン』という戯曲についての読み込みも、発表あり、作品の精読あり、実際に上演された『ドン・ジュアン』のビデオ鑑賞ありと、作品を様々な角度から見る事が出来、苦戦する事もしばしばありますが作品への興味は増すばかりです。初めは作品自体ではなく“演劇”というテーマに惹かれてこのゼミを選びましたが、今では放蕩男ドン・ジュアンのしでかす行動を毎回楽しく読んでいます。(高宗 一惠)

    先生に誉められ、のせられ、おだてられながら、現在秋山ゼミではモリエールの『ドン・ジュアン』を勉強している。具体的には原書講読をしたり、どのように演出されているのか、舞台をビデオで鑑賞したり、細かなテーマについて書かれた論文を読んで発表したりして、多角的な視点から作品に触れることを学んでいる。しかし肩肘張らないのが秋山ゼミの姿勢で、和やかな雰囲気のなか、教室は始終笑みに溢れており、これはそのまま、秋山先生の人柄である。(高田 伸一郎)

    秋山ゼミでは、17世紀喜劇作家モリエールの多くの作品のうちから1作品を1年間通してしっかりと読み進めています。一人一人が順番に原文を訳していくのが基本的な授業形態で、文法や訳し方のコツなどを先生が丁寧に教えてくれます。先生は既に『モリエール全集』の中でモリエール作品を翻訳されていますから、翻訳者ご本人の教えに与ることができるのはとても幸せなことです。

    また、年に1度回ってくる2〜3人組での発表もあります。読み進めている作品の特徴を調べたり、他作品や時代と比較したりして冊子にまとめています。発表の後には先生が良い点を挙げてくれて、補足説明や反省点などを丁寧に教えてくれます。提出するレポートは、先生の添削が入って戻ってきます。総合評価はもとより、部分部分でコメントをくれたり、指摘を入れてくれるのは、私達学生としてはやりがいがありますし、反省点を元に次回につなげることができるのです。

    私達のゼミは、先生のお人柄と同じく和やかな雰囲気です。授業の他にも、時々みんなでお芝居を観に行ったりします。観劇の時は正門に集合してみんなで遠足気分ででかけます。お芝居の前に時間があれば、みんなで軽くお食事をしたりもする、とても仲の良いゼミです。また、コンパは「飲み会」ではなく、「お食事会」です。美味しいご飯を食べながら、おしゃべりをするのが楽しいですよ。

    秋山先生は面白く、優しくて穏やかな人です。秋山ゼミでは雑談で笑いがこぼれることも多いですが、けじめはしっかりしています。授業をするときはきちんとする、そんなゼミです。(宮脇 真由子、佐野 香澄)

井田 尚

▶研究者情報
専門分野:18世紀文学/思想
ゼミナール研究テーマ:ディドロの短編集を読む

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    ▼自己紹介
    東京生まれ。専門は、百科全書派の作家ディドロを中心とする十八世紀フランス思想。

    ▼ゼミの紹介
    十八世紀が啓蒙の世紀あるいは哲学の世紀と呼ばれることからも分かるように、モンテスキュー、ヴォルテール、ルソー、ディドロといったいわゆる啓蒙思想家(フィロゾーフ)が哲学者として時代の言論をリードしつつ小説家、詩人、劇作家などの文学者としても活躍した十八世紀フランスの文学テクストは、ジャンルを問わず思想的・哲学的な傾向を強く持っています。
    ゼミでは、文学という言葉から一般にイメージされる小説や詩を中心とした文化的な制度としての近代文学が未だ成立しない一方で、「自由」や「個性」など、現在では常識とされる様々な概念やものの考え方が創造された近代のルーツともいうべき十八世紀フランスの文学テクストを題材に、テクストの何気ない言葉に隠されたある概念の歴史的な意味や思想史的な背景などを読み解く作業に取り組んでいます。
    十八世紀のフランス語は文法・語彙の面で現代のフランス語と極端に異ならないので字面だけなら読めたような気になれますが、「身体」や「精神」など当たり前に使われる一見簡単な単語であればあるほど、哲学的な議論や思想の流れをある程度押さえないと理解できないこの時代独特の意味を持っていることが多く、一筋縄ではいきません。ですが、十八世紀フランス語の文章の読解を通じて、日頃その意味について深く考えることなく自分達が使っている言葉や概念の歴史的なルーツへと遡り、キリスト教の枠組みを中心とした当時の人々の世界観やものの考え方を知ることは、明治期以降、近代ヨーロッパ文明を輸入し西欧化を進めた私達日本人にとっても興味深い体験のはずです。

    ▼学生の声
    井田ゼミでは毎年一つの作品を選び、精読を進めます。しかし、授業は生徒の和訳を先生が手直しを加えていくだけにとどまりません。文章上の疑問に対しては先生と生徒の対話の中で答えを導き出し、また加えて先生が豊富な知識を与えて下さります。
    先生のお話はフランスの文化や歴史だけでなく、先生ご自身が留学で体験したことや最近のエピソードまで幅広く、思わずくすっと笑ってしまうこともよくあります。精読や先生のお話の中で疑問に思ったことや興味深かったことを毎回先生に提出するのですが、翌週返却された用紙にはびっしりと赤ペンでコメントが書かれていてびっくりします!それを読むのが毎回とても楽しみです。
    コミュニケーションで先生との交流が深まることはもちろん、ゼミコンパで学年を問わず仲良くなることができ、発表の順番決めジャンケンさえとても盛り上がります!真面目に精読を進め、知見を広げると同時に交流も深められる!私はゼミの時間が毎回楽しみです。(今井 美咲)

    井田ゼミは、昨年から、授業の中で私が最も楽しみにしている時間です。
    ゼミでは、フランス語原典での訳読を通して、扱うディドロやヴォルテールの思想について深く考察するだけでなく、その思想や当時18世紀フランスの様々な思想と、現代との繋がりを考えさせてくれる小話を沢山聞くことができます。そして、主にコメントペーパーとそのお返事を通じて、時には授業中に先生との会話の中で、授業中に考えたことを発信し、またそれに対して広がった答えを受信することができます。
    たった1冊の本から、広い広い世界を感じて現代に生きるヒントを得ることができ、そしてまさに生ける「百科全書」である井田先生と沢山対話できるゼミの時間は、とてもとても有意義です!(片岡 久瑠美)

露崎 俊和

▶研究者情報
専門分野:19世紀文学/詩
ゼミナール研究テーマ:フランス19世紀の詩を読む/ボードレール『悪の華』(「憂鬱詩篇」)を読む

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    ▼フランスの詩といえば?
    フランスの詩というと、どんな詩人が思い出されるだろう。一年生向けの授業で、学生たちに自分の気に入った詩の翻訳を一つ選ばせ、それについて発表させることがある。そんな折に登場するのは、十九世紀だとボードレールやランボー、まれにミュッセ、マラルメ、ヴェルレーヌだったりする。ランボーは映画(レオナルド・ディカプリオ主演の『太陽と月に背いて』)の影響も大きく、名前だけは知っているという学生が多いようだ。アルフレッド・ミュッセの場合も似たり寄ったりの事情で、ジョルジュ・サンド(ジュリエット・ビノシュ)との恋の顛末を描いた『年下のひと』という映画がこの詩人の名前の時ならぬ、とはいえささやかな浮上に一役あずかっているにちがいない。

    二十世紀であれば、コクトー、アポリネール、プレヴェールだろうか。コクトーは自身が監督をつとめて作品を撮っているし、また脚本も書いている(ロベール・ブレッソン監督の『ブローニュの森の貴婦人たち』はよく知られている)。プレヴェールもマルセル・カルネ監督の『霧の波止場』や『天井桟敷の人々』などに脚本を提供している。コクトーはその画業でも知られ、またプレヴェールはシャンソンの歌詞も多く作っている。作曲家のコスマと組んだ『枯葉』は場所と時代を超えた名作として世界中に遍く知られている。それらの点で、彼らは文学以外の芸術ジャンルにも好奇心をもつ人たちに大きな関心を抱かせる存在でもあるようだ。また、アラゴン、エリュアール、まれにブルトンなどのシュルレアリスト詩人たちを見つけてくる学生もたまにいるが、こちらのほうが二十世紀における文学の展開という面から見れば、つまり文学史的な狭い展望においては主流であるだろう。

    ところで、同じフランスの詩とはいえ、十九世紀初めのロマン主義から、世紀半ばのボードレール、さらに世紀末のランボー、マラルメ、ロートレアモンを経て、二十世紀のアポリネールやシュルレアリスム、さらに以降の詩人へと続く詩の歴史は、恐るべき変化、根本的地殻変動の歴史だったといえる。定型詩から非定型へ、叙情から言語造形へ、思想陳述や感情吐露から現実を超えた次元(不条理、無意識)の探求へ…詩人たちの名を漫然と羅列して、その好き嫌いを言うのではなく、このような歴史的展望のなかに置き直してみて、はじめて個々の詩人たちのそれぞれに特異な相貌が見えてくるだろう。

    ▼翻訳…
    ところで、翻訳というものは、詩というものに関心をもち、たとえばある詩人の世界へ足を踏み入れていくきっかけでしかない。翻訳の感動は、原典の感動を超ええないなどといいたいわけではない。そうではなく、ただ、フランス文学科で詩を学ぶということからすれば、さらに原文で読むという次元にまで踏み込んでいくことが必要となるというにすぎない。名訳のもたらす感動はすでに、半ば以上、日本語をめぐる感動である。

    原典の感動は、もし「感動」という次元にまで到りえたならば、日本語をとおしての文学経験においては決して有することのできない、異質な風景、異質な世界との衝撃的ともいうべき出会いを与えてくれるはずである。

    ▼フランス詩を読む/学ぶ
    もちろん、大学で初めてフランス語を学ぶ人たちにとって、翻訳が手放せないものであることは認めざるをえない。にもかかわらず原文で読むようになれてはじめて翻訳というもののもつ限界や、また翻訳に固有の役割といったものが了解されてくるようになるはずである。それと平行して、詩もまた他の文学ジャンルである小説や戯曲などと共に、ある特定の時代に生まれ、ある具体的な歴史の相に呼応しているのだということも把握されなくてはならない。詩はその作り手である歴史的個人としての、特異体としての詩人を通して、そのような歴史の空間に打ち込まれている。フランスの詩を読むということは、少なくとも大学の文学の授業で求められていることは、(あるいはわたくしが勝手にそう決めつけていることは)フランス語で書かれたテクストのうちへ沈潜し、その言語によって造形された空間のうちに響く声(多くの場合複数の声)を聞き取ると同時に、それがテクストの外側のいかなる空間へと通じ、開かれているのかを尋ねてみることにつきる。

    そのためには、大いに辞書をひき、事典を調べ、正確に文意を把握したうえで、イメージをしっかり捉え、調べとリズムに同調し…といったことが必要になってくる。
    ところで、同じフランスの詩とはいえ、十九世紀初めのロマン主義から、世紀半ばのボードレール、さらに世紀末のランボー、マラルメ、ロートレアモンを経て、二十世紀のアポリネールやシュルレアリスム、さらに以降の詩人へと続く詩の歴史は、恐るべき変化、根本的地殻変動の歴史だったといえる。定型詩から非定型へ、叙情から言語造形へ、思想陳述や感情吐露から現実を超えた次元(不条理、無意識)の探求へ…詩人たちの名を漫然と羅列して、その好き嫌いを言うのではなく、このような歴史的展望のなかに置き直してみて、はじめて個々の詩人たちのそれぞれに特異な相貌が見えてくるだろう。

    ▼ゼミにて
    さて、上で述べたことはいった前提に立って、わがゼミは運営されるはずだが、それがそう思惑どおりにはいかない。

    ソウハトンヤガオロサナイという不遇の魔がわがゼミに取り憑いているようである。実をいえば、理由ははっきりしている。要求のハードルが高すぎるのである。それは、よく承知している。教師自身、我が身を振り返り、学生だった頃を思い起こせば、フランス詩を原典で読むことの難しさは骨身に染みてわかっている。だが、苦労して、曲がりなりにも一つの詩を通読できたとき、そしてそのフランス語原文を声に出して朗読し、あるいは暗唱するときのいうにいわれぬ心地よさ、あるいは充足感というものが存在している。

    だから、その一端なりともを味わってもらうためにも、一年かけて十行でも、二十行でもよいから、自分だけの力で、フランスの詩の空間に潜りこみ、そこに身を浸して欲しいという趣旨で、頑張っているというのがこのゼミの実状である。

荒木 善太

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専門分野:19世紀文学
ゼミナール研究テーマ:パリを考える/写真を読む

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    ▼プロフィール
    生まれは東京都。東京タワーとほぼ同じ年齢です。フランスでは主に地方で暮らしていたのでパリについては不案内。仕事の都合上(つまり授業で)、たまにパリについて話すこともあるがあまりあてにならない。

    ▼ゼミについて
    ゼミでは毎年中心となるテーマを一つ定め、二、三人のグループによる発表とそれに対する質疑応答という形で授業を進めていきます。ゼミの参加者に期待するのは、要は発表者と聞き手との間できちんとした応答を成立させるということに尽きます(できれば、ことばを扱う学部である以上、「何」を語るかだけではなく、「どのように」語るかということも念頭に置きながら)。週一回のこの授業が、様々な物の見方、考え方が出会う場として、それなりの緊張感を伴う数十分となることを望んでいます。

    ▼ゼミ生の声
    今年度のゼミは、「言葉とイメージの関係」というテーマが抽象的ということもあって、僕自身も含めてかなりみんな発表に苦労していましたが、個人的には、まあ楽しかったと言えます。自由に発言できるのだから、くだらないことや関係の薄いことでも、みんな頑張って発言していけばもっと盛り上がったと思います。
    今回の発表では、みんなの前でプレゼンテーションすることの難しさをあらためて実感しました。そして、聞く側の反応の無さがどれだけ発表する側にショックを与えるかがわかりました。発表というものは、発表する側と聞く側の双方で作っていくものだなあと、しみじみ思いました。これは授業においてもいえることでしょう。
    ゼミの時間をもっと充実したものにするには先生と学生、学生同士のコミュニケーションが不可欠になります。そのためには、やはり一緒にお酒を飲んで仲良くなるしか手はないでしょう。(3年 坂口 亮太)

福田 美雪

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専門分野:19世紀文学
ゼミナール研究テーマ:19世紀フランス文学とジャポニズム

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    ▼プロフィール
    東京生まれ。小さい頃から翻訳文学を読むのが好きでした。高校時代に、エミール・ゾラの『居酒屋』に出会い、衝撃のあまり「大学で仏文に進み、これを原書で読む!」と心に決めました。以来ゾラ一筋です。リヨンに1年、パリに3年の留学経験があります。

    ▼ゼミについて
    科学や産業の発展によって、伝統的な芸術のあり方が大きく変化した、19世紀フランスにおける文学と美術の関係性について学んでいきます。19世紀の文学者はよく、作品に芸術家を登場させたり、アトリエ訪問記やサロン評を書いたりして、「イメージ」を「ことば」で表現しながら、独自の美術論を組み立てました。芸術家たちのほうは、文学作品に想を得て制作したり、詩集や小説に挿絵を描いたりすることで、「ことば」を「イメージ」で表現したわけです。文学と美術はときに協力し、ときに競合しながら、時代の変化に合わせて新しい美学を築き上げていったのです。

    ゼミに参加するみなさんには、「名前だけは聞き覚えがある」というような芸術家や作品について、点と点を結ぶように関係性を見つけ出し、19世紀フランスの芸術的背景をより深く知ってもらいます。開催予定の美術展や、公開予定のフランス映画などによって、ゼミで扱うテーマも変え、その年ならではのゼミ活動を皆さんと作り上げていきたいと考えています。

阿部 崇

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専門分野:20世紀文学/思想
ゼミナール研究テーマ:「労働」の哲学

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    ▼プロフィール
    生まれも育ちも四国・松山。幼少期、少しだけメキシコで過ごす。 大学は東京、6年ほど吉祥寺で過ごす。その後、フランス・パリに留学。あっという間に6年が過ぎる。帰国後、渋谷に住みついて今に至る。2008年度、青学に就任。

    ▼ゼミの紹介
    ゼミでは毎年中心となるテーマを定め、それについてのテクスト講読と発表、それに対する質疑応答という形で授業を進めています。ゼミの参加者に期待するのは、要は発表者と聞き手との間できちんとした応答を成立させるということに尽きます(できれば、ことばを扱う学部である以上、「何」を語るかだけではなく、「どのように」語るかということも念頭に置きながら)。週一回のこの授業が、様々な物の見方、考え方が出会う場として、それなりの緊張感を伴う時間となることを望んでいます。 

    ▼教員からのメッセージ
    ゼミでは、哲学的な題材を選ぶことが多いと思いますが、狭い意味での「哲 学」を勉強すると言うよりは、哲学的なテクストをもとに、ものの考え方や見方を学び、そうした視点から、文化や社会を柔軟に読み解いていける教養を身につけることを目指したいと思います。テクストとして見る限り、「文学」や「哲学」といったジャンルわけはあまり重要ではありません。そうした専門にこだわることなく、いろいろな分野のさまざまな知識を「つまみ食い」してまわるのが、大学での勉強の楽しさであるべきでしょう。

    ゼミは教員から学生への一方的な知識の伝達が目的ではありませんから、参加者の皆さんと一緒に語り、考えることを楽しみにしています。私にとってもやはり勉強の場ですから。

和田 恵里

▶研究者情報
専門分野:20世紀文学
ゼミナール研究テーマ:ヴィクトル・ユゴー『ノートルダム・ド・パリ』を読む/プルースト『失われた時を求めて』より「囚われの女」を読む

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    ▼『失われた時を求めて』を読む
    眠りにつく人間の、あるいは暗闇のなかで突然目覚めて時間や自我の感覚を無くしている人間の意識が語られることで、物語は始まります。主人公であり語り手である「私」の物語ですが、「私」とはマルセル・プルーストであり、読者が小説のなかに見出すべき「私」をも意味します。プルーストはこの小説のなかで、本を読んでいるとき、読者は自分自身の読者であると言っています。つまり読書によって、それまで気付くことのなかった自分の内面にあるものが見分けられるようになるというのです。これは読書という行為一般に関するプルーストの鋭い考察であるとともに、彼の作品がそのような意図をもって書かれたものであることを明かしています。この小説はしたがって、読み手が異なれば、まるで別の作品のような印象をあたえるでしょう。ある人たちにとっては、恋愛と嫉妬の描かれた心理小説であり、他の人たちにとっては、時間という主題をめぐる哲学的小説であるかもしれません。また、絵画や音楽といった芸術作品に関する批評に魅了される読者もいるでしょうし、ドレフュス事件や第一次世界大戦など社会へと向けられたプルーストの鋭い視線に注目する読者もいるでしょう。

    私たちは時間と労力をかけて、じっくりと自分の内面へと降りて行って、プルーストが意図したようにこの虚構の世界を自己の体験としましょう。

    今年度は『失われた時を求めて』の第五巻『囚われの女』を以下の三つの箇所を中心に読んでいます。

    1.眠っているアルベルチーヌを眺める。プルーストにおける睡眠のテーマ。
    2.恋愛と嫉妬のテーマ。
    3.フェルメールの『デルフトの風景』と作家ベルゴットの死。芸術と人生のテーマ。

    受講生がプルーストの長文を読解できるように、初めは丁寧に指導しています。比喩や暗示に満ちた文章をじっくりと味わいたいと思います。また、この小説に関連したテーマを選んで発表もしてもらっています。

濱野 耕一郎

▶研究者情報
専門分野:20世紀文学
ゼミナール研究テーマ:ドリュ・ラ・ロシェルの初期作品

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    ▼略歴
    神奈川生まれ(昭和44年)の神奈川育ち。ただし学生時代は関西で過ごす。フランスでの滞在期間は比較的長い。2004年4月より赴任。

    ▼ゼミについて
    私のゼミは、20世紀フランスの文学・思想の領域から一つ、あるいは複数のテクストを選び、その読解と分析を進めることを目的としています。2013年度はジョルジュ・バタイユの『呪われた部分』を取り扱いました。バタイユという作家・思想家について知見を深めると同時に、バタイユが生きた時代の政治、社会、文化についても折に触れ、考えることにしました。

    ゼミでは10月の半ばくらいからほぼ毎回、2、3人のグループによる発表と、それに対する質疑応答が行われます。発表の主題は私が指示しますが、その内容や構成に関しては個々のグループの判断に任せています。テクストを熟読し、それについて徹底的に考え、分からない箇所については他の資料にあたる−−こうした基本的な作業をこなした上で発表の構成を工夫し、実際に他の学生の前で発表をしてもらうことになります。

    ▼ゼミの学生の声
    濱野ゼミでは、15分遅れて授業が始まるという暗黙の了解があります。そこからも分かるように、自由な雰囲気のゼミです。ですが、ひとたび授業が始まれば、先生の快活明瞭な説明に私たちは惹きこまれてしまいます。授業の形式は、先生の講義と生徒の発表を中心に行われます。

    ゼミの内容は、初期のバタイユが書いたものを勉強しています。第一次世界大戦後という不安定な時期を背景に流行してきた超現実主義。その超現実主義者たちの運動の不徹底さを批判して、彼らや、私たちもが目を背けたくなるような、人間の破壊性に光をあて明らかにしていこうとするバタイユ。彼の考えは、私たちに新鮮な刺激を与えてくれます。私は彼の考えから、規範にとらわれず物事を自由に考えることの楽しさを学びました。ひとによって得るものは様々でしょうが、このゼミなら必ず何かを得ることができます。 (3年 飯島 智久)

Marion de Lencquesaing

▶研究者情報
専門分野:17世紀文学/宗教史/女性史
ゼミナール研究テーマ:フランス語で学ぶフランス文学

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    ▼プロフィール
    フランス南西部生まれ、パリ育ち。17世紀のフランス文学、特に聖人伝など宗教的物語作品を研究しています。以前から日本文化にはとても関心がありましたので、日本で教えられることを大変嬉しく思っています。日本を深く知る機会を私は得たわけですが、学生たちには逆に私の好みのフランス映画や文学を知ってもらい、ともに楽しむことを期待しています。

    ▼ゼミについて
    フランスの大学で勉強するように、フランス文学を学びます。中世から今日までのフランス文学の作品から新しいテーマを毎年選びます。テーマは、作品の中に反映された女性のイメージを読みとる、旅行記を読む、自己を描いた文学作品を読む、世界を描いた文学作品を読むなど多岐にわたります。ラシーヌ、ルソー、ユゴー、カミュ、ボーヴォワールのような有名な作家たちの作品の抜粋を読むだけでなく、マイナーな作家の作品も読みます。テクストを丁寧に解釈しながら、フランス文化やそのテクストが書かれた歴史的・宗教的背景を発見していきます。

    2021年度1学期には、誰もが知っているシャルル・ペローの『シンデレラ』と『眠れる森の美女』を読みました。これらの物語は有名ですが、実際に読んだことがある人は少ないのではないでしょうか。『シンデレラ』の作品の中にあらわれる様々な要素を改めて解釈し、ペローが生きた時代の背景、社会、文化について考えます。また、1756年にボーモン夫人によって書かれた『美女と野獣』を読み、ジャン・コクトーによって映画化された作品(1946年)と比較することで、表象の変化を分析します。
    ゼミでは、学生たちはテクストを読み、その内容をまずは簡単なフランス語で説明します。単純な問いに答えながらテクストの内容を理解し、徐々に作品の中に入り込んでいきます。

フランス語学

近藤 野里

▶研究者情報
専門分野:言語学
ゼミナール研究テーマ:コーパスを用いたフランス語の分析

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    ▼プロフィール
    言語学、特に音韻論、社会言語学、通時言語学が専門です。フランス語の規範の歴史的変化や様々な国・地域で話されるフランス語の違い、そしてフランス語学習者の中間言語にも関心があります。大学院時代にカナダのケベック州に1年ほど留学して以来、ケベック・フランス語についても興味を持って、少しずつ研究を進めています。

    ▼ゼミについて
    授業でフランス語を学ぶ際に、学習しているフランス語の姿は1つだという錯覚に陥りやすいかもしれません。確かに、教科書に反映されたフランス語や、教室で学ぶフランス語は規範的なものであることは重要です。ただし、実際に話されたフランス語を聞いてみると、それぞれの話者の言語的背景によって、話されていることばが少しずつ異なるということに気づくのではないでしょうか。ゼミでは、その違いが生じる理由について考えることを目指しています。

    フランス語の自然会話コーパス(言語資料)を分析することで、フランス語の話し言葉の特徴について学びます。話し言葉には、躊躇や言い直し、脱落、書き言葉とは異なる統語構造など、様々な特徴が観察されます。このような特徴を経験的に発見していくことで、ゼミに参加する皆さんのフランス語の運用能力の鍛錬につながればいいなと思っています。

フランス文化

Sylvain Adami

▶研究者情報
専門分野:フランス語教育
ゼミナール研究テーマ:フランコフォニー文化の考察/フランスの文化と社会の考察

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    ▼プロフィール
    パリ出身だが、フランス東部フランシュ=コンテ(ブザンソン)で育つ。大学ではスポーツ地政学を専攻し地理の博士号を取得。

    ▼研究
    外国語としてのフランス語の教育法(特に最新のテクノロジーを駆使してフランス語の習得の効果を高めるeラーニング)とフランス語の地政学(世界各国の政治経済の変動に伴うフランス語の地位の変化)を研究しています。

    ▼最近の主な業績・論文
    «La place du français dans les pays francophones d’Asie du Sud-est : les classes bilingues et le rôle du projet Valofrase»(東南アジアフランス語圏におけるフランス語の地位)Etudes Françaises nº 21 Université Aoyama Gakuin Tokyo 2012
    «PrepaFLE, une préparation linguistique et culturelle des étudiants japonais à leur séjour en France à travers un dispositif FOAD (Formation ouverte à distance) »(日本人学生のフランス滞在の準備のための遠隔教育)Revue japonaise de didactique du français vol. 8, nº 1 Société japonaise de didactique du français Tokyo 2013

    ▼ゼミ方針
    メインのゼミのテーマは「現代フランス社会への眼差し」です。目標は年間の研究計画に従い、現代フランス社会とその変化についてフランス語で作業することです。授業では、小グループに分かれて、それぞれが選んだ幅広いテーマについて準備を進め、調査結果を前後期期末の口頭発表とレポートで発表してもらいます。現代フランス社会の政治・経済・社会・文化に対するものの見方を発見し、考えを深めることがこのゼミの狙いです。

    ▼ゼミ生の声
    高校時代に世界史を学び、ヨーロッパ、とりわけフランスに興味を持ち、文学を通して更に深くフランスの思想や文化を学びたいと思ったことがフランス文学科への入学を決めた理由です。
    入学後、フランス語や文学だけでなく、フランス社会について学んだことでフランスの社会や生活、そして豊かな食生活に興味を持ち、フランスの社会を研究内容とするアダミ先生のゼミに入りました。私の研究テーマは「フランスにおける移民の受け入れ」で、この研究を通して、人々がカフェで寛ぎ芸術を楽しむ“美しく、優雅な国”という今までのフランスのイメージとは正反対の、“重大な社会問題を抱える国”というフランスの新たな面を知りました。良い面も悪い面も含め、知れば知る程興味が湧きフランスを好きになっていきます。また、ゼミで考える力と知識を培い、実際にフランスで現地の状況を肌で感じたことにより、知識が深まり多角的なものの見方が身についたように感じます。
    卒業まで残り僅かではありますが、学習意欲を高めて下さった先生と自ら学び考えることのできるこの環境に感謝し、これからも様々な知識と力を求め日々精進して参ります。 (4年 水崎 黎子)

RESEARCH THEMES 学生の研究テーマ例

  • フランス文学と結婚
  • フランソワ・ラブレー『ガルガンチュア』における笑い
  • シャルル・ペロー『童話集』のフィクションと現実
  • マルグリット・デュラス『モデラート・カンタービレ』について
  • オノマトペの日仏翻訳
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