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学部概要

MESSAGE 学部長メッセージ

「法学」というと、「正義」のもとに決まりきった答えがある学問だと思っている人がいるかもしれません。しかし、実際には「法学」は多様性に満ちたものです。例えば、私が専門としている労働法という領域は、「自由」、「平等」、「個人の尊厳の確保」、「公正な市場」といった共通の考え方を柱としながらも、それぞれの国における働き方やキャリア形成の仕組みを背景に、大きく制度が異なっています。また、働く労働者の立場から見える正義と、企業を経営する立場から見える正義は、ときに異なる(反発する)こともあることは、想像できると思います。異なる「正義」の存在を前提に解決を探るのが、「法学」の1つのエッセンスでもあります。
また、「法学部」での学びは、法律で決められたルールを覚えるだけのものだというイメージを持つ人もいるかもしれません。しかし、「法学部」の学びは、覚えるだけでなく、「考える」ことも大いに求められることになります。ある事件の解決を考えるとき、あるいは新たな政策を考えるとき、立場によって(例えば、労働者と企業とで)あるべき解決が異なることは、珍しくありません。基本的なルール(究極的には、自由や平等など)を踏まえつつも、立場によって異なる正義があることを視野に入れて、どのような解決をはかることが妥当なのかを「考える」のが、法学という学問の営みであり、法学部での学びだと言えます。その意味で、法学部での学びは、多様性に満ちていて、常に現在進行形のものだということができるでしょう。
青山学院大学の法学部は、司法試験を通じて法曹を目指す人や、公務員を目指す人だけではなく、卒業生がとても多様な進路を目指すことも大きな特徴です。そして、立場の違いによって正義が異なることを踏まえながら、自分なりに正しいと思える解決方法を模索し、それを表現することで相手を説得するという法学部での学びは、どのような進路をとるにしても、社会人として必要となり、その経験を生かすことができるものです。
私たちは、2022年に「ヒューマンライツ学科」を新たに設置しました。「ヒューマンライツ学科」での学びは、法学における普遍的な価値を表す「ヒューマンライツ」を柱としながらも、より現場に根差した実践的な教育と、経済学や社会学などの多様な学問領域からの視点を通じて、「問題の解決」をより強調した教育を目指しています。

皆さんが、法学部での学びを通じて、将来のキャリアで経験することとなる様々な「問題を解決する」能力を身につけて、大いにはばたくためのステップとしてくれることを願っています。

——法学部 学部長
細川 良 [HOSOKAWA Ryo]

ABOUT US 法学部について

教育研究上の目的

青山学院大学法学部の教育研究上の目的をご紹介いたします。

法学部は、青山学院の建学の精神に立脚し、真理を謙虚に追求する姿勢、人間的資質及び法学的基礎を備えた上で、社会における様々な問題や課題に対して主体的・積極的に取り組むことのできる人材を育成する。また、これらの人材を輩出するために、社会的課題に応え、社会的公正と正義の実現に資するような専門的な研究を遂行することを研究の目的とする。

AOYAMA LAWの「法学」を通して「生活」を構想する。

社会の様々な場面で起こる不正や犯罪、紛争ばかりでなく、企業の公正な取引、知的財産権の保護、人権や雇用の問題、環境や福祉が直面する問題解決のための法整備など、個人間、企業間のトラブルから社会のルールづくりまで、「法学」の対象は世の中のありとあらゆる領域にわたります。「法学」は一見、堅苦しい学問に思われがちですが、実は、私たちの「生活」に直結した極めて人間的な学問です。そして、そこに求められるのは、立場の異なる当事者それぞれの身になって誠実に考え、公正で客観的な判断を下すことのできる法的思考・リーガルマインドです。

AOYAMA LAWの通称をもつ本学法学部は、弁護士、検察官、裁判官などの法曹を目指す者だけでなく、青山学院の建学の精神に立脚しつつ、人間的素養と法学的基礎を備えて社会の多様なニーズを識別し、複雑な事象の科学的分析を行える応用力を身につけて、社会で必要とされる能力を発揮して自らの道を切り拓くことができる人材を育成します。そして、この人材育成のプロセスを通じて、法的な課題・紛争を客観的に分析して的確かつ公正な判断を行うだけでなく、その判断と理由について他者と理解を共有し、課題・紛争を解決に導くことのできる能力の養成を重視しています。

AOYAMA LAWの教員は、理論志向から実務志向、国内法から外国法、基礎研究から先端・応用研究まで個性豊か。法解釈、判例研究、フィールドワークなどを通して、社会の公正な発展に役立てる“智恵”を皆さんに伝授します。「法」を取り巻く環境の変化は、政治、経済、社会、文化など「生活」を取り巻く環境の変化そのものであり、「法学」を学ぶことには時代の先端を見つめていく醍醐味があります。「生活」をめぐって起こる事象に広く関心をもち、「生活」の未来を「法学」というレンズを通して描き出していきましょう。

FEATURES 法学部の特色

2学科制-「法学科」と日本初の「ヒューマンライツ学科」

AOYAMA LAWは、「法学科」に加えて、2022年4月開設の「ヒューマンライツ学科」をもつ2学科制の法学部です。どちらの学科においても、論理的・合理的思考力を用いて社会的課題に対し妥当な解決策を導ける能力の養成を重視しており、3・4年次だけでなく1年次にも少人数の演習科目を配置しています。また、法は政治的なプロセスによって作られ、両者は密接な関係にあるほか、社会的課題の分析には経済学や公共政策などからのアプローチも重要であるため、AOYAMA LAWは学際性を重視したカリキュラムを編成しています。
法学科では、基本的な法律科目から多彩な選択科目まで、豊かで系統的な法知識と、それを現実に適用する技能を身につけます。法律は、人間社会の生活すべてに直結しているため、法律を正しく理解し、公正で客観的な判断を下せる「リーガルマインド」は社会のあらゆる領域で求められます。国際的・実践的なカリキュラムを通じて、卒業後の進路に応じた専門的知識と法的正義感をもって問題を解決に導く“智慧”を身につけます。
ヒューマンライツ学科は、人権問題の解決のためという目的意識をもって、法学をはじめ様々な学問分野の観点からヒューマンライツ(人権)を学ぶことができる日本初の学科です。人権の保障は、国の最高法規である憲法で掲げられているだけでなく、国際社会の普遍的な価値として認められています。この学科では、ビジネスと人権、ジェンダーと人権などテーマ別の科目を豊富に配置し、社会のさまざまな人権問題の解決において法をどのように活かしていけるかを意識的に学ぶとともに、政治学、経済学、公共政策などの観点からもヒューマンライツ(人権)へ学際的にアプローチします。

多彩な教授陣

AOYAMA LAWの専任教員は、学生と共に進める教育活動だけでなく、それぞれの専門分野の研究者(学者)として研究活動も行っており、理論志向から実務志向、国内法から外国法、基礎研究から先端・応用研究など、研究のテーマと方法論は幅広い多様性を備えています。このような研究活動のプロセスや成果は、AOYAMA LAWの学生へ教育活動を通して還元されるとともに、教育活動における刺激や発見が研究活動を促しており、教育と研究のサイクルがAOYAMA LAWの原動力となっています。